待ちに待ったウィンブルドン。芝生で二時間ほど並んで競技場に入ると、私たちはまず対戦表に目を向けた。お目当てはもちろん錦織圭。しかし、彼の試合はナンバーワンコートで、私たちの所持していた金額では入ることができなかった。私たちの班のメンバーは皆、錦織選手を目当てにしていたのにコートに入れないというのはとてもショックだった。試合を見たいという思いを捨て切れなかった私たちはナンバーワンコートから離れられずにいた。そこで、階段の下でジャンプをしてみたり何とかして一目でも錦織選手を見ようと頑張っていた。そんなとき、私たちの熱い思いが伝わったのか、
「Come here」
と優しそうな警備のおじさんが私たちを休憩中だけコートに入れ、写真を撮らせてくれた。
テレビの中でしか見たことのない錦織選手を見れたというだけで私は大満足だった。しかし、逆に、あんな有名人と自分が同じ場所にいることが信じられなくて、嘘のように感じた。普段テニスはあまり興味がない私でも錦織選手を応援するのはとても楽しく、28ポンドのタオルを買ってしまうほどだった。
残念ながら錦織選手は負けてしまったが、前回のアウティングと同じ班のメンバーで行動した今回のウィンブルドンは私にとってただ楽しく、心からいい思い出と思えるものとなった。そんな素敵な思い出を作る手助けをしてくれた班のメンバーと警備のおじさんに感謝したいと思う。
(高等部一年 女子)
ウィンブルドンに着いて、入場待ちの列に加わったときから、わたしは会場の熱気に圧倒されていた。それは、ほかの並んでいる人たちからは勿論、視界にまだ入ってこない会場の方から、ひしひしと伝わってきた。
テニスはやったことがないし、観戦するのは嫌いではないけれど好きでもない位の程度だ。そんな私がウィンブルドンでの一日で得られるものは一体何なのだろうと、土曜日の朝、出発するまで、正直わたしは不安だった。だが、コートや通路、ショップやフードコートの中にまで広がっている興奮に、元気が出てきた。この場所に来ている人の多くは皆テニスが好きで、貴重な試合を見るのを楽しみにしている様子だったからだ。限定のグッズを買おうと身構えている。そんな何かに夢中になって、熱中している様子は、わたしもそんな気分にさせてくれた。来場客を見ていて、何かに夢中になれるっていいな、と思った。同時に、ここで試合をしている人たちや、試合をすることを目標にしている人たちの、一生懸命な気持ちにも背中を押された気がした。
「期末試験はあと二教科。夏休みも勉強しなきゃ。スクールコンサートまで時間がない。」どこか焦っていた自分に、「着実に頑張っていけ」というエールを送ってくれているようだった。何かを一生懸命にやっていると、時間や量や難易度などの、つらく苦しい面ばかり見えがちだ。けれど、その過程は必ずしも荒野の道ではなく、目標に辿り着いたときには大きな喜びがある。ウィンブルドンの人々が醸し出す熱気は、わたしにそのことを再確認させてくれた。
(高等部一年 女子)
私は中学1年生からイギリスにある立教英国学院で生活しています。1年前、中1だった時、そもそも私がなぜこの学校に入ったのか、なぜわざわざ飛行機に12時間も乗りこの学校へ来ようと思ったのか、自分でもよく分かりませんでした。それに、地元にいる親友や家族、犬などたくさんの人たちと離れて地球の反対側で生活するなんて思ってもいなかったし、まず、自分が住んでいる日本を離れたくありませんでした。しかし、私は勇気をふりしぼり、この学校への入学を決めました。そして今ではこの学校に入って本当に良かったと心から思っています。
理由はたくさんありますが、やはり英国の地で英語を学べているということです。私は中学1年生まで英語に触れたことがなく、小学校では1ヶ月に1回ほどの英会話授業しかありませんでした。それなのに今では、英語の授業で町に出て英国人の方々にインタビューをしています。1時間で25人をこえる方々の意見を聞くことも出来ました。思ったより英国人の方々は親切で本当に優しくて、私の気持ちを分かってくれます。長い間話に付き合ってくれることもありました。
他にも、中学1年生の夏休み最初の1週間、英語が何もわからないまま、学校がアレンジしてくれたホストファミリーのところでホームステイをしました。行く前は不安ばかりで、とても戸惑っていましたが、2日、3日と経つにつれてホームステイ先の方々も私が言いたいことを分かってくれるようになりました。いろんな所へ連れて行って下さったりしてとても楽しかったです。
このように、全く英語が分からなかった私が、この学校へ来て、英国人の方々ともなんとか話せるようになりました。週に10時間以上も英国人の授業があり、その上英検も取ることが出来たので、英語に自信が持てるようになりました。
イギリスに来る前はこの国についてほとんど知らなかったのに、たくさんのイギリス人の方々と話して「この国の人たちは本当に優しいんだな」と思いました。そしてイギリスが大好きになりました。
(中学部2年生 女子)
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