肌を温め合う育児(2)

 

胎児は、母の体内にいるときにも
外部の音を聞いているという。

彼らの耳に一番大き く響くものは、
母親の心臓の音であろう。母の心音を
録音しておいて、出産後、赤ん坊 が
ぐずったり泣いたりしたときに、これを
聞かせると泣きやむという話を聞いた
ことがある。

赤ん坊に取り、母親の胸に抱かれて、
その体温に温められ、「聞き慣れた」心音を
聞いているときこそ、至福のひとときな
のであろう。

生まれた途端からの数日は、人間に
対する信頼感を獲得させる最高の
チャンスだと私は思う。絶対的に安心
できる看護を受けられるとは言え、
私には、医学の持つ合理主義、
学問特有の傲慢さが感じられて
ならないのである。

私は残念ながら、我が子を育てた
経験がない。しかし生き物がどれほど、
その親を慕 うものであるかと言うことに
ついては、いささかの体験がある。

その3につづく…..

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