先週嬉しいことがありました。
キンランの話を以前にしましたが、同じ仲間のギンランも校内に生育しているのが見つかりました。場所は校門を入ったすぐ右手で、小さな白い花を咲かせています。全部で4・5本見ることができます。同じ絶滅危惧種のキンランは毎年多数見ることができましたが、これまでギンランは1・2本しか見ることができませんでした。キンランに比べると小ぶりで地味ですが、これからも毎年花を咲かせてほしいと思います。

この時期になると、いつも2つの句が思い浮かびます。
1つは、「目に青葉 山ほととぎす 初がつお」です。
今から300年ほど前の江戸時代の人で、山口素堂という人の句です。正しくは、「目には青葉 山ほとゝぎす 初がつほ」だそうです。この人は、松尾芭蕉と兄弟のように親しく交わっていたそうです。1つの句の中に、「青葉」と「ほととぎす」と「初がつお」という3つの季語が入った珍しい句です。
ホトトギスは、5月になると海を渡って日本にやってきます。托卵という他の鳥に卵を育てさせる習性を持った鳥で、よくウグイスに卵を預けるそうです。
今の時期、ウグイスの「ホーホケキョ」という鳴き声を教室でも聞くことができます。しばらくすると、ホトトギスの「東京特許許可局」や「テッペンカケタカ」と聞こえる独特の鳴き声も聞くことができると思います。

もう1つは、「万緑の中や 吾子の歯 生え初むる」の句です。
明治から昭和にかけての人で、中村草田男という人の句です。わが子の成長を感ずるのは、親として大きな喜びです。とりわけ、初めて歯が生え出した時の感動は、生涯忘れられないものがあります。周囲の木々がその緑を色濃くしている情景と併せて、その喜びが素直に表現された印象に残る1句です。
「万緑」という言葉に、人間も含めた動植物や全ての生き物が持つ生命力の証し、生命の伸びゆく勢いが込められています。この句を思い浮かべる時、生きることへの勇気や闘志をかき立てられるのは先生だけではないと思います。

生き物全てが逞しく生長する時期です。
皆さんも、今一度自分の目標を再確認してください。そして、翠陵の生気に満ちた新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んで、目標達成を目指し大いにチャレンジしていってください。

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