みなさま こんにちは。
春日部共栄中学高等学校、入試担当委員長(国語科)の牟田と申します。

ここ数年、よくご質問いただく事柄につきまして一緒に考えられたらと思います。内容的には根深い話題ですので、考察は長くなると思います。そこで数回に渡り掲載させていただきたいと存じます。

「国語力を伸ばすのにはやはり読書なのでしょうか。受験前でも本を読ませた方がいいですか?」
というご質問です。お気持ち、大変わかります。本を読むことがあまり好きではないお子さんに本を読ませるということ自体が非常に困難を極め、結果今に至っていると思います。受験前で時間がない。悠長に読書させるのは・・・好きでもないのに・・・。だけど国語が伸びない・・・。
結論
①「読書嫌い」なら本ではなく、教科書、塾のテキスト(文章)を一緒に読むところからはじめましょう。そして何でもいいから褒めてください。「この漢字読めるんだ!すごい」「こんな長い文章読めるのすごい」「読むの早くなったね」要するに文章を読むことにプラスのイメージをつけるのです。できたら、本人の趣向に合う文章の方が効果的です。
②「読書好き」なら読み方を変えましょう。「読書」が「国語力」と結びついていないのが原因と考えられますので、物語なら粗筋作り、登場人物のまとめ、いつどこで誰が何をしたかをクイズ形式で練習。説明的文章なら、テーマを見つける。当たり前の意見とそれに対する筆者の疑問や意見・主張に分ける。そう筆者が主張する根拠となることを見つける。そして、あなたはどう考える?です。

※ 本校はさらに速読と多読、クリティカルリーディングを行います。

さて、そもそも読書好きであればこのような問題はそこまで起こり得ません。
何故そこまで読むことに抵抗感があるのか。そこで少し原因などを考えてみたいと思います。
身近な読書活動として「読書感想文」から考えてみましょう。児童は小学校の長期休暇中の宿題として「読書感想文」を書かされてきておりますから、読書は児童にとって非常に辛い義務となっています。何故、義務と感じるか。まずは、書いた読書感想文を誰にも褒められた経験がないという点が挙げられます。確かに最初は極めて稚拙な文章で、何を言っているかわからない上、字は汚いし漢字も使ってない。そこで親御さんや教師は何をするか。「直す」んですね。親御さんは「やり直し」って言いますよね。教師は?赤ペンでぐちゃぐちゃにします。書いた本人は「初めて読書感想文を書いた」のです。本人はそれなりに考え一生懸命やったんです。それを汚されるんです。本人はどのような気持ちになるでしょうか。「長い文章読むのに時間かかったのに、よくわからないけど書いたのに怒られた」「めんどくさい」「どうせ」「読書感想文嫌い」「読書嫌い」「文章読むの嫌い」「国語嫌い」。要するに「読書と読書感想文は多大な時間と努力をかけても、自己肯定感を失うだけだ」となるんです。
本来なら早めに、やっておきたいこと。
①   読む本を本人の趣向に合うように誘導しながら一緒に選ぶ。
② なかなか読めなかったら負担にならない時間を決めて毎日一緒に読む。
③ その日読んだところの復習をかね、会話の中に話題としていれる。「あの場面〇〇だったね」「主人公の〇〇は〇〇君(本人の名前)みたいだね」「この後どうなるかな?」「明日も楽しみだね」
④  読み終わった後、一緒によかった点気に入らない点、登場人物がこうすればもっと良かったなどを言い合って、最初は指導者がメモを取る。その後順番に並べる。
⑤  感想文の書く順番(フォーマット)を決めて、④のメモをあてはめていく。
感想文の書く順番がわかっていれば、次は自分で書けます。
⑥ 大事なのは、悪いところは目をつむって、できるだけ褒めることと、内容を一緒に共有することです。
これをできるだけ早く行って欲しいと思います。
本校の国語が得意な生徒は大勢おりますが、入学前から国語が得意な生徒に聞いてみると次のような経験を覚えております。
① 読書を親と一緒にやった。
② 読書感想文を褒められた。
③ 家に本がいっぱいあった。(普段親が本を読んでいる姿が当たり前だった)
④ 毎日ちょっとでも時間があったら読んだ。
⑤ 大事にしている本があった。または、好きな作家がいた。
⑥ 散歩でよく本屋(図書館)に行った。
など、本に関するプラスのイメージを持っています。

※ 本校は「ことのはの軌跡」として読書活動を記録し通知表に反映させたり、「ビブリオバトル(書評合戦)」を活発化させ、読書活動を推進しております。

今回のまとめ
「読む」ということに対して抵抗感をなくすために、「読むと幸せになる」という感覚をできるだけ早くつけることが肝要。

つづく・・・

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