登校途中の地元の女子中学生が談笑しながら本校の前を通り過ぎていきます。チャイムの音が聞こえてきます。登校が始まり朝の正門に立っていると、かつては当たり前だったこのような光景が、何か特別のことのように映ります。この景色がずっと続いてほしいですね。

さて、本校では、段階的に学校再開の準備を進め、新しいステップに入りましたのでその様子をお伝えします。

1.本校の準備と環境整備

本校では、生徒が安全に登校して、安心して授業を受けられるようにするために、以下のような条件を設け環境を整えました。

◆家庭では毎朝検温し記録をつける。

◆生徒はマスクを着用し、手指の消毒、サーモグラフィーによる検温をして入校する。

◆教室では生徒全員がマスクを着用し、教師はマスクまたはフェイスシールドを着用して授業を行う。

◆全館の換気システムが稼働している状態で教室の窓、欄間、出入り口および非常階段の扉を開け、廊下に扇風機を設置し、常時稼働する。

6月15日(月)に上記条件の下で、教室の換気の状態を学校医に視察して頂きました。結果として、「この状態で、教室での授業再開は問題ない」との見解を得ることができました。そこで【第2段階】として、教室での一斉授業を6月22日(月)から始めるための検討を始めました。

2.授業再開の段階日程

【第1段階】既に6月7日号でお知らせした通り、6月6日(土)から6月20日(土)までの2週間は、学年別の分散・時差登校を実施しました。登校は週1日だけで、クラス全員が広い場所に集まり、他の日はオンライン授業をしました。登校日を設けるために、週6日実施のオンライン授業時間割を、週5日の時間割に変更しました。この期間の登校では、新しいクラスの担任と生徒全員が初めて一堂に集い、ホームルームを行うことに目的と重点を置きました。

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分散登校の最終日となった6月20日(土)に一部のテントが撤収されました。

【第2段階】6月22日(月)から6月28日(土)の1週間は、前述したように、校舎に完備された換気システムに加え、廊下の非常口を常時開放して扇風機を稼働させるなどの方法で換気の工夫を行い、教室での授業を実施しました。

一斉登校初日

授業初日の朝は雨が降りました。早めに登校する生徒が多く、1600人の生徒が切れ目なく学校に集まってくるという感じでした。

一斉登校初日2

学校医により「換気ができている教室に一斉に入ることより、飲食に注意すること。新型コロナウィルスは飛沫感染なので、マスクを外して飲食をする時が一番危険であり、静かに、しゃべらないで、前を向いて食べることを徹底すること。」と助言をされました。

そこで、感染防止の観点から「この一週間は食事をとらない」という方針を立て、その間に食事指導をしていこうとなりました。結果として6月22日の週は、全員が8時30分登校ですが、昼食なしで短縮30分の6時間授業を実施しました。

【サーマルカメラの威力】1600人の生徒が一斉登校するにあたって、駅での混雑や、サーマルカメラによる検温による渋滞を心配しました。開門時間を早め、混雑した電車を避けるために各家庭に早めの登校をお願いしたことで、駅での大混雑はどうにか回避されました。

消毒正門から玄関に向かいテントの中で手指の消毒をして校舎に入ります。

カメラに玄関からカメラに向かいます。

サーマルカメラに向かうカメラに顔を向けて教室に入っていきます。

IMG_7278今回威力を発揮したのが、6月6日の初登校日から使用された写真のサーマルカメラです。分散登校の2週間は1クラスずつ時間がずれていて、カメラに向かって一人ずつ検温している状況でした。ところが6月22日からの一斉登校では検温のための渋滞が起きるのではと心配しましたが、カメラの方を向いてぞろぞろ通過するだけで、列を成す生徒たちの検温をこなし、渋滞は起こりませんでした。20人程度を一度に検温できるというサーマルカメラの本来の威力を発揮しました。

【第3段階】6月29日(月)に、中学1年生は確認テストが実施されました。他の学年はオンライン授業を範囲とする「中間考査」が実施され、中学2年と3年は3日間、高校は7月2日までの4日間です。考査(中学1年生は確認テスト)が終わった学年は、翌日からは【第4段階】として6時間授業になります。登校②【第4段階】7月3日には全学年が通常授業になります。これに合わせて、段階的に部活動が開始されます。「感染予防対策」と「活動計画」を作成して「保護者の同意」を得た上での活動となりますが、部会ごとに開始日は異なります。こちらの様子は次回お知らせしたいと思います。

3.ちょっと嬉しくなる話

先週、文化祭実行委員長の生徒が校長室に来ました。例年通りの文化祭を今年はできないことを見越して生徒たちがオンラインで話し合い、ポジティブに思考している様子が伝わってきて、嬉しくなりました。彼らが考えたこと、やろうとしていることが実際どこまでできるのか、見守っていきたいと思います。たとえうまくできなかったとしても、このような時に何ができるかを考え、一歩前に進めようとしていることが素晴らしい!! 応援したいと思います。自分たちが主人公となって企画し運営する「いつもとちがう文化祭」はどうなるのか、楽しみです。

また、確認テストが終わった中学1年生に向けて、部活動についての説明会が始まりました。 部会ごとに日を変えて進められています。来週からは校内での活動風景が徐々に見えてくるだろうと期待しています。安全に、皆が安心して部活動ができるよう、学校全体で方針を決めて準備しているところです。成城生の皆さんも、慌てずに慎重に行動してください。


もう7月になりました。従来、生徒の様子をお伝えするために定期的に発行していた「校長室だより」ですが、休校により生徒が学校にいなくなり、コロナの対応をお知らせするために変則的になってしまいました。今号から定期配信に戻せるといいなと思っています。その一方、最近東京の感染者が増えているので、正直この先どうなるのか不安は残ります。これからも状況を見ながら専門家のお力も借りて慎重に判断していこうと思っています。

7月1日

校長 栗原卯田子

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