例年だと今頃は、プール開きが済み、水泳の授業が始まっています。プールでは授業のほかに、水泳部の活動や臨海学校の補助員の指導、ウォーターボーイズの準備など様々な活動が始められる時期です。

新型コロナウィルス感染防止のための緊急事態宣言はようやく5月25日に解除がされ、本校でも学校再開に向けた段階的準備が始まりました。本校教職員の取り組みと登校した生徒の様子をお伝えします。

1.分散登校にむけての準備会議

本校では、正規の時間割を基準にしたオンライン授業用時間割を作成し、計画的にオンライン授業を進めています。その上で、5月末までとされていた緊急事態宣言がもし5月23日までに解除されれば6月1日から、それ以降の場合は6月8日から学年別分散登校を開始することにしていました。分散登校は曜日別、学年別で週1回のみ実施し、当面はオンライン授業も続けます。比較的電車が空いている土曜日を中学1年生の登校日として、実際は6月6日から開始しました。登校日にはオンライン授業はできませんので、登校日を入れて「オンライン授業時間割」も変更しました。

5月25日に宣言の解除がされましたので、予定していた準備が開始されました。管財、用務、養護教諭を中心とした「衛生確保」チームでは、検温、消毒液、石鹸、マスクなどの調達をし、「教室配置」チーム、体育科が加わった「導線」チーム、学年主任を中心とする「生徒の過ごし方」チームの4つに分かれ、校長も教頭もチームに加わりました。副教頭がリーダーシップをとって、オンラインで準備会議をしました。写真はその時の様子です。

準備会議③準備会議②準備会議①

2.登校デモンストレーション

5月30日には教職員が集まり登校を想定したデモンストレーションを行いました。

demonstration②demonstration③demonstration①

3.登校ムービーの配信

多人数の検温が可能なサーモグラフィー・カメラは6月4日に到着し設置されました。このような慣れない「導線」を生徒たちに事前に伝えるために、中学の技術科教諭が、牛込柳町駅の改札口からの「登校ムービー」を作成し、これを中学1年生の登校前日6月5日に全生徒、保護者に配信しました。

ムービー①ムービー②ムービー③

中学1年生にとっては駅からの動画によってはじめての登校イメージが作れたのではないでしょうか。

4.分散登校初日

このような準備の流れを経て、6月6日に中学1年生から分散登校が始まりました。

中1登校⑤中1登校③中1登校①

中1登校②30分の時間差でクラスごとに登校し、体育館や、カフェテリアに分かれてホームルームを実施しました。自己紹介や提出物回収などであっという間に時間が過ぎたことでしょう。生徒が帰った後は、学年の先生方がアルコール消毒をして次のクラスに引き渡しました。

中1登校④

中学1年生は成城生として初めての登校日。緊張したことと思いますが、全員元気に登校しました。ではまた来週!! 待っています。

5.オンライン学校説明会

先生方が授業の動画を作成している一方で、オンライン合同説明会に本校として初めて参加しました。学校説明会用のスライドや動画を基に編集して、スライドの説明を録音して作成しました。雑音が入ってしまったりして制作には想像以上に時間がかかりましたが入試広報室長とやり取りしながら何とか完成させました。

新型コロナの感染が収束したら、受験生の皆さんには是非、足を運んで実際の本校の雰囲気を肌で感じてほしいと思っています。今はしっかりと勉強に頑張って実力をつける時ですね。受験生の皆さんが安心して受験できるよう広報活動も工夫していきます。

6.未来の教室のこと

ご家庭のご理解とご協力を頂きながら、苦労をして全教員が時間割に沿ったオンライン授業を始めて4週間ほど経ちました。都の外出自粛要請は段階的に解除されていますが、感染第2波、第3波への備えはしていかないといけません。ですから、これからは、オンライン授業と通常の授業との両立が求められていくと思います。さらに、オンライン授業の価値は、感染防止にとどまらないとも思うようになりました。今、実践している先生方から、オンライン授業の良さも困難も伝わってきます。これから徐々に通常授業に戻っていくと思いますが、「オンライン授業の良さ」を通常の授業で生かしていくことができれば、生徒にとって授業がよりよいものになっていくと感じます。それを実現するためには、ICT教育の環境整備が求められます。図らずも今回のコロナ禍は『未来の教室』の姿を少しだけ間近なものにしてくれたように思います。

7.ちょっとした思い出

新型コロナ感染症の流行が始まって以来、私たちの生活は外出時には必ずマスクを着用する生活に変りました。通勤時には予備のマスクも持参しているのですがある日の朝、電車に乗った途端に「あっ、マスクがない!」と、慌ててタオルハンカチを取り出して口に当てて乗っていました。電車の中でしばらくして、マスクをしたアジア系の若い女性が私に「ダイジョウブ、ダイジョウブ」と言いながらマスクの袋を差し出しました。意味がよくわからなかったままとっさに「Thank you!」と言うと、にっこり笑顔で1枚のマスクをくれました。マスクの不足、転売、盗難などが話題となっていた緊急事態宣言初期の出来事で、驚きと温かさを感じました。その後同じ電車に乗ってもその方には一度もお会いできていません。政府から配布されたマスクの不平などを聞くたびに、私はこの1枚のマスクがとても有難く嬉しかったことを思い出します。


4月に全教員、全生徒にアカウントを付与したところから準備が始まり、わずか1か月程度の後に全授業が「オンライン授業」となった成城学校。今は、「オンライン授業」を併用する形で、皆が安心して通える分散登校の体制ができました。「チーム成城」のパワーは凄い!!これが今実感していることです。これからも、みんなで乗り切っていきましょう。

令和2年6月7日

校長 栗原卯田子

ページ
TOP