日本語の深さについて(6)

 

これらの事情から、音楽に関して、国民の間で、
世代間の断絶が形成されるに至った。

音楽の自然な変遷という域を越えて、民俗の音楽は
連続性、一体性 を失ってしまったのである。

十年、世代が違えば異邦人、というような奇妙な
社会現象が出現した。

そのうちに 「蛍の光」や「仰げ ば尊し」の歌詞を、
正しく解釈することのできる人さえ少なくなって
しまった。

四月は入学式の季節である。この年度が卒業式を
迎える頃、全国どこの学校でも「蛍の光」や「仰げば
尊し」が、感動と共に斉唱されるようにできないもの
だろうか。

世代の断絶は「文化の継承」の中でこそ初めて克服
できると思うのである。

<完>

ページ
TOP