皆さんが冬季休業中に取り組むことの一つに、新しい年の目標をしっかりと立てることをあげました。
今年の干支の卯にちなんで、「跳ぶ」とか「跳ねる」という意味の言葉を使った目標を掲げた人も多いと思います。
卯年にあたり、中国の故事「株(くいぜ)を守る」という話を紹介します。
株(くいぜ)とは、木を切り倒した後の切り株のことです。
ある日男が畑を耕していると、森から兎が飛び出して来て、切り株に頭をぶつけて死んでしまいました。それから男は、畑仕事を投げ出し、毎日切り株を見張りました。しかし、再び兎を手に入れることはできず、畑はすっかり荒れてしまい、皆の笑い者になってしまいました。
この「株を守る」という話は、童謡「待ちぼうけ」の基になった話としても知られています。
「待ちぼうけ」の詞の作者は、北原白秋です。
待ちぼうけ、待ちぼうけ。 ある日、せっせと、野らかせぎ、 そこへうさぎが飛んで出て、 ころり、ころげた 木のねっこ。
待ちぼうけ、待ちぼうけ、 しめた、これから寝て待とうか、 待てばえものは駆けて来る。 うさぎぶつかれ、 木のねっこ。……
中国の戦国時代、韓の国に韓非という人がいました。
韓非は、韓の国力を回復するためには、思い切った政治改革を行わなければならないと主張しました。しかし、多くの人たちは、今までの政治のやり方を変えることに反対します。韓非は、反対する人たちに、この「株を守る」話を例に出し、以前のことにこだわってばかりいると、現状を正しく理解できず、大きな過ちを犯すことになると説きました。
皆さんの新しい目標が達成できるよう努力してもらいたいと考えていますが、うまくいかない時はその原因がどこにあるのか冷静に判断してください。もし、今までのやり方に問題があるようでしたら、思い切ってやり方を変えてみることも時には必要です。
旧習にこだわって臨機応変の処置が出来ないことを表す、「守株(しゅしゅ)」という中国の諺があることを覚えておいてください。
新年が良い年になるよう、皆さんの頑張りに期待しています。