10月22日(金)第3時限目の国語の授業で、中等部3年1組12名が、本校図書コーナーをリフォームしてくださっている児童文学評論家の赤木かん子先生にインタビューを行いました。
会うたびに髪の色が違うかん子先生に生徒たちは興味津々です。いきなり「なぜ髪を染めようと思ったのですか?」と尋ねましたが、かん子先生は笑って、
「疲れたからです。子どもに関わってくる大人の中には、『子どもはこういったすぐれた本を読まなければならない』と考えているおばさんたちがいます。そういう人たちと話をしていてある時とても疲れたんです。そしたら、金髪にしたいな、と思ったんです。私の中の声に従って、金髪にしてみたら、そういったうざったいおばさんたちがみんな逃げて行ったんです(笑)『そうか、これかぁ!』と思いました。……私の仕事の1つは講演です。黒い髪でまともなことを言うよりも、赤い髪でまともなことを言う方が人は聞くの。だから、髪を染めているもう1つの理由は仕事に都合がよいからです」ときちんと答えてくださいました。そして、
「私たちにおススメの本はありますか?」
「それは個人差があり、皆さんがどこまで読めるか、そして今何に苦しんでいるかによって違います。人が面白いと思う本は、その人が現在悩んでいることや苦しんでいることについての答えが書かれている本です。『そうか!』と思える本が面白いんです。だから、悩みが違えば面白いと思う本も違ってきます。全体としてはあるけれど、個人としては皆さんのことを知らないのでわかりません」
「どうしたら本を速く読めますか?」
「段落を斜めに読むことです。キーワードを読んだら次に行っちゃうの。でも、私は基本的には速読はしません。理由は、モ・ッ・タ・イ・ナ・イからです(笑)せっかくお金を出して買った本を斜め読みしたらもったいない。だから私はできるだけゆっくり読みます。でも、私は速いです。350ページのミステリーだったら、だいたい1時間です。速く読もうと思ったら15分で読める。でも、もったいないからそんなことはやりません」
「私は本を読むのがあまり好きではありません。どうしたら本を好きになれますか?」
「本を好きになる必要はありません。本は使いこなせればいいんです。本には大雑把に分けてリアル系と空想系があります。リアル系というのは、この世にある本当のことを書いたもの。今皆さんが本という時に思い浮かべるものは小説だと思います。本=小説、読書=小説を読むこと、と考えている人が多いのです。図書館では0~9の数字を使って本を分類していますが、0~8は全部リアル系です。『私は本がきらいなんだ』と思っている人の大半は、本が嫌いなんじゃなく、小説が嫌いなんです。本は楽しみのためにも読みますが、必要な情報を得るためにも読むので、好きにならなくても、使いこなせればいいんです。……無理して小説読む必要はない。それよりも目次と索引が使いこなせるほうが先です」
というように、生徒一人ひとりの質問に丁寧に答えてくださいました。生徒たちはメモをとりながら、かん子先生のお話に真剣に耳を傾けていました。
(インタビューの全文は10月30・31日の本校文化祭「なでしこ祭」で発表されます)
以下は生徒たちの感想の一部です。
「質問のたびに面白い答えが返ってきてとても楽しかったです。本は好きにならなくてもよいと言われた時には驚きましたが、使えればいいと言われてなるほどと思いました」
「本を斜めに読む読み方を試してみたいと思いました」
「〝すごい〟と思うこと、〝なるほど〟と思うこと、〝面白い〟と思うことをたくさん聞かせてもらえて、すごくためになりました♪」
「髪の色の質問にも真面目に答えてもらえてうれしかったです」
「赤木先生は、1つの質問にたくさん答えてくれて、もっと聞いていたいと思いました。もっと他の話もいろいろと聞かせてほしかったです」
「本は読まなくてはいけないものだと私は勝手に思い込んでいましたが、使えればよいのだと言われて少し気持ちが楽になったような気がしました」
「赤字覚悟でリフォームを続ける理由が『子どもたちの喜ぶ顔が見たいから』だと聞いてとても感動しました」
「『自分が何かをやってあげることは道楽。他人から頼まれてやることが仕事』と言われ、なるほどと思いました」
「なぜカエルのぬいぐるみを図書館に置くのか、その理由がわかってよかったです」