肌を温め合う育児(1)

(『藤棚』平成19年1月10日号より)

校長 小川義男

国会議員の皆さんと、議員会館で話し合う機会が
多いが、あるとき私は、若い国会議 員が、産院で
出産することのマイナス面を指摘していることに
衝撃を覚えた。

彼による と、昔は産婦の98 パーセントが自宅で
出産した。ところが現在では逆転し 98 パーセン トが
病院乃至産院で出産している。これが「いじめ」の
遠因になっているのではないか と、彼は心配する
のである。

病院は、出産すると直ちに母と子を切り離し、
赤ん坊は赤ん坊で、親とは別な部屋に 「保管」
する。出産後すぐ別々にするような生き方をさせる
から、死ぬときも別々になる結果を生むのだと、
彼は主張するのである。

赤ん坊は、おそらく極度に衛生状態の良い部屋に
寝かされているのだろうから、目く じらを立てて
憤慨するのはおかしいのかも知れぬ。しかし、
生まれた途端から母と子を 引き離すという考えは、
いかにも現代医学の考えそうなことだと、苦笑せざる
を得ない。 病院は、出産後間もなく赤ん坊だけ集めて
「管理」すれば、確かに便利なのではあろ う。無菌室に
して衛生に万全を期することもできる。

しかし、生まれた途端から母と引き離されることの、
人間形成に及ぼす影響は十分に研究されている
のであろうか。

 

その2につづく…..

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