朝鮮人の思いで(3)

 

あの方はどういう方であったのだろう。

私より二十くらい年上であったろうから、
今生きておられる筈はない。あんな悪さを
されて、あのように抑制すると言うことは、
並の人間にできる技ではない。相当教養の
ある、地位も高い方だったのかも知れない。

改 めてお会いしたかったと思うが、勿論
果たせる夢ではない。 1910 年(明治43 年 )、
いわゆる日韓併合以来、朝鮮は日本に編入
された。

当時朝鮮、台湾、南樺太、マーシャル群島、
千島列島は日本の領土となっていた。

だから朝鮮人は日 本国民だったのである。
しかし、一つの国が他の国に併合されると
言うことは、様々に困難な問題を孕むこと
になる。

日本の支配に服することをめぐって、 朝鮮人
には様々な思いがあったであろう 。

学校では、民族的差別意識を持ってはなら
ないことが、繰り返し指導されたが、やはり
小学生の間にあっても、朝鮮人の子どもに
対する感覚には、独特なものがあったように
思う。

但し私は、そのような差別意識を全く持って
いなかった。かえって朝鮮人の子どもに
意地悪されたこともあるくらいである。

総じて子ども同士は仲良くおおらかであった。

その4につづく…

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