前回の確認からいたしましょう。
仮言命題を「犬」と主人の言葉から考えていきます。
「お前は番犬の務めをしたらかわいい」
番犬の務めを励んで沢山かわいがられる。犬にとってこれは幸せなことのはずです。
この幸せな状況に「支配」「不自由」が潜んでいると指摘したのがカントです。

カントの考え方はこうです。
結果「かわいい」を獲得するために条件・原因「番犬の務め」を励む。「結果」に到達するためには必ず「原因」を経由しなければならないということです。
経由点である「原因」なくしては「結果」に辿りつくことができない。更に「結果」が犬にとって好ましいものであればあるほど、「原因」である「番犬の務め」に精を出すことでしょう。そうすると犬にとって「番犬の務め」は「かわいがられる」を獲得するためにはなくてはならないものになります。
「番犬の務め」を取り上げようものなら怒り出すでしょう。犬は「番犬の務め」を大切にします。この大切とは、別の言葉で表すなら「執着」「固執」です。握りしめて手放せない状態です。

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