偉人の伝記に親しませよう(6)

 

関西で小学校に侵入した兇漢が一年生多数を
殺害したという事件があった。その際、 担任の
中年の教師は子供たちの先頭に立って逃げた
そうである。教室には椅子もあれ ば机もある。
それをぶつけ、振り上げて戦えば、ほとんどの
生徒は逃げ延びることが できたであろう。

しかし彼女はそうはしなかった。

後に新聞記者に尋ねられて「私に も子供があります
から」と語ったと言う。私はそのセリフに接して抑え
がたい怒りを 覚えた。

自分の子と人様の子と、一体どっちが大切だと言うのか。

まさに「師道、地に墜つ」と言うべきであろう。
教え子の生命身体に危険が迫り、他に助けを求める道
がない場合、死なねばならないのが教師である。昔、
遠足などで子供が水に溺れた場合、泳げぬ教師までが
水に飛 び込むのが常であった。そのために「にじゅう遭難」を
生み事態が一層深刻化した。

だから校長は、安全を保つべく厳しく指導すると共に、
泳げぬ教師は絶対に飛び込んではならぬと言い聞かせた
ものである。

それでも教師たちは飛び込んだ。それが師道 というものである。

その7に続く…

ページ
TOP