ごきげんよう。

第1部に続けて、後半の発表の様子についてご紹介します。
今回の発表には講評者として、東京工業大学名誉教授で本学園理事の廣瀬茂男先生、東京工業大学教授で本学園評議員の齋藤滋規先生にも参加いただき、発表を聞いていただきました。

 

高校1年「商品企画コンペティション」では、世の中にはまだないけれど、手にした人々に「これが欲しかった!」と感動してもらえるような、近未来の夢の商品を考え出し、学内企画コンペに挑みます。

 


「HEALTHカルテ」
体温や血中酸素濃度、脈拍などが測れ、自分の健康状態を簡単に測れる商品です。また、ニオイ感知センサー機能があり、体臭から糖尿病などの病気を感知する機能もあります。
HEALTHカルテには計測した数値の他、症状に合った薬が表示されたり、それらを音声や字幕付きで知らせることもできます。スマホよりも小さいサイズを想定していますが、画面を拡大表示することもできるので、文字の大きさにも困りません。

発表を聞いた生徒からは、「小さい子供から高齢者の方まで広く使用できるアイディアが詰まっているので、自分の症状がうまく伝えられない場合にも、この商品が役立つと思うので、とても良いと思います」と感想がありました。

 


「ワンタッチ歯ブラシ」
「忙しい朝に時短できるアイテムを」というところから、歯磨き粉が自動で出る電動歯ブラシの商品を開発。専用歯磨き粉には異なるフレーバーを用意し、ブラシ部分は古くなったら交換することができます。また、歯磨き粉を補充するブラシの内部は専用洗浄液を使い、自動洗浄ボタンで洗浄・乾燥することが可能です。

発表後の質疑応答では、「ブラシから音がでる機能は、聴覚障害のある方は?」「電動の振動の強さはどのくらい?」と積極的に質問があがりました。また、廣瀬先生からは「具体的なところを突き詰めていくと、より現実的なものになると思います」とアドバイスをいただきました。

 


「小型測定器タッチライト」
光を使って物の距離や容積を測ることができるペン型の測定器。直線・曲線の補正機能やバックライト付きで高機能。ペンのグリップを握る強さで測り始めと終わりを操作します。また、光はその場で留まるので、測った場所も分かるようになっています。
容積の測り方は、筒の円を数カ所と高さを測ることで出せるので、測る円の箇所を増やすことでより正確に測ることができます。

質疑応答では「ライトからでる光はどのくらい強いの?」「物ではなく空間を測ることもできますか?」などあり、廣瀬先生からは「すでにレーザーを使って距離を測定できるカメラがあるので、それを参考にするとより現実的になると思います」と感想がありました。

 

高校2年「事業化実習」では、仲間を募り、出資して、模擬会社を立ち上げ、あかつき祭でデザイン思考を駆使したオリジナル商品を販売します。事業化実習では、皆で会社を創る起業を体験し、仕事とは何か、会社とは何か、役割をもって世の中に向き合う社会人とは何かを体験の中で学びとります。

 


「BGI」
あかつき祭販売部門賞を受賞したこのチームは、金魚やヨーヨーのモチーフをレジンで作り、イヤリングやマスクチャームといったアクセサリーにして販売しました。商品改良に悩んだ分クオリティーを上げることができ、あっという間に完売することができ、成長率195.3%と大成功に終えることができました。

「人によって作業量やクオリティーに差が出てしまうと思うが、どのように工夫しましたか?」といった質問には、「人それぞれの得手不得手があるので、得意を活かせる役割に分けて仕事量が平等になるよう振り分けました」とあり、後輩にとって参考になる回答がありました。

齋藤先生からは、「今回の利益は時給換算にするとどのくらいか。本気で起業を考えると、もっと売上を上げる必要がありますが、どうしたら良いと思いますか?」と問いがあり、「レジンの型を増やして増産すればもっと利益があったはず。また、商品の価格設定を見直すことでも利益を上げられると思います。」としっかりとした回答がありました。

 


「Fantasy Bubble」
あかつき祭に向けて制作したCMが素晴らしく、MVCM賞を受賞したチーム。感染症対策で手洗いの機会が多い中、「当たり前の時間を癒しに」といったコンセプトで、紙石鹸と宝石石鹸を販売しました。今回の事業化実習を通して、「もし起業するなら、利益を上げるために生産量を増やし、バリエーションを増やすことでお客様のニーズに答えたい」と感想がありました。

価格設定について齋藤先生から質問がありましたが、「最初は儲けを考えていたが、企業コンセプトから、生活に必要な物はより多くの人に買ってもらうために、ギリギリの価格設定にしました」と、お客様目線でより現実的に考えられていることが伝わりました。

 


「霞草」
巾着とランチョンマットを融合させたオリジナル商品を販売。机に直接お弁当を置かないので、感染症対策にもなるというアイディアです。しかし、一つ一つ丁寧に作ったことで1時間に3つしか生産できないという問題もあり、売上が伸ばせなかったと反省がありました。

齋藤先生も商品の仕組みに関心を持たれ、「皆でアイディアを出し合って新しい機能が作られているのは素晴らしい」と感想をいただきました。

 

全ての発表を終え、校長先生、廣瀬先生、齋藤先生、副校長先生から講評をいただきました。

 

校長先生「毎年どんなアイディアがでるか楽しみにしていますが、一人ひとりいろんなアイディアがでて楽しめました。中学生は発表方法に工夫があり、高校生は質疑も多く、そこからまた新しい気付きが生まれ、より良い商品になっていく感じがしました。事業化実習は創造性教育の集大成ですが、チームで何かを創り出す大変さ、成功に行き着くまでの試行錯誤、また新たに皆で考えより良いものを創り出す気持ち、とても大切です。新たな学年での取り組みも楽しみです。」

廣瀬先生「HERO研(廣瀬先生が所長を務める極限環境ロボティックス研究所)ではまさに、皆がやっているような商品を開発している人がいて、日常のいろんな気づきから商品が生まれているいい例があります。アイディアから実際に作ってみて、そこから改良を重ねていく、ものづくりとはこういうことです」

齋藤先生「東京工業大学ではエンジニアリングデザインをやっていますが、新しいものを作り続けることは企業として重要なことです。コロナが収束しても元の日常に戻ることはなく、新しい世の中へと変わり、今までと同じ商品やサービスでは売れないものがでてきます。世の中が変わる時は新しい課題が明らかになる時で、その時に準備ができていれば有利に働きます。一度経験したことは2回目はより良くできるようになるので、起業の経験を活かして欲しいです。」

副校長先生「”まずやってみよう”と勇気を持って、自分のアイディアを出し合って前に進むことが大切です。新しい学年で新しい取り組みが始まりますが、自分から働きかけ、自分から行動し、より楽しく、実り多く、豊かなものにしましょう」

創造性教育で育む「創造性」と「起業家精神」は、これからの世の中で活躍するために必要な力です。一人ひとりの柔軟な考えを持ち合い、チームで働く貴重な経験を、これからの進路に活かしていってほしいと思います。

 

〜受験生へご案内〜

【校内見学会】対象:小学1年生〜中学3年生
○開催日時:4月24日(土)13:30〜15:20
○内容:本校生徒が個別に校内をご案内!学校施設だけでなく、生徒のクラブ活動の様子をご見学いただけます。
○感染症対策のため、人数制限を行なっております。要予約となります。

詳しくはこちらのページをご確認ください。

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