2015T3graduate_4

只今ご紹介に預かりました本校の卒業生で、理事の須藤です。
今年の卒業生は、小学校の部で3名、中学校の部で17名、高等学校の部で41名、合計で61名とお伺い致しました。まずは皆さん、ご卒業おめでとうございます。
私は本校の8期生として1983年の春に高校一年生で入学し、1986年の3月に卒業を致しました。ですので本校を卒業してちょうど30年になります。長かったような、それでもあっという間でもあった30年の歳月です。
30年前を思い出しますと、当時の英国と今の英国では色々な面で少し様子が異なります。
当時の日本は好景気の真っただ中。サッカーの最高峰であるプレミアリーグは、当時はDivision Oneと呼ばれておりました。そのDivision Oneに属するチームの中で、数多くの日本企業が強豪チームのスポンサーとなり、各チームのユニフォーム上に日本各社の英語名が続々と登場する時代でした。また、当時の通貨価値もかなり違って1ポンドが約400円に相当。日本円に換算すると、コカコーラ1缶が何と400円相当もするという状況でした。町中ではFish & Chipsを新聞紙でくるみ、それを歩きながら食べている人が沢山行き交う光景もよく目にしました。今流行のモダンなコーヒーショップは少なく、専ら喫茶店でミルクティーを飲むのが主流で、食事も今のような多種多様なジャンルの料理を食べることはなかなか出来ませんでした。
30年ぶりに住んでみたロンドンは、随分とモダン化が進んだ印象を受けました。私が勤務しているシティ地区には斬新なデザインの建物が続々と登場。エスプレッソやカプチーノを飲む人が多く、料理のジャンルも飛躍的に増え味も良くなりました。昔ながらの良い伝統も守りつつ、新しいトレンドも受け入れて着実に進化しているロンドンの息吹を感じました。
国道A281を車で走って懐かしの母校を訪れ、約30年ぶりに本校の正門をくぐった時には心が躍動しました。皆さんが着用している制服もネクタイも昔と一緒。本館も新館も昔のまま。懐かしい先生方をお見かけし、正に高校時代にタイムスリップした気分になりました。
私自身、高校を卒業した後、なかなか母校を訪れる機会を作ることが出来ませんでした。ですので、その分英国に駐在している間は出来る限り多くの機会を見つけて本校を訪れようと決心し、毎年のオープンデーをはじめ、学期単位の終業礼拝にも可能な限り出席するようにしました。そうした中で、今のロンドンと同じく、わが母校も創立以来の古き良き伝統を守りつつも、色々な面で発展を遂げていることを感じました。
最初に驚いたのが本校の校歌。この校歌は本校創始者の縣康先生が作詞をされ創立15周年にあたる1987年、ちょうど私が卒業した翌年に完成したものです。私の在校当時には校歌はまだ完成していなかったため、30年ぶりに終業礼拝に参加した時、校歌があること自体が驚きでした。素晴らしい校歌で、お陰様で今では完全に歌えるようになりました。
そして体育館と陸上競技トラック。これらも我々の時代には存在せず、テニスコートの隅に専用のスペースを設けてバスケットボール等を行っていました。1,500メートル走も当時は校内のコンクリート道を何往復も走りながらの計測。現在の立派な授業棟も昔は存在せず、当時の教室はプレハブ仕立てが大半。夜の学習も殆どの生徒が食堂で勉強をしていました。
今のような少人数型のドミトリーではなく、当時は12人部屋が主流でベッドも2段式。今皆さんが使用している最新型のシャワー設備に比べて、昔はボイラーも小さかったためか、毎日最後の方にシャワーに入る生徒はお湯が殆ど出ない状態の中で体を洗っておりました。
今にして思えば、昔は相当に不自由な生活を送っていたのだなと思う一方、当時は学校生活がたまらなく楽しかったです。全校生徒が一堂に会して食べる食事の時間。ルームメートと語り合いながらいつの間にか眠りにつく毎夜。金曜日午後のフライデースポーツ。当日までの1週間、全校生徒がその準備に没頭するオープンデー。当時を思い出すだけで胸が熱くなります。設備や施設は現在の法定基準に合致するよう着実に進化しつつも、根底にある伝統や行事そして大家族教育が今もしっかり継承されていることが確認出来て嬉しかったです。
自分が卒業して30年の間、欠かしたことのないもの、それは本校クラスメートとの交流です。社会人としてみんな忙しい毎日を送りながらも、同じ釜の飯を食べた者同士が集まると、それはまさに特別な時間であり、特別な空間となります。そしてそんな仲間たちと会うと、不思議とまた明日へと繋がる活力が沸いてくるのです。
英国のこの空間この環境の中で学校生活を送っていること自体が特別なことです。皆さんがそのことに今は気が付かなくても、卒業し何年か経って昔を振り返った時、そのことを必ず確信することでしょう。
4月以降も本校に残り続ける在校生諸君には、仲間と共に過ごす掛け替えのない今の日々を大切に、文武両道の毎日をしっかりと送って欲しいと願っています。そして本校が提供する様々な教育プログラムを通じてぜひ英語力を着実に身に着けて下さい。これからは英語を話せなければ益々苦労をする時代です。この学校で学んでいる特権をフルに活用し、これからの時代に通用する実力を養って欲しいと思います。
そして3月に本校を卒業し大学生となる高校三年生諸君には、次のことをお願い致します。
• ここで一旦、高校生活をリセットし、暫くの間は高校時代を振り替えずに、大学で新しい仲間を沢山作って、大いに新生活を楽しんで下さい。
• 大学4年の間に成し遂げる目標を定め、情熱を持ってその目標完遂に努めて下さい。
• 立教英国学院の卒業生であるという誇りとプライドを忘れずに、本校卒業生として恥じることのない行動と言動を是非心がけて下さい。
私事ながら、私自身も5年間の英国勤務を終え、3月末に本帰国をすることになりました。母校がすぐ近くにある地での駐在生活は最高に楽しかったですし、母校を訪れることでその生活が更に充実したものとなりました。
皆さんも、これから一生懸命に学び、多くの経験を積まれた後で、是非とも機会を作って母校を再び訪れてみて下さい。立教英国学院の伝統ある正門をくぐった時、心の故郷に戻ってきた気分となり、明日に向かって必要な活力をこの学校はきっと与えてくれることでしょう。そして、その力をバネに更に自分に磨きをかけ、前に向かって大きく羽ばたいて下さい。
以上、皆さんの門出を祝し、私のお祝いの言葉とさせて頂きます。
改めましてご卒業おめでとうございます。

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