新型コロナウィルスの影響で生徒たちはイギリスにある本校に戻れず、急遽入学始業礼拝はオンラインで挙行、そしてその翌々日、初めてのオンラインホームルームがビデオ会議アプリ「ZOOM」を使って行われました。

一人、また一人と少し恥ずかしそうな顔をして画面に順番に登場する顔、顔、顔、そして顔。「繋がった!」「マイクが入ってませんよ。」「あれ?さっきまでいたのに。」「聞こえますかー?」大混乱の初日オンライン・ホームルームでしたが、久しぶりに皆の顔を見ることが出来てとっても幸せでした。

「最初のホームルーム、画面越しに見えた皆の顔がとても印象的で今でも忘れられません。」

今学期最後のホームルームのコメントで、ある生徒がそんなふうに書いていたのが印象的です。

毎日日本時間の午後6時半から始まるホームルーム。その前にある2−3時間のインタラクティブ授業とそれぞれのご家庭の夕食の間にあるとても不思議な時間でした。勉強をするわけでも、先生からの諸連絡をただ聞くだけでもなく、早めに「入室」してくだらないことを話したり、誰かの問いかけに皆であれこれ答え合ったり… 他愛もない時間がとても貴重に思えて、コロナ禍の日常の中では何となくいつも楽しみにしていました。

たいてい前の授業が終わると直ぐに2,3人が入ってきます。前の授業がない時には30分も前から「待合室」にいて、先生が「入室許可」のボタンを押すまで画面の前で待っている子もいました。かと思えば、時間になっても現れず、先生から「誰かラインで連絡入れてくれる?」と頼まれた友達が連絡すると、「ネットの繋がりが悪くて入れません!!」などというトラブルもしばしば。そしてやっと全員が揃うと、いつもの通りまずはオンライン・小テストが始まります。Googleの「フォーム」というアプリを使って毎日英単語のテストをしました。「送信」ボタンを押して回答を送ると直ぐに自動採点されて目の前でそれがグラフになります。皆で今日の点数を共有画面で眺めるのがいつの間に習慣になっていました。「おっ!今日は8割の人が満点!」先生の嬉しそうなコメント。集計グラフの名前はすべてペンネームですが、自分の点数を苦笑いで誤魔化している友達を当てるのもまた楽しいひと時でした。

特に終了時間が決まっていないホームルームだったので、小テストの後の諸連絡が終わっても、「何かしましょうよ〜」と画面上でしか友達に会えない子供たちからのおねだり。ZOOMのグループ自動割当機能を使ってアトランダムの小グループに分かれてお話をしたり、皆でゲームをしたり、クイズを出し合ったりして過ごしました。1週間に一度、木曜日になると学校のチャプレンと保健室の先生が隔週でホームルームに遊びに来てくれました。オンライン授業で画面を見過ぎて体の不調を訴える子供たちには保健室の先生がアドバイスをしてくれたり、体操やマッサージを教えてくれました。チャプレンはイギリスやご自宅の周りで起きていることをお話してくださったり、人生について語ってくれたりもしました。それぞれが自宅の中で過ごす単調な日々でしたが、日本とイギリス、画面の向こうとこちら側で不思議に繋がっている感覚はコロナにも負けない強い自分を磨くいい機会になったように思います。

「後から振り返ったら君たちの人生のとっても大切で貴重な日々になると思いますよ。」

担任の言った言葉がわかるのはずっと先のことなのか、それとももう身にしみてこの「特別な時期」を感じていたのか分かりませんが、画面の向こうですらこの数ヶ月の子供たちの成長ぶりが感じられた、そんな濃〜い時間だったように思います。

来学期は是非、その成長した姿を目の前で見てみたい ―― 楽しみがまたひとつ増えました。

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