第98回全国高校サッカー選手権大会

全国の厚い壁、崩せず!!

四中工の前に、善戦空しく初戦で散る!

第98回全国高校サッカー選手権大会 1回戦
日大明誠 前半 四日市
中央工業
後半

手塚秀昭のホイッスル

tezuka第98回全国高校サッカー選手権大会1回戦は、31日、千葉県蘇我市のフクダ電子アリーナで行われた。本校は、過去において優勝(両校同時)と準優勝の実績がある強豪三重県四日市中央工業高等学校(以下、四中工)と対戦し、善戦したが力及ばず敗れ去った。

今大会用に新調された目にも鮮やかな桜色のユニフォームが、十分に整備された芝生の緑と見事にコントラストを描き、バックスタンドでは、全校生徒を含めた約2000人がTシャツ・ボード・スティックバルーンを使い桜色一色に染め上げ、全国第2位の実績を誇るダンス部員(1・2年生50人)が吹奏楽部の伴奏に合わせたパフォーマンスで彩りを添え、大声援を背中に受けて試合は開始された。

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定石通り互いにロングボールを相手陣深く蹴り込み、静かな立ち上がりと思えた矢先の5分、四中工はセットプレーから競り合ったセカンドボールをシンプルにゴール前に入れ、FW⑰田口が落ち着いてループシュートをきめ先制した。四中工はこの得点でさらに攻撃に拍車がかかり、空中戦からのセカンドボールを両サイドのMF⑩森⑪和田に素早く預けそれぞれの突破からのクロスでチャンス掴み続けた。13分、右サイドを突破した⑪和田からのクロスをゴール前に詰めていた2人がスルー、逆サイドの⑩森がシュートを決め理想的な追加点を挙げた。

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開始早々に2点のビハインドを追う展開の本校は、初出場の緊張感からボールへの出足に劣り、各選手の距離間のバランスも悪く、球際でも後手にまわり相手にゲームの主導権を握られた。その後、四中工に終始攻められながらも得点を許さず、③西野のロングスローや、FK・CKのセットプレーから攻撃のリズムを掴み始めた。2年生ながらもエースナンバーを背負う⑩五十嵐が⑨子安のキープに関わり個人技を生かし、ドリブルやスルーパスを駆使して攻勢に転じ始めた。35分、センターライン付近のFKから、セットプレーでゴール前に上がっていたDF⑤齋藤のヘッディングシュートがループ気味にGKの頭上を超えゴールに吸い込まれ1点を返した。その後も四中工ゴール前に何度か迫り、流れを戻して前半を終えた。

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後半、本校は中盤で四中工の厳しいプレスをすり抜け、MF⑥加藤友と⑧加藤諒に⑩五十嵐が絡んだパス交換のコンビネーションが冴え、攻撃に厚みが出始めた矢先の7分、中盤で厳しいプレスからボールを奪った四中工は素早く左サイドの⑩森に送り、そのままドリブルでペナルティーエリア内に持ち込み、右足でカーブをかけた見事なゴールを右隅に決め追加点を挙げた。その後、四中工はシステムを1-4-5-1に変えて中盤のプレスを強め、カウンター狙いの攻撃に移行した。反撃に転じたい本校は、局地戦の球際でボールをことごとく奪われるシーンが多く、空中戦でも劣勢が続いた。何とか同点に追い付きたく、19分、主将であるFW⑳鶴見を投入し劣勢の状態を打開しようとした。24分、オフサイドラインをぎりぎりに飛び出した⑪黒田がGKと1対1になり、右足のシュートはGKの好セーブに遭い得点とはならなかった。28分、⑪黒田に代えボールキープ力の個人技に秀でた⑲有泉を入れた。この交代で前線が活性化され、リズム溢れる攻撃を仕掛けるがゴール前の精度を欠き時間が過ぎるのみとなった。四中工は3人目の交代カードを切り本校コーナー付近でボールを巧みにキープし続け、本校にとっては無情のタイムアップの笛が鳴り響いた。

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試合の流れを得失点の時間帯で振り返ってみると、勝敗の分かれ目は、初出場の緊張感が解ける前の5分と13分の立て続けの失点であり、1点目は止むを得ないとしても、2点目の失点の時間があまりにも早すぎたことが、結局最後まで響いた。県予選や12月のトレーニングマッチの試合でも、前半立ち上がりから攻め込まれるシーンは数多くあったが、体を張ったDF陣のプレーやGK二上の好セーブで得点を許さず、我慢の時間を耐えた後、本校が得点して勝利をものにしてきた。そのゲームプランが大幅に狂ったこともあったが、劣勢ながらも、前半終り近くセットプレーで1点を返し、その勢いを後半に繋げたかったが、3点目の失点も前半とほぼ同じ開始7分であり、結果的にはこの失点が試合を決定づけた。

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個々の能力において比較しても、四中工の選手はフィジカル(体幹)に強さがあり、空中戦や局面の球際でことごとく優位性を保ち続け、J3クラブ入団内定の先制点を挙げた⑰田口や、この試合2得点の⑩森を含めた前線の選手の縦への推進力は目を見張るものがあり、個々の技術は相手に一日の長があったことは事実であり、≪扉を開いた(全国大会出場)分だけ、課題も見つかった≫、と言える。

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惜しくも1回戦敗退となったが、創部以来念願の“冬の選手権”に出場を果たした実績は色褪せることはないはずである。どの強豪校や伝統校もスタートは‘初めて’が必ずあったはずであり、緊張感を何度も味わい敗退の経験が後のチーム力をさらにアップさせる要因となるものである。今後は、関東大会、インターハイ、高校サッカー選手権それぞれへの出場に加えて、“全国で勝つ”というチームとしてより高い目標が明確に定まったことが大きな収穫であることは間違いない。「神様は、人が、乗り越えられない壁は絶対作らない」

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又、この出場は多方面にも好影響を与えている。全校生徒、学校関係者、保護者卒業生、所在地の上野原市を含めた県内在住者等が割り当てられた応援席のバックスタンドをほぼ満席状態(約2000名)にし、遠来の四中工の応援席を数で圧倒的に上回り、一般客を含めた観衆4784名(第一試合時主催者公式発表)の約半分を占めスタジアムは完全に“ホーム”の様相を呈した。これはサッカー部を含めた本校全体を応援する姿勢を如実に表している。全国出場が‘人を集めて出会いの場所を提供する’の役目を担い、特に学校教育面からみても現役生徒や卒業生に、本校への母校愛とプライドを持ってもらう機会が生じたこと、そして一堂に会して、お互いに声を振り絞ってのチャント(応援歌)の大合唱は「日大明誠」の絆をさらに強くした。今大会出場のサッカー部が、本校に関わる全ての人々に好影響を与えた功績に対し大きな拍手を送りたい。

(元日大明誠高等学校教諭)

先発メンバー(学年)⇒交代
GK ①二 上(3)
DF ②小名木(2)
DF ③西 野(3)
DF ④足 立(3)
DF ⑤齋藤康(3)
MF ⑥加藤友(3) ㉒酒 井
MF ⑦渡邊隆(3)
MF ⑧加藤諒(2)
MF ⑩五十嵐(2)
MF ⑪黒 田(3) ⑲有 泉
FW ⑨子 安(3) ⑳鶴 見
サブメンバー
GK ㉑深 澤(2)
DF ⑭佐 藤(2)
DF ㉒酒 井(3)
DF ㉔津 田(1)
MF ⑮大 倉(3)
MF ⑯安 川(3)
MF ⑲有 泉(3)
MF ㉖成 澤(2)
FW ⑳鶴 見(3)
に

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