手塚秀昭のホイッスル

第98回全国高校サッカー選手権大会 山梨県大会

東海甲府に先行し、逃げ切る

第97回全国高校サッカー選手権大会 山梨県大会
日大明誠 前半 東海甲府
後半

tezuka第98回全国高校サッカー選手権大会山梨県大会4日目は、26日(土)、韮崎中央公園の陸上競技場と芝生広場の2会場で準々決勝4試合が行われ、本校、韮崎、日本航空、山梨学院のシード校が順当にベスト4に進出した。本校の対戦相手は個人技の高い選手が揃う第5シード東海大学付属甲府高等学校(以下、東海)であった。

開始早々、本校は左サイドのスペースをうまくつき、⑪黒田の粘り強いプレーから③西野ロングスローを生み、ゴール前のチャンスを掴んだが得点で出来なかった。対する東海は各選手が個人技を駆使し、ドリブルを含めた多彩な攻撃で試合の主導権を握り始めた。9分、左サイドから大きく右サイドへ展開⑨がミドルシュート打つも枠外へ。なおも攻め続ける東海は、11分、左サイドへのスルーパスから折り返しをシュートするが、惜しくもポスト脇をすり抜け本校は事なきを得た。その後も細かくパス交換で攻める東海の攻撃を何とかしのいだ本校は、東海陣内深く入り、西野のロングスロー一本でゴール前のチャンスを引き寄せ、20分、そのロングスローがゴール前に通り、クリアーボールが小さく混戦となったルーズボールの争奪戦に勝った⑥加藤友が強引に縦に持ち込みシュート、相手DFに当たりコースが変って先制点を挙げた。東海は、中盤で人数をかけてボールを保持するが、肝心のゴール前に人が少なく決定的なチャンスはなかなか生まれなかった。本校は、23分、カウンター攻撃に転じ、右サイド⑦渡邊隆のドリブルからサポートした⑨子安のクロスに、左サイドからゴール中央に絶妙なタイミングで走り込んだ黒田がヘッディングシュートを決め貴重な追加点を挙げた。黒田は今大会2試合で3点目の得点であった。攻める時間が多いが得点に結び付かない東海は、前半終了まで何度もゴールに迫るが本校の2点のリードで前半を終えた。

後半に入って、2点のビハインドの東海は、2分、左サイド深く細かいパス交換から本校DF陣を翻弄し、ゴール右隅にシュートを決め追い上げムードとなった。5分、左からのクロスにシュートを打たれたがGK①二上が好セーブで防いだ。その後も東海は、DFラインから中盤で徹底して細かくパスを繋ぎ、対する本校は粘り強く相手ボールを追い続け、時折、そのプレスに東海のミスが生じて逆襲に転じるなどして一進一退の好ゲームとなった。東海は15分、16分、19分、と両サイドや縦への効果的なパス等からチャンスを作るが長身の④足立と⑤齋藤の両CBが互いにコンビネーション良く攻撃をはね返した。本校と東海がそれぞれ一人ずつ選手を交代した27分、これまで豊富な運動量で貢献してきた東海の攻守の要の⑬がDFの裏を取り左足でのシュートはGK正面をついた。この時間帯から両チーム選手交代を頻繁に行い何とか試合の主導権を握ろうとした。東海はなおも攻勢を続け、本校の反則も増え始めFKからの攻撃に防戦一方となったがゴールを死守続けた。残り5分を切ったあたりからリズムを取り戻し、残り時間を有効に使い東海の追撃をかわし逃げ切りベスト4に進出した。

この試合を振り返ってみると、ボールポッゼッション率は東海が本校をはるかに上回っていたが、大半のパス交換が本校陣内深いエリアではないために失点の怖さはあまり感じられなかった。又、本校ゴール前の人数は常に本校DF陣が優り、相手に多くの数的有利の場面を作らせなかった。しかし、後半の失点シーンも含めて一旦本校ゴール近くまでボールを運ばれると、個人技術の高い選手に決定的なシーンを何度も作られたが、相手の決定力のなさにも救われた感がある。特にそれを顕著に表しているのが、前半11分の東海のシュートがポスト脇を外れたシーンである。勝負の世界に「れば」「たら」はないが、もし得点となっていたならば、その後の先制点と追加点は生まれる可能性は低かった。これが勝負の分かれ目であろう。DF面において本校の各選手は粘り強くボールを追いかけ回し、特にゴール前ではGK①二上を中心に体を張りDF陣の選手間の距離も適切であった。しかし、セカンドボール(敵味方が競り合った後のボール)の回収に一歩遅れが生じた場面もあり次回の戦いに向けて修正が課題となっている。先日の3回戦、そして今日の準々決勝戦と、試合毎に選手が、守(ボールを奪った瞬間)からの攻撃に転じる反応がより速くなり手間暇かけずに相手ゴールに迫るスピードが一段とアップしたことでチーム力は高まって来た。

準決勝の相手は今大会第1シードの韮崎高等学校である。リーグ戦では2戦2敗であるが、今大会の本校の勝ち方を見ても現時点のチーム力に韮崎との大きな差はなく、当時の戦績は全く参考にはならない。今年度2冠(関東大会予選・インターハイ予選)を獲得し、久々の伝統校復活を期待するオールドファンの多くが観戦に訪れると予想され、本校にとっては「アウェイの小瀬スタジアム」であるが、悲願に向かって『それら全てを含めた高い壁』を乗り越えることを期待する。

(元日大明誠高等学校教諭)

先発メンバー(学年)⇒交代(学年)
GK ①二 上(3)
DF ②小名木(2)
DF ③西 野(3)
DF ④足 立(3)
DF ⑤齋藤康(3)
MF ⑥加藤友(3) ⑯鵜 沢
MF ⑦渡邊隆(3) ⑲渡辺響
MF ⑧加藤諒(2) ⑮大 倉
FW ⑨子 安(3) ⑳鶴 見
MF ⑩五十嵐(2)
FW ⑪黒 田(3) ⑱有 泉
サブメンバー
DF ⑫石 井(3)
DF ⑬町 田(3)
MF ⑭大 倉(3)
MF ⑮山 本(3)
MF ⑯鵜 沢(3)
GK ⑰高 川(3)
MF ⑱有 泉(3)
MF ⑲渡辺響(3)
FW ⑳鶴 見(3)
に

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