今学期の小学部6年生の国語では鑑賞文を書きました。
「まだ絵を見たことがない人に、まるで目の前で見ているように言葉で説明していこう」
と、題や出だしなども工夫して苦戦しながらも立派に書き上げた生徒たちの作文を紹介します。

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小学部6年 国語 「鑑賞文を書こう」第2回

「雲の上の神様」

「ヒュー、ゴロゴロ」
灰色の雨雲の上で、風神と雷神が地上に風を吹かせたり、雷を落としたりしているようにみえる。

風神は、両手にハンモックのようなものを持っていて、黒と白のようなズボンを着ていて、はだの色が緑で、つのが頭の真ん中に一つある。この時はきっと向かい風が吹いていたから、風神と雷神のかみが逆立っていて、肩にかかっている白と黒のヒモがヒラヒラしているんだと思う。雷神は周りにでんでんだいこがあって、手にそれをたたくためのバチのような物を持っている。つのは一つでつめは銀色で緑のズボンのようなものを着ている。風神と雷神はまゆげとひげの色が白いから、きっと老人なんだと思う。

この絵を見ると、まるで風神と雷神が雲の上から地上に風を吹かせたり、雷を落としたりしているように見える。だからこの絵を描いた人は天気がコロコロ変わっている日に雲の上に風神と雷神がいて、天気を変えているということを想像して、この絵を描いたと思う。
風神と雷神が乗っている雲は灰色で、書き方が線じゃなくて、すらーっと書いてある。だからこの絵を描いた人は、きっと自由な心を持っていたから、雲の上を想像して、風神、雷神が書けたし、すごい雲が書けたんだと思う。

こんな風神と雷神がいつも雲の上で私たちのことを見守りながらも長い間働いているから、今まで天気がコロコロ変わったりしていたと思う。だから風神と雷神が休んでいる日の方が、私は気分が上がるので、風神と雷神が休んでいた方がいいと思った。

(小学部6年生 女子)

3月15日、東日本大震災追悼礼拝がロンドンのサザーク大聖堂で行われました。
震災から3年目をむかえた今回の追悼礼拝には、日本聖公会東北教区より加藤主教が来英して、英国国教会のイプグレイブ主教とともに式を執り行いました。カンタベリー大主教からも被災地の方がたに対して暖かいメッセージが寄せられました。

来賓として林駐英日本国大使およびサザーク市長も出席され、たくさんの在英日本人、英国人が心を一つにしてともに祈りを捧げました。

本校からも、林チャプレンが司式に参加、棟近校長が被災された磯山聖ヨハネ教会の三宅行氏からのメッセージを英語で朗読しました。また高等部2年の女子生徒2名が、式の中でキャンドルを捧げました。

聖ヨハネ教会の三宅行氏からのメッセージはこちらでご覧になれます。

文章のジャンルは物語、随筆、詩などありますが、今学期の小学部6年生の国語科では鑑賞文を書きました。

まずは、教科書での単元「『鳥獣戯画』を読む」を読み、作者が鳥獣戯画のどこに注目し、またどんな言葉で作品を評価していたりするのかを調べていきました。
初めて絵を見た時は、「うさぎがいる」「かえるがいる」「うさぎとかえるがすもうをとっている」だけしか言えなかった生徒たち。
しかし、読んでいくと、作者は線の描き方や背景に注目していたり、またうさぎの耳の先やふさふさした胸、かえるの背中の筋肉に注目していたりと、もっと具体的でした。
そこで、「まだ絵を見たことがない人に、まるで目の前で見ているように言葉で説明していこう」と指導していきました。
そうすると、「かえるが「やってやった!」と言っているみたい」「かえるがすもうで勝ったことに仲間のかえるが大喜びをして、笑い転げている」「背景にあるくぼみは丘を表しているのか」
などの意見が出てきました。

「『鳥獣戯画』を読む」を読んだ後は、自分たちで実際に鑑賞文を書いてみました。
小学6年生は3人ですが、2人は「風神雷神図」もう一人は「三人の音楽師」を選びました。
初めから作文を書くのではなく、まずは絵を細部まできちんと見るよう、気づいたことをたくさんメモさせました。
また、気づいたことから、それについてどう思うか、など一歩進んだ考えを促しました。
メモが出来上がったら、文章の構成をどうするかを考えさせました。

元々あまり作文が得意ではない子が多かったため、まとめには苦労し、みなでどうしたらまとまるかを話し合ったりもしました。
また、題や出だしなども工夫するよう指導しました。
苦戦しながらも、書いた生徒たちの作文を3回に分けてご紹介します。

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小学部6年 国語 「鑑賞文を書こう」第1回

「風神の姿」

この絵には見所がたくさんあります。僕は風神を中心にして考えました。主に大きく分けると四つの項目に分かれます。
一つ目は、オニのうでや足についてです。両手には白い布(ハンモックのような物)を持っていて、両かたには黒く細長い布を付けています。両手首には金色のリング、両足首には少し大きめの金色のリングをはめています。そこで僕はなぜ手、足にリングをはめているのか疑問に思いました。

二つ目はオニの顔です。まゆ毛は太くて白く、目については、瞳孔は黒くて小さいが、白目の部分は黄です。鼻が少し高く、耳も大きいです。額には角が一本生えていて、太く黒色、かみの毛は金色だけれども約五本おきに黒色もあります。口周りにはひげが生えていて白く、あごひげは少し長く白いです。口元は笑っていて、歯は白いです。そして、その他全部緑色です。

三つ目は、オニの行動です。笑いながら走っていることから、「風を起こすぞー」と言っているのだろうと思いました。雷神の方は、「雷=たいこ」と感じたので、ばちのようなもので何かをたたいて雷をおこそうとしているのではないかと感じました。

最後の四つ目は背景です。絵を見ていると、全体が四等分されていることに気づきました。なのでこの背景は、きっとびょうぶで描かれていたんだろうと思いました。黒い線がはっきりとあり、折り目のようになっていたので、そう思いました。

これらのことから、風神の顔はおじいさんのようなのに、筋肉がすごくあるのは、いつもこうやっていつも笑いながら元気に風を起こして、僕たちのために働いていてくれているからなんだろうと思いました。

(小学部6年生 男子)

本校の音楽教育を30年以上に渡って導いてきてくださったメンデルスゾーン先生が今学期をもって退職されました。

メンデルスゾーン先生は、1976年にピアノの先生として立教での教員生活をスタート、以来38年間にわたり、持ち前のパワフルでエネルギッシュな人柄で、本校の音楽科を率いてきました。

1977年の創立5周年記念コンサートに始まって、一昨年の創立40周年記念コンサートまで、5年の節目ごとにロンドンのクィーンエリザベスホールやウィグモアホールなど、由緒あるコンサートホールでのスクールコンサートをプロデュースし、普段の授業はもちろん、学期末のスクールコンサートや地元の音楽祭への参加など、その情熱で常に本校の音楽活動を支えてきたメンデルスゾーン先生。現役の生徒はもちろん、多くの卒業生達も彼女の音楽に対する熱い思いに共感し、本校での音楽活動を満喫してきたことと思います。

引退にあたり卒業終業礼拝で生徒から綺麗な花束が渡され、スタッフ一同からは置時計のプレゼントがありました。そのお礼の手紙がメンデルスゾーン先生から届きましたので、以下にご紹介します。

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Dear Headmaster

Thank you for the enormous and fabulous bouquet of roses presented to me on Saturday. They are my favourite colours and so beautifully arranged and so many there! I could hardly carry them!

I was so touched by the lovely card and messages from everyone and quite overwhelmed by the fantastic gift of a carriage clock. It is something I have always admired, but never owned, or thought I ever would, and the engraving on the back makes me cry each time I read the lovely message.

Please thank EVERYONE for this most generous gift, which I will treasure forever, along with my wonderful memories of working with you all at Rikkyo. It has been such a privilege.

All best wishes

Sincerely

Brenda

私は立教英国学院のおかげで、いろいろな事を学ぶことができました。
例えば、オープンデー。意見の食い違いでもめたり、うまくクラス全員がまとまらなかったりで、大変な時もありました。でも、お互いが助け合ったり慰め合ったりして、完成させた時は嬉しかったし、今まで感じたことのない達成感を味わえました。そして中3の団結力の凄さと助け合いの大切さを感じました。
また、朝起きてから夜寝るまで一緒にいる友達は、お互いがお互いのことをしっかり理解していると思います。最初は拒絶されている感じがして話しかけにくいオーラを放っている人でも、話してみたらすごく優しくて心の広い人だったり、普段はしっかりしていて強い印象の子でも実は弱いところもあったりして… こんなに一人ひとりの事を自分がわかっている事にも驚くし、逆に私のことをわかってくれる人も多いのではないかと思います。
そして、友達の勉強や部活への日々の努力を見ていると、自分の甘さを感じたし、日本に帰っても負けないように頑張ろうと思いました。
このように立教英国学院で学んだ事はたくさんあったし、ひとつひとつが深かった気がします。
立教英国学院の友達や先輩、先生方、この学校に来るきっかけをくれた香蘭、来させてくれた両親に感謝します。ありがとうございました。

(中学部3年生 女子)

ミレースクールとの交換留学は、様々な経験と、第二母国語の楽しさを教えてくれました。

ロンドンに住んでいた頃は何度かサマーキャンプに参加して色々な国の子と英語で話していましたが、今回は五年ぶりの体験で緊張しました。けれど一日も経つとかなり仲良くなるもので、頑張って拙い文法知識を駆使して、今思うとお互いに質問攻めのようなものをしていました。私のバディは生まれがフィリピンでしたが、イギリスに移り住んで長いので、クイーンズイングリッシュが板についていました。少し大人しく控えめな子でしたが、途中から軽い冗談も言ってくれるようになりました。

今回私が交換留学で感じたことは三つあります。一つ目は、文法についてです。文章の構成や文法、更には冠詞に至るまでぬかりなくチェックを入れるのが日本の教育です。確かに書く分には正確さが問われます。しかし友達を作る、という目的の上では、必ずしも文法的な正確さは必要ありませんでした。もちろんある程度の文法事項は必須ですが、伝えたいことをはっきりと言うと、きちんと理解してくれました。また、訂正や確認をしてくれたことで、きちんと意思の疎通が出来ました。将来のためには正確な英語を使えなくてはいけませんが、気軽に思っていることを話して共感し合うことも大切だと思いました。日本語で言うジョークなども英語にして、ジェスチャーを使いながら話す時間はとても有意義で楽しかったです。特に夕食後にドミトリーのソファーに座って皆で恋愛話やミレースクールにいるギャルの話をした時が、全員が盛り上がって、笑いが絶えませんでした。この時に、言葉は意思の疎通、つまりは伝えるための手段だということを改めて実感しました。

二つ目は、趣味は国境を越える、ということです。私は大のアニメ好きですが、日本のアニメを外国の人が知るわけがないと思っていました。しかし、いざ「何が好き?」と聞かれた時に正直にアニメの名前を答えると、「私もそのアニメ好き!」という驚きの答が返ってきました。日本でもあまり知名度はなく、名前程度しか知られていないアニメを、英国の女の子が知っていたことにとても感動しました。その後はとにかく必死で、飛び跳ねながら感動をわかち合いました。趣味が合う者同士は仲良くなれるというのは本当で、国境を越えて絆を深めた瞬間でした。

三つ目は、彼女たちの決断力のすごさです。プレゼンテーションのパワーポイントを作る時間がなかったのにも関わらず、完成したのは、彼女たちの決断力が早かったからです。私達は自分の意見を率先して言うことはなく、パワーポイントの背景や内容についても優柔不断で人に任せがちです。一方で、彼女たちは内容を次々に決めて、どんどん打ち込んでいきました。意見を自分から出して物事を進めていく彼女たちを見て、驚きと共に自分もそういう風になりたいと思いました。これはほとんどの日本人に共通したことだと思いますが、怖気づくことなく自らが意見を出していくということは、日本の学生の大きな課題の一つではないでしょうか。

以上が私が学んだことです。けれど彼女たちとの生活や会話の中で気付いたことはまだまだたくさんあります。恋愛話は全員が盛り上がること、日本人と違ってお腹から声を出し歌うこと、可愛いという単語が好きなこと。数え出すときりがないのですが、これらの会話を全て理解して楽しめたことが一番嬉しかったです。また、普段使わない英単語がさらっと出てくると、自分の物になった気がしてとても嬉しくなりました。今回の体験は、五年前とは違い、進歩した英語力と、五年前と同じ「一緒に同じ時間を楽しむ」ことの楽しさを与えてくれました。国が違えど、言葉が違えど、楽しく色々な話をして笑い合うことの出来た貴重な一週間でした。

(中学部3年生 女子)

私にとってこの1年間は、中学生活で最も充実した1年だったと思います。初めて親元を離れ、しかも遠い異国の地で1年間寮生活を送ったことは一生の思い出にもなると思います。
最初のうちは寮生活を過ごしていて、不安や困難なことが多くありましたが、やはり寮生活だからこそ出来ることがあるのだと、気づかされました。同学年との関わりだけではなく、先輩や後輩とも話す機会があり、より一層友情を深めることが出来ました。また、多くの行事の為に、クラスの団結力が深まり、一つ一つの行事を精一杯行うことが出来ました。
1学期が始まって少したった頃、私は家族や周りの人々の大切さに気づきました。一人で過ごしていると、不便なことが沢山出てきます。そういった時に、いつも世話をしてくれていました。私は、日常過ぎて気がつかなかった家族の支えがあったからこそ、今まで歩んで来れたのだと思い、家族に感謝し、もっと自立しようと思うことが出来ました。
立教に入学して、始めのうちは長いと感じていましたが、どんどん時間が過ぎていって、気がついたら卒業式を迎えていました。本当に1年とは思えないくらい色々なことがあったこの立教生活。友達とのしょうもない笑い話から、悩んで苦しかった事まで、すべてを心に刻み思い出にして、これから始まる新学年となる自分に勇気を与えていきたいと思います。人は、どの場所でも、どんな時でも、誰かに支えられているのだということを学びました。この1年間、本当に楽しかったです。

(中学部3年生 女子)

2014年度9月編入学試験要項が発表されました。 詳細はこちらから

出願期間:2014年6月12日~6月20日(必着)
募集人数:小学部5/6年、中学部1/2/3年、高等部1/2年それぞれ若干名
選考方法:一次:書類審査、二次:筆記試験、面接
選考期日:日本受験:2014年7月6日 (日)於 立教大学
英国受験:日程は1次試験合格後相談

私は1年間だけ立教生として中3を過ごしました。私にとってこの1年は長く、短く、重要で大切な1年間でした。
私が立教に来た時 ー 今思えばすごく前のように感じます。会ったばかりの人と一緒に寝て起きて、一日中誰かと一緒に過ごす生活。初めての経験でした。自分では自立しているつもりだったけれど、最初はすごく辛かったです。
立教は一人の時間はほぼありませんが、その代わり必ず周りに誰かがいました。辛い事も乗り越えられるくらい楽しいことを作り出してくれる人達が周りにいました。
最初の行事である球技大会。当日まで放課後を使って毎日練習しました。シャワーダッシュとか大変だったけれど、練習が先輩や同学のおかげで楽しくて、当日の達成感はすごく大きかったです。
年間の大イベントであるオープンデー。起きてから寝るまで、ずっと作業をしなければならなくて、体力的にも精神的にも疲れる毎日でした。憂鬱になりながらも皆で励ましあって出来たオープンデーは最高でした。
そしてとにかく毎日が楽しくて、その全てが周りの人がいないと成り立たなかったです。楽しくて自分でも笑ってばかりだったなと思います。
立教では、人との関わりの大切さとか、外国人との関わりとか、大家族での生活、沢山の経験をしました。でも、自分にとって一番得たものは友達だと思います。この1年、感謝してもしきれない位助けられました。立教の友達が本当に大好きです。いつも親みたいに陰で支えて下さった先生方にも感謝し尽くせないです。本当にありがとうございました。

(中学部3年生 女子)

立教英国学院では、3月11日の朝の礼拝で、東日本大震災を覚えて、春期補習で学校に残った生徒たちで黙祷をささげ、被災された方がた、故郷を離れて生活する人々のために祈りました。すべての犠牲者、そして世界各地の災害や争いの中で生命を失った人々に、永遠の安らぎがありますように。

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「東日本大震災を覚えて」特祷

慈しみ深い神、慰めの主よ、3年を経た東日本大震災を覚えて祈ります。どうか、被災地にある人、避難生活を強いられている人、特に日本社会の中で生きることの困難に苦しむ人、将来の希望を見い出せない人を支えてください。

また原子力発電所事故により、失われた自然と人々の生活を覚えます。故郷を離れて生活する人、危険な作業に従事する人とその家族をお守りください。
そして政治と社会に責任を持つ人々に正しい道を歩ませてください。

わたしたちもまた、これらの苦難をつねに覚えることができますように。日本聖公会「いっしょに歩こう・パート㈼」の働きを強めてください。そしてわたしたちも思いと力を合わせて、共に歩み続けることができるように導いてください。

いのちの源である主よ、東日本大震災のすべての犠牲者、そして世界各地の災害と争いの中で生命を失った人々を、あなたのみ腕の中に抱き、永遠の安らぎを与えてくださいますように。
主イエス・キリストのみ名によってお願いいたします。アーメン
(2014 年2 月 日本聖公会主教会)

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