3日目のテーマは「平和」です。まず原爆資料館で被爆体験講話を聴きました。お話をしてくださるのは、6歳で被爆された城臺美彌子(じょうだいみやこ)さんという女性です。
城臺さんはまず、「平和ってなんだと思いますか?」と子どもたちに問いかけました。手を挙げた子が「家族がいること」「心がおだやかなこと」と答えました。城臺さんは「それも平和ということですね」としながら、「毎日、朝起きて、ご飯を食べて、学校に行って、家に帰って、家族と話して、ぐっすりと眠れること、日常生活が普通に送れることが平和なのだと思います」「あの頃は、夜ぐっすりと眠ることはできない、眠ったかと思ったら空襲警報で起こされる、満足に食べることもできない、普通の毎日を送ることはできなかったのです」とお話しされました。そしてさらに、「これからお話しすることは過去の話ではありません」として話を続けられました。
いくつかの写真を見せてくれました。子どもを失った母親、死んだ弟を背負った少年、その写真から何を感じるかを子どもたちにたずねました。また、5人家族の写真を通して、そこに写っている人々がその後どうなったのかを話してくれました。原爆投下の日のご自身の体験も語ってくださいました。城臺さんのお話に、全員が真剣な表情で聞き入っていました。
この貴重な経験は、次の原爆資料館見学にいかされることになります。資料館で展示物を見る子ども達の目は、真剣そのものでした。焼け焦げた死体の写真や被爆者の方のビデオなど、実際に途中で目を背けてしまう子もいました。それでも必死にもう一度見ようとする表情に、子ども達の意識の高さを感じることができました。
この日の午後、爆心地・平和公園と歩き、千羽鶴を捧げました。また翌日のバスの中ではガイドさんが、永井隆博士の生涯を中心に、原爆や戦争と平和について語ってくれました。真剣に耳を傾けている子のなかには、涙を浮かべながら、あるいは鼻をすすりながら聞いている子もいました。