その番組の中で面白いなと感じたことがあります。部活動紹介コーナーが“しゃかりき”という名前だったことです。“しゃかりき”という言葉は今の中高生には使われていない言葉だと思っていましたが、そうではなかったことです。“しゃかりき”とは、夢中になって何かに取り組むことを意味しています。お釈迦様が人びとの幸せのために力の限りを尽したことから、夢中になって取り組む姿を、“お釈迦様の力=釈迦力”と言うようになったと伝えられています。
“しゃかりき”になって生きている人を紹介します。
同じ先週の金曜日、高3のLHRの時間に「卒業生による進路講話」が開かれました。講師は、卒業生の田辺希さんです。大学を卒業しNHKのアナウンサーになり、最初は岩手県の盛岡、次は宮城県の仙台、そして横浜の各放送局に計10年ほど勤めました。現在は、フリーアナウンサーや気象予報士、野菜ソムリエとして、テレビや講演、雑誌など幅広い分野で活躍しています。
与えられた原稿を読むことが多いアナウンサーの仕事と違って気象予報士の仕事は、毎朝2時に起きて刻々と変わる気象データを分析し、番組開始の数秒前までどのように分かりやすく伝えたら良いのか考えながら仕事をしているそうです。気象予報士の資格を取得するためには難しい試験にパスしなければいけませんが、田辺さんは一発で合格しました。「頭が割れそうになるくらい勉強しました。」と話していました。
その田辺さんに、東日本大震災報道の応援依頼がNHKからきました。危険だからという心配の声もありましたが、かつて取材で訪れた場所が地震や津波の被害に遭い、復興もままならず、厳しい避難生活を続けている人びとの様子を伝えることは自分の使命だと思い、1週間の内で仙台、長野、静岡などを回って仕事をする超多忙な生活を半年間繰り返してきました。
田辺さんは講話の中で、次のようなことを話してくれました。
・高校時代にもっと勉強していれば良かったこと。
・無駄なことは何一つないということ。
・自分を成長させるためには、いろいろな人が居る所に身を置くこと。
・今の自分と高校時代が深くつながっていること。
・自分に限界を設けないこと。
・夢を叶えるための具体的な方法について。
そして、自分が気に入った言葉を書き留めて置くことも。
田辺さんは、特に好きな言葉として2つ挙げました。
「何もかも失われた時も、未来だけは残っている。」
「希望は人を成功に導く信仰である。希望がなければ何事も成就するものではない。」(ヘレン・ケラー)
田辺さんは、高3生が終礼で書いてくれたコメントを読み感動していました。「自分の話をこんなに熱心に聴いてくれたんだ。」「自分の好きな言葉をたくさんの人が持っているんだ。」と。
高3生が書いてくれた好きな言葉をいくつか紹介します。
「 Tomorrow is another day !」
「在るがまま、想うがまま。」
「努力は必ず報われる。」
「自分に誇りを持つ。」
「幸せは自分の心が決める。」
「今日が私の残りの人生の最初の一日。」
好きなことに打ち込める、没頭することができる。これは、若者の特権です。
皆さんは、“しゃかりき”になって生きることの素晴らしさ、大切さを学び、ぜひ実行していってください。