尊敬するから厳しく要求する(4)

 

私が小学校の校長を務めていた頃、生徒を(子供を児童、
生徒、学生などに「分類」 する手法を私は用いない)野放し
にする教師がいた。

一年生の担任であったが、子供を完全に野放しにするので
ある。幼稚園などに「自由保育」という「教育方法」があると
聞いたが、彼のやり方はさだめし「自由教育」ということに
なるのであろうか。

このクラスでは、参観日にも、子供達は上履きのまま机の上に
立ったりして授業に「参加」した。驚いたことにこの教師は、
親たちにも人気があった。

一年生の親は学校のことなどあまり知らないから 「本当の教育
とはこういうものなのだろうか」くらいに考えたのかも知れない。

この教員はある事情で、 間もなく退職せざるを得なかったが
やはり現代は「教育哲学」混乱の時代だと思うのである。

しかし、教師の話を集中して聞くこともできないような現状を
放置して、子供を健全な人間に育てることはできない。

もともと我々は、生まれた途端から人間らしい人間だったのではなく
周囲のすべての人々のお力で人間に育てて頂いた のである。

だから、育てる側では、この「人間になるのではなく人間にするのだ」
ということを深く自覚しておかなければならない。

 

その5に続く…

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