先日、中高の生徒会より職員会議にて「校則を一部改訂したい」という申し出がありました。
その言葉には力があり、説明する理由はとても素晴らしいものでした。ジェンダーや経済的な問題が考慮されていないのではないかというクリティカルな視点、さまざまな価値観や状況に配慮をした意見があり、どの教員も感動した話でした。

直後の職員会議にて、取り急ぎすぐに対応したほうがいい、と思われるものについて校長から提案があり、「コートの自由化」を決定しました。
まさに生徒の声で作っていく学校、自律型学習者がつくり出す学校、というのが見えてきた気がします。

校長から、以下のように生徒たちにメッセージがありましたので、ご紹介します。

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 校則を考える・行動する ~自己決定できる主体へ~

 長く苦しかった一学期の終わり、諸君にメッセージを送った。一部を再掲する。

・・・諸君の生きるこの世界で起きつつあること、起きるであろうことを自戒も込めて話しておきたい。まずは「自由と不要」という視点。マスクの着用、外出の制限、ソーシャルディスタンスの確保等々、もう随分と長い間、諸君は不自由な生活を強いられている。この不自由を感じないためにはどうすればいいのか。様々な選択肢を予め不要なものとして捨ててしまえば良い・・・

 そして「どのような状況にあっても人として豊かに生きることを諦めてはいけない」と伝えた。さて、昨日の職員会議に生徒会代表が出席した。有志生徒が二学期より検討を重ねてきた校則改正にかかわるプレゼンのためである。タイトルは「自律型学習者が作り出すより良い学校」。教員からの質問にも気後れすることなく答える姿は立派であった。プレゼン後、我々教員は諸君から提起された課題について早速協議した。そして、厳冬期でも教室の換気が求められる現在、セーター、コート等防寒具に関わる現在の校則については柔軟に対応すべきであるとの見解で一致した。こうして、諸君の提案が契機となり、指定品以外の着用を認めると決定された。今朝のHR(zoom)でこの決定を伝えた時、生徒会役員からは「指定以外の防寒着を着用してよいということにはなったけれども、ド派手なものとかでなく、考えて着用してください。」との発言があり、それに対し何人もの生徒から「拍手」マークがあがったという。

 子どもと大人を隔てるのは「自己決定できる主体」であるかどうかに関わっている。そして自己決定能力は実際に自己決定に関わる経験を重ねるところからしか育たない。「自由」はさらにその向こう側に広がる地平である。諸君がいつかその本当の「自由」を理解することに期待する。

新渡戸文化中学校・高等学校 校長 小倉良之

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