今回ご紹介するのは、本校OBが教育実習生として来ていた際に行った、アミラーゼのはたらきを調べる実験です。

例年だと、実験班の班長になった生徒のだ液を採取して行うものの、新型コロナウイルスの感染が拡大している状況下では、だ液を使うことがはばかられます。そこで、だ液の代わりにダイコンのしぼり汁や整腸剤のアミラーゼを用いることにし、上手くいくかどうかを確認するために事前に実験をしたところ、だ液のような理想的な結果は出ませんでした。教育実習生は、試行錯誤を繰り返しながら実験を行い、なんとか理想に近い結果が出る整腸剤の濃度を割り出しました。これだけの準備を行った上で、いよいよ本番、生徒との実験です。

実験では、まずデンプンのりを試験管2本に取り、一方には水、他方には整腸剤の酵素液を加え、適温の状態で5分間反応させます。その後、それぞれについて、ヨウ素液でデンプンの有無を、また、ベネジクト溶液で麦芽糖の有無を確認します。だ液を用いた実験ではベネジクト溶液の反応が出る(=デンプンがすべて麦芽糖に分解される)だけですが、整腸剤の酵素液を用いた実験では、ヨウ素液の反応とベネジクト溶液の反応のどちらも出ました(=デンプンのすべてが麦芽糖に分解されない)。授業では、その理由も生徒に考察させました。

なお、準備の段階で、教育実習生が自分のだ液を用いた実験も行いました。デンプンのりに水を加えたもの、適温のだ液を加えたもの、高温にした後で適温に戻しただ液を加えたもの、低温にした後に適温に戻しただ液を加えたもの、低温のままのだ液を加えたものの5つで実験を行い、1回で理想的な結果を得ることができました。この結果を撮影しておき、演示実験として生徒たちに見せました。

生徒たちは、この実験でだ液のはたらきに付いて学ぶとともに、駒込ピペットの使い方や、試験管の洗い方を覚えることができました。実験する上で必要なスキルを次々と身につけていく彼らを頼もしく思います。

余談ですが、教育実習生の発した「人のだ液はすごい!」という一言が、実に印象に残りました。実験準備の際にダイコンのしぼり汁や整腸剤を使って四苦八苦していた教育実習生の、偽らざる感想だと思います。

(中学1年化生担当者)

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