3年生全員で比較・統計を行った「ダンゴムシとワラジムシの実験」の結果を、代表生徒と理科の砂川先生が、大阪大学で行われた日本動物学会で発表しました。
■ダンゴムシとワラジムシの行動比較 (平成24年度日本動物学会で発表)
【要旨】
ダンゴムシ、ワラジムシは庭先を始めとする身近に見られる生物です。“ムシ”とついていますが、ムシではなく甲殻類(エビの仲間)です。
この2種は、近い仲間で行動もよく似ています。その一つに「交替性転向反応」というものがあります。この行動は、左右ジグザグに動くことで、効率的に捕食者から距離をとる逃避行動の一つとして知られています。違いは、丸まるのがダンゴムシ、丸まらないのがワラジムシです。丸まることの意味は、捕食者からの防御姿勢だと考えられています。
本研究ではまず、その「交替性転向反応」の正確性を両種で比較しました。その結果、ダンゴムシの方がワラジムシに比べ有意に正確性をしましました。また、歩行速度を比較したところ、ワラジムシの方が有意に速く逃げることが確認されました。
以上の実験結果より、ダンゴムシは、丸まること・逃げることの正確性で歩行速度をカバーし、ワラジムシは歩行速度が速いことで、逃げることの不正確さ・丸まらないこのことをカバーしていると考えられます。
【発表を終えてみて】
今まで多くの発表を行いましたが、その中でも一番の反響で、様々な方から質問をいただきました。会場を出た後も声をかけられました。他大学からも今後の研究についてのお声がけや、メールをいただいたりしました。
同行した生徒も「難しかったけど生物学が楽しく思えてきた。将来はこの分野に進みたい」と話していました。日帰りの弾丸ツアーでしたが、生徒の心にもインパクトの強いものになったようです。
今回の研究のポイントは2つ。1つ目は、みんなで新しいことを発見し、考察をする・2つ目には、身近な生物に注目するとうことです。科学は身のまわりにあふれており、注目する点によっては、新しい発見に満ちあふれていることを感じてほしいです。
理科教諭 砂川俊輔