地理部では3月27日と28日の2日間,春合宿を行いました。今回の調査対象地域は栃木県です。栃木県は大きく宇都宮,日光,足利,那須の4地域に区分されますが,今回の合宿では宇都宮と日光の2地域を対象に調査しました。宇都宮地域は栃木県の中央に位置し,県庁所在地でもあります。世間的には「餃子の街」として有名ですが,江戸期から本格的な採掘が始まった「大谷石」の採石場があったり,約70年ぶりに新規開業した次世代の路面電車「ライトライン」が走ったりと,過去と未来が入り交じる都市です。

日光地域は,東照宮や二荒山神社などの世界遺産にも登録された寺社を有する一方,明治期以降には軽井沢や箱根とならぶ西洋式の保養地として発展した地域です。また,火山である男体山が作り出した「華厳の滝」などのダイナミックな地形は国内外に広く知られています。そして,日光地域の足尾では1970年代まで銅鉱の採掘と精錬が行われ,日本の近代工業を支えてきました。

このように地形、歴史、産業、文化に富む栃木県の2地域を,2班に分かれて調査しました。この合宿で調査した内容は, 2024年度発刊予定の「ちりレポ第22号」に掲載する予定です。

〔合宿1日目〕

1日目の調査は日光地域です。奥日光の班と足尾の班の2班に分かれて調査をしました。

奥日光の班はまず,この地域にみられる特異な地形を観察しました。中禅寺湖は男体山の噴火で流出した溶岩などが堆積し,河川を堰き止めて出来た湖です。堆積物の厚さは100mほどあり,その崖には華厳の滝が流れます。

男体山と中禅寺湖

華厳の滝

明智平からは奥日光の景観が一望できますが,前日に季節外れの大雪が降ったおかげで銀世界の美しい景観が広がっていました。部員達もわーっ!!と声をあげていました。

明智平で集合写真

足尾の班は,渡良瀬川に沿って走る「わたらせ渓谷鉄道」にゆられ,かつての鉱山町の中心を目指しました。

渓谷鉄道について説明をする部員

足尾銅山の跡地では,観光用トロッコに乗り,実際に銅鉱を採掘していた坑道を見学しました。採鉱の様子や当時の技術力,労働環境の過酷さなど,実感したようです。

足尾銅山で集合写真

坑道内の様子
夕食後はミーティングを開き,1日目の成果や感想などを発表し合い,みんなで情報を共有しました。今回の合宿には昨年卒業した大学1年生のOBが駆けつけ,城北での思い出や大学受験へ向けての勉強方法などを話してくれました。

ミーティングの様子
〔合宿2日目〕

2日目は全員で宇都宮地域を調査しました。午前中は全国的にも有名な石材「大谷石」の採石場を見学し,午後は部員が各自で事前学習した内容をもとに宇都宮市内の見学を行いました。

「大谷石」は宇都宮市の大谷地区から採石される凝灰岩でやや緑色がかっているのが特徴です。耐火性に優れ,旧帝国ホテルの建築材にも使われました。大谷石の資料館では,かつての採石場に入ることが出来て,その中の様子は巨大な地下空間となっています。

大谷石の説明を聞く部員

巨大地下空間

午後の宇都宮市内見学では,各部員が博物館に行ったり,ライトラインに乗ったり,餃子を食べ歩いたりと,満喫していました。中には餃子の名店で食べるため,1時間以上も並んだ部員もいました!!

次世代路面電車「ライトライン」

宇都宮餃子

部員達は春休みを利用して,今回の合宿のレポートを執筆しました。そして新年度が始まり,部員達は次回の巡検地の事前学習に取り組んでいます。地理部が現地調査して作成したオリジナルの調査報告書『ちりレポ』は国立国会図書館のほか、首都圏の主要大学の図書館にも蔵書がありますので興味のある方は検索してみて下さい。2024年度も地理部の活動にご期待を!!

(地理部顧問)

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