iP classの中学1年生が、岩手県の陸前高田・気仙沼で研修を実施しました。

今年で3年目となるこの研修では、毎年iP classの1年生がこの地を訪れ、「命」をテーマに様々な体験をします。座学では学べない、肌で感じる学習をする事で、見聞を広め感性を磨く「フィールドワーク学習」です。

8月3日(木)

研修3年目で初めての開催となる『民泊プログラム』を実施しました。生徒3〜4名ずつのグループに分かれ、陸前高田市の家庭で過ごす1泊2日のプログラムです。民泊で行う内容は各家庭により違いますが、陸前高田市の街のことや震災の時の話、家庭での仕事のお手伝い、海遊び、名所巡りだけでなく、地元の食材をふんだんに使ったご馳走までしていただきました。また2日間を通して、地元の方々の考え方を聞きながら、東京での生活との違い、地方の良さ、不便さを学ぶ時間となり、とても有意義な時間を過ごすことができました。

8月4日(金)

民泊でお世話になった方々との別れを惜しみながら、午後のプログラムがスタートしました。渡邉校長先生のガイドでめぐる『奇跡の一本松』ツアーです。校長先生の「7万本あった高田松原を含め、田畑も家も店も全て流されてしまった中で一本だけ残った松の木、これこそ奇跡だ。」という話を真剣に聞く生徒たちの姿が印象的でした。

 

また、その奇跡の一本松の望める地に陸前高田Watamiオーガニックランドという「環境」「生命」「食糧」「未来」について学ぶ事ができる日本最大級のオーガニック農業テーマパークを作り、6次産業モデルを広めていく決意も聞くことができました。この話の中で、生徒たちに、積極的に考えることの大切さ、常に問題意識を持つことが、成長していく上で大切であることを教わりました。

20年後の完成を目指すオーガニックランドは今年、市民の集いの場所として世界的な建築家隈研吾先生のデザイン、設計による音楽堂が完成しました。そのこけら落としに参加させていただき、設立の思いを改めて感じる事が出来ました。そして、この音楽堂では来年から「高校生ダンス全国大会」が開かれることが発表され、ダンス部の生徒がキラキラと目を輝かせていました。

8月5日(土)

3日目は、震災学習です。『気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館』に行き、高校生語り部さんの案内で、震災被害をそのまま残した校舎を見学しました。校舎4階まで押し寄せた津波の爪痕が今も残り、その驚異の中で避難した生徒の様子、学校に残り書類を守った先生方の心境が、10年以上の時を経ても生々しく伝わってきます。改めて、津波の恐ろしさを目の当たりにし、驚きと恐怖と悲しみを感じました。また、拝見させていただいた卒業式のビデオを通じて、今日という日が当たり前でないことを改めて知ることができました。

午後は、陸前高田にある『長洞元気村』に移動しました。そこで、震災による被害を受けたお宅を訪問し、当時の状況を聞きました。震災の時どのような行動すべきかをゲーム形式で考えることで、想定に囚われず最善を尽くして率先避難者となることが、自らの命を守る行動に繋がるということを学びました。さらに、陸前高田の特産品である「わかめ」の芯抜き体験もさせていただき、生徒たちの良いお土産ができました。

夕方は、ロッツ株式会社の富山社長様に講演いただき、発酵をテーマに「食」の問題や「発展途上国」の問題、「製造販売」の話を熱く語っていただきました。思いのこもった商品は、価格だけでは判断できない価値があることを学びました。

夜は、気仙沼港祭りに参加しました。震災やコロナを乗り越えて賑わうお祭りで、地元の方々のエネルギーを分けてもらうことができました。

8月6日(日)

最終日は、『オーガニックランド』で過ごしました。葡萄畑のソーラーシェアリングの説明や堆肥の施肥などを通して、循環型農業について学び、お昼は、地元の食材を使用したバーベキューを食べ、「エネルギー・食料・環境」がどうあるべきかSDGsの観点から考える学習になりました。

3泊4日という限られた時間の中で、「いのち」について今まで以上に意識した時間を過ごすことができ、「今何をすべきか。これからどう生きていくべきか。」を考える濃密な時間となりました。また、毎晩行っていた夜の振り返りでは、日々の体験で感じたことや思いを発表という形で仲間と共有し、学びをさらに深めることができたことでしょう。

この体験学習は、始まりの学習です。学校に帰ってからも、研修の学びを活かした学習は続きます。生徒達が、一日一日を大切に学習できるよう、生徒一人ひとりを見守っていきます。

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