Apr_13_2015

こんにちは。今年もそろそろ終わりに近づいてきましたね。明日の終業式が終わると冬休みに入ります。様々な予定を立てている人も多くいるのではないでしょうか?是非充実した期間にしてください。

さて、本日は平成29年度税に関する高校生の作文で表彰された生徒について紹介します。2年1組の髙橋 李紗さんが大月税務署長賞に選ばれました。髙橋さんにインタビューしたところ、社会保障についてとても興味を持っていて、知識も豊富にありましたね。本校を訪れた大月税務署の方から表彰状と賞品が手渡されました。校長室で行われた授賞式では、少し緊張した様子で表彰状と賞品を受け取っていました。

今回受賞することができた作文を是非みなさんにも呼んでいただきたいと思いますので、ここに掲載させていただきます。


税を取り巻く義務と責任

日本大学明誠高等学校 髙橋 李紗

税と社会保障制度は義務と責任の関係と同じだ。なぜかというと、国民が納税の義務を果たし徴収された税金は、国民が最低限の生活を営むための社会保障に使われてこそ国がその責任を果たしたと考えるからだ。しかし少子高齢化が加速する現在の我が国において、社会保障費、主に年金・医療・福祉の歳出は年を追う毎に増加し財政収支の赤字が年々増加している。この現状は高校生の私が考えても現在の税制ではこの先万全な社会保障を国民に提供することが困難だと思われる。

では将来に向けて税制はどう変革していくべきなのか、私なりに考えてみたい。

まずは、国民全体で広く負担する消費税の増税を社会保障の財源にと考えてみる。それはここ十年ほど所得税や法人税の税収は不景気のときに減少しているが、消費税は毎年十兆円程度の税収が続いており、経済動向に左右されにくく安定した税と言えるからだ。しかし今の日本においては、日用品や食品等にも掛かる消費税はたとえ一%増でも生活に与える影響が大きく、単純な消費増税は中低所得者の生活をよりひっ迫させることが容易に想像できる。とすると消費税の段階的増税よりもむしろ、所得税の課税基準及び課税割合の見直しの方が先決であると考える。

では所得税について考えてみる。現在、二〇%の課税が適用される所得金額は、『三三〇万円を超えて六九五万円以下』(平成二七年度より国税庁)となっており三六五万円の幅がある。この場合境界線の三三〇万円を超える額がより小額な所得の人にとっては重い課税となってしまう。そこで所得税の課税基準の幅を狭くし課税割合を小刻みにすることによって、境界線に近い世帯の負担を軽くし生活に与える影響を最低限に抑えられるように改革することが必要ではないか。このような所得税の課税基準及び課税割合の見直しをすることによって、中低所得者の負担を軽減しつつ総合的な税収を維持、上昇させることが期待できるのではないかと私は考える。

これらの税制改革の実現と同時に納税者となる労働者の雇用環境の整備も必須である。例えば、生活保護受給の基準を満たさない中低所得者は課税対象になる上、手当てもほとんどなく苦しい生活を送っている。また非正規雇用により働いていても貧困から抜け出せない所謂ワーキングプアの存在も忘れてはならない。これらを解消する為に規模を問わず企業に働きかけ、労働環境を整備し正規雇用を増やすなどの対策をすることが納税者を増やす手段として有効だと思う。単なる増税によって税収を上げようとするのではなく、少子高齢化のなかでまず納税者となりうる働き手を増やすことも重要ではないかと思う。
そうして巡り巡って得られた税収を、国民の生活で最も直面している社会保障費に充てていくことに、国民の義務と国の責任のバランスを保っていくという税の意義と役割があると私は考える。

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