中高一貫生の高1の国語総合を受け持って、一学期が過ぎる。中間・期末試験も終了した。

 

高校生になってはじめての河合模試の結果も返ってきて、各教科偏差50台から60台をたたき出している。スタートは上々だ。だがまだまだ3教科をそろえるところまでは時間がかかりそう。

そこで開口一番、「首都圏の中学入試とまさか大学入試を同じように考えていないよね」と。ちょっと厳しい言い草だが、男子を目覚めさせるにはこれくらい強めでいかないと目が覚めない。「想定しているステージが違うよ、全国、鹿児島から北海道まで、君達が狙う都内の難関大学は受験してくる。受験する仲間は、全国にいて同じように模擬試験も受けるし、各学校の定期試験も受けている。少しも君達と変わらないが、想定されるステージはどうだろうか」

 

このことを高1で何度も想像して欲しいと思う。そこから想定される気構えや態勢というものが決まってくるはずだからだ。

 

高1からというのはちょっと早いのではないですか、というささやき声が聞こえてくるようだが、彼ら中高一貫生は中学時代、本校「創発学」ばかりではなく、校外学習に部活動にとさまざまな体験をもう思う存分やってきている。

ここは高校生になっていく時期。中学卒業時に「15年後の職業」について、その職業人に生インタビューし、研究論文を制作・発表している彼らだ。学部が見えるところまで突き詰めて、あとは進路実現へ向けて、少しずつ前のめりになっていける準備は整っているはずだ。

 

河合模試の成績が手渡された日、私と面談を希望してきた生徒は複数。自分の問題を明確にする、あるいは解決する策を練りにきた相談内容だった。進路実現が自分の問題になり、自分で何とかしようともがくようになれば、後は教員はがんばり方と耐え方を指導すればいいと思う。

がんばればすぐに成績が上がるのであれば、話は簡単だが、がんばってもなかなか成績はすぐには上がらない。そこで「耐え方」が大事になると思う。心身ともに強くなること、目標を見失わないこと。また、この夏の休み中の使い方が大事になることなどをできるだけ具体的にアドバイスした。

学習に取り組み、不安にならないのはまだ受験生として一人前ではないとも。学べば学ぶほど、不安は付きまとう。それにどう耐えるか。

 

私は座右の銘として加藤楸邨の一句をときどき紹介している。

●学問のさびしさに耐え炭をつぐ

冬の句だが、大学受験の最終ゴールは冬の孤独に耐えなければいけない。今は夏だが、気持ちは同じ。さらに「炭をつぐ」(孤独に耐えつつも秘めた情熱をさらに燃やす)ようにして彼らの夏の充実をまずは明日から始まる「夏期講習」で応援したい。

 

夏期講習・国語だけは、中高一貫生と高入生(特別進学コース)が一同に介し、お互いに刺激しあいながら学ぶ貴重な機会だ。男の子たちは集団の推進力がおのおのの力を伸ばす。このチャンスを教師も逃したくない。

明日が待ち遠しい。難関大学評論文講座のスタート。

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