中学生の廊下の出窓に理科の標本が展示されています。化石の標本の中に、“メタセコイア”があるのを見つけました。
新生代第三紀漸新世ですから、今からおよそ3000万年前ごろの地球が温暖な状態だった時代のものです。発見場所は北海道の赤平です。
長い間すでに絶滅した植物と考えられていましたが、1945年に中国四川省でその生育が確認され“生きている化石”と呼ばれるようになりました。
その珍しい植物“メタセコイア”が、実は翠陵のキャンパスに生育しているのです。
第2グラウンドの脇に、初代の校長山本太郎先生の功績を称える記念の木として植えられています。山本先生は若い時にアメリカに留学し、その時の経験をたびたびお話ししてくださいました。留学先のアメリカ西海岸には、世界一の巨木と呼ばれる“セコイア”が生育しています。大きいものは、樹高が100m近く、樹齢も2000年に達するそうです。思い出深い“セコイア”と良く似た葉を持つ“メタセコイア”が、山本先生にふさわしい木として選ばれ植樹されました。
もう一つの記念品についてもお話します。学生食堂に大きな置時計が置かれています。
これは3代目の校長阿部巖先生のご功績を称える記念品です。阿部先生は、“翠陵の生みの親”と言える存在の先生で、開校準備の段階から中心的な役割を担い翠陵の発展のためにご尽力されました。時間にはたいへん厳しい方で、教員は集合時間の1時間前ぐらいまでに集まるようでなければと指導されました。私たちは、これを“阿部時間”と呼んでいました。そこで、学生食堂の置時計は、わざと時間を1時間早めているのです。
歴代の先生方は皆、校訓「考えることのできる人」の育成にご尽力されてきました。皆さんは、伝統あるその精神をしっかりと受け継ぎ、翠陵生らしく成長していってほしいと願っています。
一つひとつよく考え、しっかり判断し、責任を持って行動できる人に一歩一歩近づいていってください。
人だけでなく、すべての生き物、そして物に対しても優しく思いやりを持って接することができる人になってください。