■講演会について
国語科では校内百人一首大会を、古典と伝統文化に親しみ、日本人としての感性
および言葉の力を育む目的で、長年、継続してきました。また、遠足・林間学校
などで短歌を詠み、言葉を磨き豊かな心を持ってほしいと願っています。
現代の状況を鑑み、「聴く力」を高めることの必要性を痛感します。そこで、和
洋学園の理事でもあり、和洋国府台女子中学校高等学校の短歌指導に、ご尽力頂い
ている、和歌文学・百人一首がご専門の国文学者の神作光一先生に講演をお願い致
し、百人一首大会を更に意義深いものにしたいと考えました。
神作先生は、中学1年生から3年生を対象に、丁寧に分かり易く、具体的な例を引
きながら「百人一首の歴史と短歌の詠み方」についてお話し下さいました。生徒た
ちは熱心にメモをとりながら聴き、最後には「百人一首の覚え方」についての質問
も出ました。
その後、3年生から1年生まで学年百人一首大会を連日実施し、代表者は2月に春望
亭で行われる学年対抗戦に出場します。
■講師紹介 神作光一 先生
1931生。市川市在住。和洋学園理事。元東洋大学学長。先生が24年前から始め
られた「現代学生百人一首」は、全国から毎年6万首の応募があり、現在は600倍の
競争の中、和洋は毎年の入選を続け、2010年1月、学校特別賞を受賞させていただいた。
国文学者・文学博士・歌人。日本歌人クラブ名誉会長。市川手児奈文学賞実行委員会
顧問。2006年3月、市川市じゅんさい池に歌碑を建立。
「夕焼けの移ろひまでも映しつつやがて暮れゆく大きなる池」
研究書『曾祢好忠集の研究』、自選歌集『葛飾真間』、『まんが百人一首辞典』他
著書多数。
■講演の要旨
小倉百人一首は約700年以上の伝統がある。百人一首の中で、43首は恋愛の歌である。
恋の歌は、1から5まで恋愛の段階に合わせて分けることができる。異種百人一首が
多い。
数年前、和洋中学で、かるたクイーンの渡辺令恵さんが模範演技をして下さったが、
今年も近江神宮(滋賀県)にて、かるた名人戦・クイーン戦が開催される。NHKの
番組で、(先生の)対談が予定されている。
短歌は俵万智さんの『サラダ記念日』によってブームとなった。その頃、東洋大学
が百周年を迎え、記念行事の一つとして現代学生百人一首をスタートさせた。現在は
6万首の応募がある。この間、俵万智さんの協力もあった。和洋からも毎年の応募入選
が続いている。
短歌の詠み方として、辞書を引くような難しい言葉は使わず、誰の心にも届くような
のが良い歌。短歌は下の句(7・7)が優れたのが良い歌。特に結句が良い歌が選ばれ
る。素材の新鮮さ(キレ)と、口ずさみたくなり感動を与える(コク)が大切。うれし
い悲しいの感情語を使わず、具体と具象で表現しよう。
百人一首の覚え方は、手を使って覚えると良い。「あ」で始まる歌が何首あるかなど、
頭に表を作る。間違えやすい歌がいくつかあるので、しっかり聴くことが大切。
■VOICE
(1年生)
・日本の文化を日本人が守ることは素晴らしい。伝統を大切にするため百人一首を覚える。
・最後のかるたを覚えるコツがためになり、メモをとりました。さすがプロのかたです。
・すっと読めて心にしみる歌を私も詠みたいです。丁寧に教えて頂き有り難うございます。
(2年生)
・百人一首の歴史に触れられてとても良かったです。遊び感覚で楽しめます。
・和洋でなぜ百人一首や短歌をやるのかわかりました。言葉を磨くは心を磨くですね。
・神作先生のお話を聞いて、これから作る短歌が楽しみになりました。
・先生の話の内容はとてもわかりやすく、聴いていて「なるほど」と飽きませんでした。
(3年生)
・百人一首にたくさんの種類があると知って驚きました。
・私も人を感動させられるような短歌を作っていきたいです。
・一番印象に残ったのは、短歌や百人一首を通して人間がつながっていることでした。
・日本人としての心を詞に表現することの大切さと素晴らしさを知りました。