3月19日から23日まで「第132回 日本森林学会大会」が開催されました。

SI部継続研究班の高校1年生(現2年生)2人が高校生ポスター発表で参加し、「特別賞」を受賞しました。
以下は、参加した生徒二人が書いた報告です。

【ポスター発表とは】
会場に掲示したポスターに興味を持った参加者に、対面で行う発表形式です。今回は、オンラインでの開催だったため、参加者はウェブ上でポスターを閲覧し、チャット機能を用いて質疑応答しました。

【発表内容・研究活動】
森林学会では、森林や湿原、そこに住む動物について発表します。私たちは、中3の時「科学研究チャレンジプログラム」で西表島へ行き、マングローブに興味を持ったことから研究が始まりました。
ここで、少しマングローブについてお話します。

マングローブは、熱帯・亜熱帯の海水・淡水が混じり合う「汽水域」と呼ばれる特殊な環境に生育する樹種の総称のことを指し、西表島では7樹種見られます。私たちは調査対象に、代表的な3樹種を選びました(写真参照)。

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それぞれの根に注目してみると、どれも特徴的で面白い形をしていますね。そのため、実際に現地で樹種を見分けるには根に注目すると判別できます。3樹種ともそれぞれの見た目からついた根の名称があります。 例えば(一番左から)、たこ足の形から支柱根(しちゅうこん)、板のような形から板根(ばんこん)、膝の折れ曲がった形に似ていることから膝根(しっこん)と呼ばれこれらは、軟らかな土壌でもしっかりと根を張り、幹を安定させています。

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しかし、幹を安定させるまでには何十年も時間がかかります。なぜなら、「散布体」と呼ばれる種子のような役割をするものが母樹から落下後、水中を漂いながら土壌に定着することがとても難しいことだからです。「散布体」は自らを定着させやすくするために、ある程度の大きさと重さを持っていますが、残念ながらそのほとんどが定着出来ず、そのまま沖へと流されてしまいます。

これらを踏まえて、学校での実験は西表島で観察したことを再現しました。例えば、塩分濃度の違いによって「散布体」の漂い方が異なるのか、土壌に定着してからは色々な方向に挿しても発芽・発根するのか研究しました。

実験を進めていく中で、専門家の先生方から関連する論文をご紹介頂く等、ご指導していただきました。また、昨年末に開催された「日本マングローブ学会大会」に参加した際、モーリシャス沖での重油事故で現地調査された先生のお話を伺うことができました。重油で汚染されたマングローブは、そこに生息する鳥、魚だけでなく、食料とする現地の方々の生活も影響が出ていることを知り、生態系の大切さを改めて感じさせられました。

【日本森林学会大会に参加して】
学会に参加した他の高校生の発表は、自分たちで木を伐採したり、蜂の巣箱を作ったり、ドローンを使った調査など応用的なものが多く、良い刺激を受けました。私たちの発表に対して質問やご意見をいただき、次に繋がることを教えていただきました。

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学会の最終日は、表彰式と、高校生と大学生の間でパネルディスカッションが行われました。表彰式では、「特別賞」という栄誉ある賞を頂き、これまでの努力が報われたようで嬉しい気持ちになりました。

 

パネルディスカッションでは、世界中で起きている山火事が及ぼす影響について、意見交換をしました。山火事と聞くと悪いイメージを持ってしまいますが、生態系を革新する役割もあるとお聞きしました。自分だけでは知りえなかったことも、最前線で森林研究をされている大学生の方々との論議で、私たちの考える視野がさらに広がりました。

 

【展望】
今回の学会はオンラインでの開催だったので、より多くの方にじっくり発表を見ていただけたと思います。学会に参加したことで、新たな疑問も生まれ、今後も研究を続けていこうと思います。
この記事を読んで、少しでもマングローブに興味を持って頂けたら幸いです。最後までお付きいただきまして有難うございました!

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