ようやく受験シーズンが終わった。今年は当初から予想された以上に私学にとって厳しい入試であった。
少子化と長引く不況、震災後の経済社会の不透明感と通学の安全への配慮など、私学を取り巻く環境は大変厳しいものであった。また、女子校人気の低落、公立の中高一貫校への期待と授業料無償化の現実も、私たちの学校にとって逆風になっているようだ。
そんな中での中学受験は、近年の経験の中では応募者においても入学者の数においても例年を下回り、残念ながら願っていた募集定員を完全に満たすことが出来なかった。
今まで各地の私学が経験してきた現実を、私たち自身が多少味わうこととなった。
冷静に分析してみると、受験者の減少は集団としての質の低下(不本意入学者の増加)にはつながっていないと思われる。本校の教育を重んじて志望してきた人たちが、いわゆる偏差値を度外視して、今年も多数入学してくれた。
先週末に入学ガイダンスが実施されたが、積極的で温かい雰囲気があり、非常に良い学年が形成されるだろうことが予想され、彼等の成長を楽しみにしたいと思わされた一日となった。
出願が始まってから今日まで、正直に言うとずいぶん長い日々であった。
現実に応募者が減少するということは、どのような不安を引き起こすことなのかを体験させられた。
学校の責任を担う者の一人として、焦燥感と重圧を感ずる日々であった。しかし不思議なことに、そのような中にあっても、思っていた以上の励ましと慰めが与えられることも経験した。期待を持って入学してくる人たちが非常に多いことも確認させられた。思っていたより多い人数が入学することも確定した。
確かに周囲の環境は厳しいものがある。来年度に向けて考えていく課題も多いことを自覚している。
しかしもう一つの現実は、この学校の中にある生き生きとした関係性だ。課題を課題として共に分かち合うことの出来る教職員の集団、前向きに学校生活に取り組む生徒達、教育方針を理解して協力的である保護者達、これらの人たちに囲まれて教育の業に臨むことが出来ることを改めて感謝した。そして、今年の分を何とか取り返すために希望を持って、新しい挑戦に励みたいと心からの意欲が涌いてくることを感じている。