ごきげんよう。

先日の前編に続いて、石川先生の後編、「学生時代~先生として編」をお届けします!
さっそく参りましょう!

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石川先生(美術)

 

広告の裏紙に絵を描いて、両親の帰りを待っていた

広報:さっそくですが、先生はどんなお子さんでしたか?

石川先生:小学生のときは……私には7つ違いの弟がいるんだけど、ほとんど一人っ子でしたね。両親も共働きで、鍵っ子で。おとなしい子でしたね、すっごく。通知表には「ちょっと石川くんおとなし過ぎます」って書かれるくらい、喋(しゃべ)らない子でした。何も考えていないわけじゃないんだけど、親が帰ってくるまで一人で過ごしたり、小学校の高学年のときは弟の面倒を見たりして。全然遊べなかったんですよ。保育園に弟を迎えに行くのが仕事で。学校が終わると、みんな遊びに行くでしょ? でも私は遊べなかった。だから、親が帰ってくるのをひたすら待っていたんです。

広報:弟さんの面倒を見る以外だと、どんなことをしてご両親の帰りを待ってたんですか?

石川先生:広告の裏紙に絵を描いたりしてね。まぁ、だから、“寂しさを紛らわす”っていうのもあったかな。そうやって時間を過ごすことが多かったですね。「壁には描いちゃだめだよ」「描くならこの紙にしてね」って言って、紙がいっぱい置いてあったっていうのもあったかもしれない。でもそれが、いまに繋がってきたのかもしれないね。

広報:必然的に、絵に向き合うことになっていたんですね。

石川先生:小学生のときから、自分の得意だったことが……というより、“絵が好き”だったのは、絵を描いたり、粘土で立体を作ったりしたときに、周りの人たちが、例えば友達や先生から「石川くんすごい!」って言われる、それが子供ながら快感だったんです。「石川がここにいる」という“存在”を、みんなが認めだす、っていうのかな。子供でも、無視されるよりも注目を浴びるほうが気分はいいですよね。それがやっぱり、ものをつくったときにそういうことがあって、それで“好き”になっていったところもありましたね。

広報:なるほど。

石川先生:あと、小学生の頃は“耳が大きいこと”がコンプレックスで、よくからかわれていたんですよ。それがケンカの元になったりして、内に籠(こも)ったりしてたのもあったかもしれないですね。でも絵を描いてるときは、別人扱いみたいに「石川くんすごい!」ってなったから。その瞬間は光が差すっていうのかな。その頃の先生がすごく褒めてくれたのもあったかもしれないな。だから“絵を描いてさえすれば、存在感がある”って思ってたところはあったかもしれない。
“自分”を出したら、見えていなかったものが見えるようになった

石川先生:で、転機が訪れたのは中学1年生の終わり……。

広報:何があったんですか?

石川先生:何がきっかけだったかわからないんだけど、“このままこうしていたら、人とコミュニケーションが取れなくなるじゃないか……”とか、そんなことをすっごく考えた時期があったことは覚えています。で、きっかけはわからないんだけど、中学1年の終わりから2年にかけて、人が変わったように喋りだしたんですよ。

広報:え!

石川先生:かなり無理して喋るようにしたんですよ。“ちょっとは話すようにしないと友達も増えないし…”“小学校のときはおとなし過ぎって言われたし…”って思って。そしたら周りにウケて。意外と、お話をすると周りの人たちの反応がよかったんです。そっからがデビューですね。すっごくお喋りになりました。

広報:“中学デビュー”ですね。

石川先生:自分を出していったら、いままで見えていなかったものが見えたり、いいことがいっぱいあって。自分が話すと周りに人が増えていったりするから、楽しくなってきたんです。そっからは、今度は「石川ちょっと喋りすぎ」と先生に言われるようになって。

広報:あはははは(笑)

石川先生:それで周りに人も多くなりましたね。いろいろなタイプの人が周りに蠢(うごめ)くようになった。それも楽しかったですね。そこからはもう、自分の得意なこともわかっているから、そこを活かせばさらに上手く交流もしていけるっていうね。中学2年生の頃には「藝大に僕は行くんだ」と決めていましたね。
「石川くん、石膏像って描いたことある?」

石川先生:そのとき、部活には入っていなかったんだけど、私が絵が好きな子だってことは知っているから、「石川くん、石膏(せっこう)像って描いたことある?」って美術の先生が声をかけてくれたんです。「描いてみたい?」って言うから、うん描いてみたいっす、って言って。そしたら、「放課後美術室に来て描いてていいよ」って言うんです。「木炭って、使ったことある?」とか「僕の貸してあげるからこれで描いてみたら? 鉛筆とは違う感覚だよ」って話してくれて。でも、何も指導はしないんです。「ここで描いてていいから」って言って場所をくれて、木炭も貸してくれて。それでいなくなるんです。

広報:いなくなっちゃうんですか。

石川先生:で、しばらくすると「どう? 結構面白いだろ?」って言って戻ってきて。そのときのことをいまでも覚えているっていうのは……何を指導するわけではないけども、場を与えて、「触ってみる?」「これで描いてみると面白いよ」って話しかける、ただそれだけのことだけど、いまの私の指導の基盤になっているかもしれないですね。いま思うとね。

広報:機会を与えてくれた、と。

石川先生:何かを教えるっていうより“場”をつくってあげる、“空間”をつくってあげることが大事だなっていうのは、この仕事に就いて改めて振り返ると、美術の先生との思い出がすべていい思い出ってわけではないけども、あのときの先生はなんにも絵の技術を指導してくれない、ただ場所と木炭とそれだけを与えてくれただけなわけなんだけど、“そのことが忘れない”ってことは、あの時、あの場で、あの経験を提供してくれたのは大きかったんですよね。私、あの時、“どうして先生はいなくなっちゃうんだろう”なんて思わなかったんですよ。だって、ただ一人でいていい、好きな絵を描いてていいって言うんですから。

広報:自主性を大事にしてくれていたと。

石川先生:そう。ある意味それが“指導”だよね。場を与えて、好きなようにやってごらんって。で、そろそろって頃にやってきて……。

広報:いいタイミングで声をかけてくれたと。

石川先生:そう。いま思うと、どこからか見ていたのかもしれないよね。
「僕は藝大を目指します」と口に出した

石川先生:で、“藝大に行きたい”っていうのも、子供ながらに“絵で一番のところは藝大だ”と知っていたわけです。だから口にするようにしました。親にも、学校の先生にも「僕は藝大を目指します」と。何の根拠もないけど、絵が好きだし、それ以外のものでは一番になれなかったから、“これでやっていきたい”、と。

広報:決意されたわけですね。

石川先生:そりゃそうだよね、絵を描いたらみんなが注目してくれて、私の存在をみんなが認めてくれたわけだから。だから“これが一番自分に向いているだろう”と。描いていて たまらない快感を得られたり、達成感があったり、充実感があったり。それに、小さいころから“絵を描く”ということが、無くてはならないことだったから。だからそれでやっていこうと。

広報:なるほど。

石川先生:でも藝大は国立だから、やっぱり進学校に行ったほうがいいな、と。なので一生懸命勉強して、高校は当時でいう、県の選抜校に入りました。ただ、周りで絵のほうに行きたいという仲間がいなくて。難関大学を目指す子ばっかりだったり、「藝大なんて夢みたいな話、やめなよ」っていう先生がいたりしてね。

広報:そんなこと言うんですか?

石川先生:うん。でも“僕は藝大に行くんだ”って、意志は変わらなかったですね。私の父親も、「やりたいことをとことんやりなさい」と言ってくれていたのでね。チェレンジすることに理解があったんです。だから、高校時代は本当に絵を描きまくりましたよ。
高校生で、県立美術館で展覧会をした

広報:藝大に受かるために。

石川先生:それもあるし、“自分が絵を描けば人が周りに蠢く”って、小学校・中学校で知っていたんで。そういう“おいしい”ところを知っているから、自分の持っている力を最大限に活かしてましたね。学園祭でもそうだし、自分の力を発揮できるところでは“誰にも負けない”という気持ちで取り組んでいましたね。高校では美術部にも入部して、部長までやったんです。そのとき初めて、県立美術館で初めて高校生の美術展を開催したんです。私が話を取ってきて。

広報:すごい!

石川先生:あと公募展も、県内とかテレビ局主催の展示会とかに出品して、名前を売りましたね。なので県内の美術界隈では、ちょっとした有名人になったんです。新聞に名前がよく載ってたんです。

広報:すごい……。

石川先生:だから、他校の絵が好きな同級生とか、会ったことはないんだけど私のことを知ってくれる人がいて、表彰式で「あなた石川くん?」って話しかけられたりしてね。そういうところで、他校の、美術大学を目指している生徒と知り合えたり、交流ができたりしたから、やっぱり絵を一生懸命やっててよかったなと。

広報:高校生で、学校の外の人と知り合うのは大変なことです。

石川先生:そうなんですよ。だから本当に、高校生のときはどっぷり美術でしたね。
“決めたことは最後までやり抜きたい”

石川先生:でも勉強のほうが、進学校の中ではいわゆる“落ちぶれ”状態になっていて。「石川、国立目指すって言ってるのに、そんなんじゃ無理だよ」って先生方に言われてね。だけど、“でも藝大は絵がありますから!”って言って。でも誰も、全然信じてくれなくて(笑)

広報:信じてくれない(笑)

石川先生:「石川そりゃ無理だよ」って言う先生方の話も、笑ってかわしてね。だけど、やっぱり、現役では受からなくて。

広報:やっぱり難しいんですね。

石川先生:でもそれも、“絵がダメだったんです!”って言い返してね。“だから東京に行って、浪人します!”と。父親は賛成してくれたんだけど、担任の先生は「“東京の藝大”なんて言わないで、地元の国立大に行って、今後の人生設計を組み立て直したほうがいい」なんてって言ってね。

広報:堅実な道を考えてみたら? と。

石川先生:そう。「美術が好きなら、美術の先生という道もあるわけだし」ってね。でも、“僕、決めたことは最後までやり抜きたいんで”って言って、東京に出て来たんです。
せっかく受かった大学も、1年で退学届を出した

広報:初志貫徹、ですね。

石川先生:でも、時間がかかりましたね。“藝大一本”で、2浪してダメで。で、3年目に親が「お金は出すから、私立もちょっと受けてみたら?」と。いままで“上野にある国立の藝大”しか頭になくて、いわゆる滑り止めとかも考えてこなかったから。

広報:潔い良いまでに、藝大一本だったと。

石川先生:そうそう。でもさすがに親も不安になったみたいで(笑)でも私は、藝大に行けないとは思っていなかったんです。受験に失敗した原因も、何が足りなかったのかも、よくわかっていたし……要するに、“本番に弱かった”んです。

広報:なんと……。

石川先生:試験場に行くと緊張しちゃうタイプで、小学校時代を思い出しちゃったりして。だから、精神面を鍛えないとダメだな、と。繊細な神経だけじゃなくて、うんと太い神経もつくらないとダメだと。それで立て直して、3年目を迎えて。

広報:ついに3年目に。

石川先生:藝大だけじゃなくて、私立の美大も受けました。私立のほう、受かりました。でも藝大はまた落ちました、と(笑)

広報:無情にも……。

石川先生:親からは「約束だよね。受かった私立の美大に行きなさい」と。約束なので、受かったほうに行きました。でも、1年で勝手に、退学届を出しました。
“イメージしないと、そこに追いつかない”

広報:諦めきれなかったんですね。

石川先生:親に内緒で退学届を出して、藝大を受けるために誰にも言わないで母校に帰って、卒業証明書とか必要な書類を取って、近所の人にも見られないようにこっそり東京に戻ってね。それで藝大を受け直しました。

広報:“4度目の正直”、と。

石川先生:もちろん、受けていることは内緒で。“次の連絡は受かったとき”って決めてね。

広報:それで…? 受かった…?

石川先生:うん。親に「言わなくて申し訳なかったけど、実は、諦めきれなくて……どうして僕は“藝大じゃない”この学校に通ってるんだろうって思う日々を毎日毎日送ってて、これだとずーっと負けた気がしちゃって」なんて、「勝手なことしたけど、当初の目標だった藝大に入ったから」って感じで話してね。これが私の学生時代でしたね。

広報:目標を成し遂げて、すごいです。やっぱり、“自分はここに行くんだ”って強く思う、“イメージする”って大事ですね。

石川先生:だから生徒にも、「“遠い”って思うと“遠い”し、“自分がそこの大学に通っているイメージをする”と現実にそうなるし、当たり前になるよ」って話しています。

広報:私事ですけど、私も第一志望はちょっと背伸びをした大学だったんですけど、なぜか“そこに通う自分”がイメージできて、結果的に合格しました。

石川先生:そうなんです。そういうことなんです。私も、イメージができていた。だから4度目の受験のときに、“これでダメだったら藝大には興味がない”って、“なんでわかってくれないんだ”って思えた。そういう感じで行ったら、緊張感もなく、楽しく、初めて自分のリズムで試験を受けることができたんですよ。いままではお腹が痛くなったり、体調が悪くなったり、焦ったりしていることが試験場でわかったりしてたんですけど、それがなかったんです。ゆったりした気持ちで受けることができたんです。「これでダメだったら諦めがつく」「“自分らしさ”は出した」と思えてね。

広報:イメージすることって、大事ですね。

石川先生:イメージしないと、そこに追いつかないんですよ。
“変化していく実感”が味わえる学校

広報:では最後に、受験生にエール、メッセージをお願いできますでしょうか?

石川先生:まず、いろいろなことにチャレンジできる環境が、瀧野川には整っていますね。校長、副校長、学園の考え方が「好きなことに思いっきりチャレンジしよう」っていうことなんです。ゼミ制度を導入したのもそうですしね。“チャレンジさせてくれる学校”ですね。

広報:「好きなことに思いっきり挑戦しよう!」というのはスローガンにもなっています。

石川先生:あと、これは昔からなんだけど、入学してから卒業するまでの間で大きく成長する生徒、全く別人のように変わって、いきいきする生徒、そういう生徒たちをたくさん見てきているんです。だから、“自分の可能性を信じて、伸ばしたい”と思う受験生にとっては、自分が成長しているとわかる、「わたし変わった!」とか、自分が知らなかった自分に出会えて、“変化していく実感”を味わえる学校かな、と思います。そしてそれをサポートする先生方がたくさんいる。そういう学校なんです。なので、“自分の内側に秘めている可能性を信じている受験生”はここに来て、チャレンジしてほしいですね。そういったものがある受験生は瀧野川を選んだら、それが叶うかな、と思います。

広報:チャレンジを応援してくれると。

石川先生:美術部だけでも、入学したときの顔と卒業するときの顔が全然違う生徒をたくさん見てきました。でもそれは美術部だけに言えることじゃなくて、教科、部活関係なく「可能性を引き出せる学校」じゃないかな、と思います。学校の基盤からしてそうだと思いますよ。先生方も丁寧に、寄り添って見てくれますし。でも、自分の可能性を自分で信じていないとダメですよ。

広報:自分で自分の可能性を信じないと、始まらないと。

石川先生:もちろん、それを信じさせてくれる先生もたくさんいます。自分も気がつかなかった面に気づかせてくれる先生が、いっぱいいると思います。私自身も、そのことを大事にして、瀧野川に来た生徒、部活で出会った生徒たちにいろんなことを伝えられるように頑張っています。“発見”が日々あるように、見えなかった自分が見えてくるように、そんな指導を授業や部活でしています。

広報:引き出してくれる、と。

石川先生:いま、自分で自分の可能性を信じられない、自分に自信をもてない生徒って多いですよね。でも、それを引き出してくれたり、きっかけを与えてくれる学校ですよ、瀧野川は。だから受験生には、そういう学校だよ、って伝えたいですね。

広報:石川先生、ありがとうございました……!
「何気ない、さりげない、たあいもないひと時に、生徒の可能性を引き出す、何か“スイッチ”が見つけられるんじゃないかなと思います」と話してくれた石川先生。ご自身が受けた“指導”も、ずっと心に残っていたようです。

さて、次回はどんな先生が登場するでしょうか?
これまでの先生インタビューもぜひご覧ください! ★石川先生の前編はこちら

 

ごきげんよう。

例年、創造性教育の一環として、中高一貫1年の冬と高校1年(中高一貫4年)の春に訪れるBritish Hills語学研修。

今年、高校1年生の研修はハロウィンの季節に行ってきました!

中世の英国を再現した施設は、紅葉の季節も素敵な雰囲気です。英語を使って様々なアクティビティに挑戦した様子を動画でご紹介しています。ぜひご覧ください。

英語教育についてはこちら

British Hills2020をスライドショーで紹介!

ハロウィンのBritish Hillsの様子をご紹介

 

〜受験生へご案内〜

【中高一貫コース学校説明会】対象:小学4〜6年生
○開催日時:12月19日(土)9:00〜
○内容:全体説明会、授業体験、個別相談会
○感染症対策のため、人数制限を行なっております。要予約となります。

詳しくはこちらのページをご確認ください。

【高等学校説明会&個別相談会】対象:中学1〜3年生
○開催日時:12月12日(土)13:30〜
○内容:全体説明会、授業体験、個別相談会
○感染症対策のため、人数制限を行なっております。要予約となります。

詳しくはこちらのページをご確認ください。

ごきげんよう。

2010年より教育のICT化に取り組み、2018年から普通教室は「黒板の無い教室」に進化しました。一人一台iPad Proを使い、完全ICT化された新しい学びの形で授業を行なっています。

教育のICT化についてこれまでも動画でご紹介していますが、今回新たに化学の授業の様子を動画でご紹介しています。

教育のICT化に関するYoutube再生リストはこちら

 

<中高一貫4年・化学の授業を紹介>

 

板書していた内容は授業前にiPadに配信され、図や画像を取り入れた分かりやすいノートに変わります。そこに授業で聞いた内容や要点を、Applepencilで直接書き込んでいきます。

ノート画面は共有されていて、クラウドを介して、リアルタイムに先生の手元のiPadから生徒のノートの状況を見ることができます。みんなが“分かる”“できる”の状態で進んでいくのが、本校での“いつもの”授業です。

 

〜受験生へご案内〜

【中高一貫コース学校説明会】対象:小学4〜6年生
○開催日時:12月19日(土)9:00〜
○内容:全体説明会、授業体験、個別相談会
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【高等学校説明会&個別相談会】対象:中学1〜3年生
○開催日時:12月12日(土)13:30〜
○内容:全体説明会、授業体験、個別相談会
○感染症対策のため、人数制限を行なっております。要予約となります。

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ごきげんよう。

美術部が新入生を迎えて初めて部員全員で取り組んだ学内展示企画。「夏」をテーマに思い思いに作品を制作しました。額も含め、手作業で制作していく過程を動画でご紹介しています。ぜひご覧ください!

美術部公式ブログはこちら

 

〜受験生へご案内〜

【中高一貫コース学校説明会】対象:小学4〜6年生
○開催日時:12月19日(土)9:00〜
○内容:全体説明会、授業体験、個別相談会
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【高等学校説明会&個別相談会】対象:中学1〜3年生
○開催日時:12月12日(土)13:30〜
○内容:全体説明会、授業体験、個別相談会
○感染症対策のため、人数制限を行なっております。要予約となります。

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ごきげんよう。

本学園の校内にある自動販売機は美術部の生徒がデザインしています。今年は9年ぶりとなるデザイン変更で、その制作の様子を動画で公開しています!

◯△□の単純な形のステンシルシート使って、リズムよく配置していく感覚的なアート表現に挑戦しました。ぜひご覧ください。

美術部公式ブログはこちら

 

〜受験生へご案内〜

【中高一貫コース学校説明会】対象:小学4〜6年生
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ごきげんよう。アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにある、姉妹校Portland Christian Schoolsへ留学しているKさんから、Thanksgiving Dayの様子が送られてきました。

Thanksgiving Dayとは、アメリカやカナダの祝日で、感謝祭とも呼ばれています。1600年代、イギリス人たちがアメリカの開拓のために移住してきましたが、彼らにとって冬を越すことが難しく、飢饉によって多くの死者を出していました。それを見ていた原住民・ネイティブアメリカンたちが、トウモロコシなどの作物を与えたり、その栽培方法などを教え、無事にイギリス人たちは冬を越すことができました。それに感謝し、始まったのがThanksgiving Dayです。そのようなThanksgiving Dayでは、たくさんの美味しそうな夕食が振る舞われ、親戚や友人と楽しく過ごします。

ごきげんよう。ポートランドの新型コロナウイルスの感染状況は、少しずつ落ち着いてきています。ポートランドの生活にも慣れてきましたが、初めてのこともたくさんあり、毎日楽しんでいます。今週はThanksgiving Dayがありました。Thanksgiving Dayは、アメリカでは大切な年間行事なので、学校も2日間お休みになりました。

ホストマザーと私は、前の日にパイを作りました。私たちが作ったのは、アップルパイ・ナッツパイ・ラズベリーパイです。それ以外にもお母さんは七面鳥を焼いてくれました。

この日の夕食は、お母さんの親戚もうちに集まり、みんなで夕食を食べたり、お祝いをしたりしました。夕ご飯はとても量が多く、食べきれないほどでした。お母さんの焼いてくれた七面鳥、マッシュポテト、サラダ、パン、オニオンチップ、そして私も一緒に作ったパイなど、たくさんの料理があり、みんなで楽しく食べました。どれも美味しかったのですが、自分で作ったパイは本当に美味しかったです。

夕食の後、みんなでボードゲームをして遊びました。日本では見たことのないボードゲームなのですが、詳しく説明してもらい、すぐに理解することができました。

Thanksgiving Dayが終わると、すぐに次の日にクリスマスの準備が始まりました。今度、クリスマスの準備の様子を報告します!

 

ごきげんよう。

28日(土)は高校受験生を対象に学校説明会を開催し、たくさんの方にご参加いただきました。

2010年から教育のICT化に取り組み、最新の技術と手法を使って創立者の思いを形に変えてきました。結果として、コロナ休校期間中もオンラインで時間割通りに、普段の授業と変わらないリアルタイムかつ双方向に進む授業を行うことができました。

完全ICT化された授業では、生徒のiPadと先生のiPad画面は共有されているので、先生は一人一人のノートを回収することなく、その場で見て添削することができます。書き込んだ内容はリアルタイムに反映されていくので、全員が「分かった」状態で授業が進んでいきます。そして板書やプリント配布といった時間を省くことで、授業の進むスピードはそれまでの2〜3倍となった分、ペアワークやグループワーク、発表の時間など、自分の考えを人に伝える時間を多く取り入れています。

【「教育のICT化」はこちら】

本校では、自分の望む人生を手に入れるための心と能力を持った女性を育てることを目標に、自分の夢中になれることや好きなことを見つけることを大切にしています。

【「瀧野川女子学園とは」はこちら】

キーワードとなるのが「創造性と起業家精神」です。これらは才能ではなく、誰でも、トレーニングすることで身につけることができます。そしてこれらの力は、まさに社会で求められている、“チームで働くこと”や“まだ世の中にはない新しいものをつくりだす”ことに繋がります。

【「創造性教育」はこちら】

今年度よりカリキュラムを改定し、新たに「ゼミ制度」を導入しました。ゼミの選択は必須ではないので、本当にその内容を学びたい生徒だけが集まります。時には大学で学ぶような内容に触れることもあり、専門性高く、生徒にとって濃い時間となります。

ゼミの時間を使って学ぶ内容は、創造性教育で体験する内容と同じく、大学入試対策にも繋がります。すでに私大の多くが募集定員の半数以上を、面接主体の新しい入試の形で入学者を決めています。その面接で問われるのが、「自分の進路に向けて何をしてきましたか」ということ。ゼミでの学びや創造性教育での体験が、このような入試に対応することができるのです。

【「高等学校カリキュラム」はこちら】

また、国際社会で真に活躍するために必要な、英語教育にも力を入れています。社会で求められていて、大学入試でも問われるようになった“使える”英語力。使えるためには日常的に使う必要があります。本校では、自然に口から英語が出るよう、練習を繰り返し、経験の中でなじませていくことを大切にしています。

まずは日本人の英語の先生から、分かりやすい授業で英語の考え方や使い方を学びます。次にネイティブの先生と、学校のあらゆる場面で実際に使ってみて、さらにオールイングリッシュの授業へと段階的に展開していきます。希望者にはネイティブの先生による、海外の大学進学も可能なレベルの授業を受けることも可能です。また、校外学習や海外語学研修プログラムも充実し、一人一人の状況に合わせた選択が可能です。

【「国際教育」はこちら】

全体説明会の後には「黒板の無い教室」で授業体験に参加いただきました。授業体験では普段の授業と同じく、iPad ProとApplepencilを使っていただきます。体験では“書く”“消す”だけなので、初めて使う方もすぐにできるようになります。

授業内容は入試にもよく出る不定詞の復習です。板書がなくサクサク進む、けれど分かりやすい、そして“ノートが共有される”ことを実際に体験していただきました。

全体説明会では共感できる部分、思い当たる部分もあるようで、頷きながら聞いていただいたり、授業体験では新しい学びの形に驚き、楽しんでいただく様子が伺えました。イベントを通して、本校の教育をより多く知っていただけたら嬉しいです。

今年度の受験生向けイベントも残り少なくなってきています。授業体験もできる高等学校学校説明会は、次回12月12日(土)が最後の開催となります。まだご参加いただいていない方は、ご予約の上、ぜひご参加ください。みなさまのご来校お待ちしております。

【高校受験生向けイベント予約はこちら】

 

〜受験生へご案内〜

【中高一貫コース学校説明会】対象:小学4〜6年生
○開催日時:12月19日(土)9:00〜
○内容:全体説明会、授業体験、個別相談会
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○開催日時:12月12日(土)13:30〜
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ごきげんよう。

本日は中学受験生向け学校説明会を開催いたしました。

はじめに校長より、「自分が望む人生を手に入れて、社会に貢献する」ために、本学園が大切にしている理念と歴史についてお話がありました。


校長先生より理念と歴史のお話

 

続いて副校長からは、その理念を基に現在本学園が取り組んでいる教育について、主に「教育のICT化」や「創造性教育」について説明を行いました。


副校長より本学園の取り組みについてのお話

 

本学園では2010年から教育のICT化を進め、現在ではすべての普通教室が「黒板の無い教室」になりました。

なぜそうしたのか――それは「生徒が楽しいと思える授業をしたい」からです。

ただ先生の話を聞いて、板書をし、プリントで配られる問題を解く……それでは何の面白みもありません。時間ばかりが経ってしまい、結局何も身につかないということになりかねません。
本学園では、もっともっと自らの頭で考え、周りの仲間と話し合い、物事への理解を深め、学んだことの“その先”へ思考を発展させてより大きな成長に繋げるために、「創造性」と「起業家精神」を養います。

「創造性」とは、自分の中にある“思い”を形にすること。
そして「起業家精神」は、形になった思いを、社会や仕事に結びつけて考える心構えこと。

この2つの能力は、決して才能でも個性でもありません。トレーニングすることで、みんなが身につけることができます。
本学園では6年間かけてさまざまな取り組みをし、みなさんの中に眠っているそれらの能力を引き出していきます。

中学1年生ではデザイン思考を基に「理想の街」について考え、中学2年生では「みんなが楽しめるロボット」を一から作ります。中学3年生では「自由研究」として1年間、自分が本当に面白いと思うこと、すごいと思うことについて徹底的に追求。最後には全校生徒の前でその成果を発表します。(発表の様子はこちらの動画をご覧ください)
高校生になってからも、自分たちでオリジナルの商品を企画し製作・販売まで行う「事業化実習」や、そこで作った商品をさらにブラッシュアップさせて「ハワイ修学旅行」の中で販売するなどといった取り組みで、みなさんが持つ能力を伸ばしていきます。(詳しくはこちら

きっと、入学する前と後ではちがった自分に出会えるはずです。

副校長からは他にも、本学園が力を入れている、国際社会でチャンスを掴むための「英語教育」についてや、“国際化が進む現代だからこそ”日本人としての心遣いを学ぶ「礼法・茶道・華道」についてのお話がありました。また、豊かな心を育むため、創業時より大切にしている「校外学習」についてのお話もありました。

 

また、全体説明会の後には家庭科の体験授業も行いました。

本学園では国語や算数、英語といった科目だけでなく、すべての授業がICT化され、生徒は全員iPadとApple pencilを使って授業を受けます。

本日の授業テーマは「日本の行事食」。家庭科の先生から配信された“五節句”についての問題を考えながら、実際の授業さながら、iPadとApple pencilを使っての授業を体験していただきました。
最初はみなさん恐る恐る操作をしていましたが、短い時間の中でもだんだんと慣れていった様子で、文字を書き込んだり、表示されている写真を動かしたりしていました。飲み込みが早く、とても驚きました。
今後も本学園について知っていただく機会を設けていきます。
百聞は一見に如かず。ぜひ一度、足を運んでみてください。

【次回の中学受験生向けイベント】

12月19日(土)9:00~ 学校説明会&個別相談会※体験授業有<ご予約はこちらから>

 

〜受験生へご案内〜

【中高一貫コース学校説明会】対象:小学4〜6年生
○開催日時:12月19日(土)9:00〜
○内容:全体説明会、授業体験、個別相談会
○感染症対策のため、人数制限を行なっております。要予約となります。

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【高等学校説明会&個別相談会】対象:中学1〜3年生
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○内容:全体説明会、授業体験、個別相談会
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詳しくはこちらのページをご確認ください。

ごきげんよう。

国際社会でチャンスを手にするための英語教育5ステップをご紹介します。

【国際教育についてはこちら】

<ステップ1>

授業の内容に合わせて、生徒にとって分かりやすいオリジナル教材を作成し、iPadに配信。完全ICT化された授業の特性を活かし、クラウドを介して、リアルタイムに一人一人の状況を把握しながら進めるので、“分からないまま”を見逃しません。生徒同士の協働作業も多く取り入れ、楽しく力がつく授業を行います。

 

<ステップ2>

母語で英語の基礎を理解できたら、ネイティブの先生と一緒に使ってみます。日本人の英語教師と同数の6名のネイティブの先生は、平日の朝から放課後まで学校にいるので、授業以外のホームルームや掃除の時間、放課後の英会話教室やクラブ活動など英語を使う機会がたくさんあります。ネイティブの先生はうまく生徒の英語を引き出し、“話せた”“伝わった”の繰り返しで、英語を使う楽しさを実感します。

 

<ステップ3>

6名のネイティブ教師のうち、4名は英語の特別免許を取得している英語教師です。ALTと異なり、一人で授業を受け持つことができるので、ネイティブ教師によるオールイングリッシュの授業を全学年全クラスでおこなっています。さらに希望者には、英語での高度な論理的表現能力を鍛え、海外大学進学も目指せる授業を選択することも可能です。

 

<ステップ4>

学校以外での英語教育の環境も充実。校外学習で学年全員で参加する「British Hills語学研修」では、日本にありながら「パスポートのいらない英国」といわれている場所で、英国人を中心としたスタッフが生徒たちの英語を引き出しながら、英語を使ったアクティビティに参加します。「ハワイ諸島修学旅行」では、創造性教育の一環としてハワイ大学でチャリティバザーに挑みます。英語を使って積極的に大学の学生に声をかけ、自分たちが作ったオリジナル商品を売り込みます。参加した生徒からは、“思ったより伝わった”“もっと英語を勉強しようと思った”といった感想が例年あり、英語習得の意欲を高めます。

 

<ステップ5>

短期集中で鍛える語学研修プログラムでは、夏休みの2週間、アメリカのポートランドにある姉妹校に通うホームステイプログラムと、春休みの3週間、カナダのバンクーバーにある語学学校で学ぶ研修プログラムを用意。さらに長期で現地生活を送りながら英語を習得したい場合には、アメリカ姉妹校への正規留学プログラムがあります。単位互換制度のため、留学中に取得した単位は卒業のための単位として認められ、帰国後次の学年に進級することができます。

 

先日、正規留学に出発しました!

 

一人一人の希望する進路に合わせた“使える”英語の力を鍛え、国際社会で真に活躍する日本女性を育成します。

 

〜受験生へご案内〜

【中高一貫コース学校説明会】対象:小学4〜6年生
○開催日時:12月19日(土)9:00〜
○内容:全体説明会、授業体験、個別相談会
○感染症対策のため、人数制限を行なっております。要予約となります。

詳しくはこちらのページをご確認ください。

【高等学校説明会&個別相談会】対象:中学1〜3年生
○開催日時:12月12日(土)13:30〜
○内容:全体説明会、授業体験、個別相談会
○感染症対策のため、人数制限を行なっております。要予約となります。

詳しくはこちらのページをご確認ください。

ごきげんよう。

先生インタビュー初の前編・後編にわたってお送りするのは、石川先生です!
先生は東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒の美術教諭で、美術部の顧問を務めています。
さっそくお話を聞いてみましょう!

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石川先生(美術)
美術部の“原点”は、進学講習

広報:さっそく、自己紹介をお願いできますでしょうか。

石川先生:美術を担当しています、石川です。中学1年生~3年生の必修授業、高校生は選択1の授業、高校2年生は油彩画ゼミ、デッサンゼミ、高校3年生はデッサンゼミのほかにアート表現ゼミを担当しています。美術は私1人で、中学生から高校生までみています。部活動は美術部で、顧問をしております。

広報:先生は長らく瀧野川にいらっしゃるんですよね。

石川先生:31年目が終わろうとしているのかな? 平成2年からなのでね。実は、この学園に来た当初は美術部には関わっていなかったんですよ。

広報:そうなんですか!

石川先生:当時は国語の先生が顧問でやっていたんです。でも、授業をするなかで「美術系の大学に進学したい」「難関の藝大に行きたい」と話す生徒がちらほらいて、私の経験を活かして何か伝えられないかな、アシストできないかなと考えて、“進学講習”というのを立ち上げたんです。

広報:“進学講習”とは?

石川先生:まだ当時は学園としては取り組んでいなかった、“放課後に受験対策的な授業をする”ということを始めたんですね。美大を目指す生徒たち、そういう「夢」をもつ生徒たちを放課後に集めて、猛特訓しようと。主にデッサンですね。美大の受験にはデッサンの実技試験が必須なので。

広報:いまの美術部の“原点”になるわけですね。

石川先生:そうですね。いまの美術部の基盤となったのは、その進学講習でとことん目標に向かって取り組んできたのが原点ではありますね。で、何年かやってくると、結果がほしくなりますよね。2年目から結果が出始めていたんですけど、3年目くらいから、主要難関美大に現役合格させることができるようになったんです。生徒も保護者の方もとても喜んでくださった。やりがいがありましたね。

 

瀧野川で生徒と出会って、私自身も変わった

石川先生:その特訓をやり始めたことが、私自身にとっても、“教師”そして“生徒”にかなりのめり込んでいくきっかけになったんだと思います。美大に行きたいという生徒たちとコミュニケーションを取るなかで、“教師”というものへのイメージ、自分がいままで思ってきた“教師像”というのかな? 随分と考え方が変わりましたね、瀧野川の生徒と接してきて。

広報:先生になる前はどうお考えだったんでしょう?

石川先生:小さいころから絵を描くのが好きで、そういう時間を大事してきて、自分の「存在感」を一番示せるのが“何かをつくるとき”だったんです。周りの人たちに、“ここに石川がいる!”っていうのを、すべての人に示すことができたのが美術だった、ものづくりだったっていうのがあったんです。

広報:なるほど。

石川先生:なので、できれば何かを製作するなかで、それが職業に結び付いていければいいなっていうのはありました。作家、昔で言うならば画家、造形作家、アーティスト……いろいろな言い方がありますけど、“そっちのほうで”っていう夢を、瀧野川に来た当初はまだ持っていたんです。自分の製作活動を中心に、それを一番にやっていこうと思っていたんです。そういう意味で、正直、教員でずっとやっていこうっていう気持ちはそこまでなかった。だけど、どうも進学講習で生徒たちと出会ったことが私の考えを変えていった。“教師”っていうもの、“先生”っていうものの定義も変わりだした。自分が思っている以上に、生徒との時間っていうのが、私自身にもたくさんの影響を与えていった、っていうのがありましたね。

広報:“先生”をどう捉えてらしたんでしょうか?

石川先生:正直言って、“先生”ってあまり好きではなかったんです、子供の頃は。なので、教師になろうと思ったこともなかった。教員免許を取ったのも、「せっかく大学に行かせてるんだから、大学にいる間に取れる免許は全部取りなさい」という、親との約束だったんです(笑)

広報:(笑)

石川先生:結果的には、それがあったから今があるので、良かったとは思うんですけど、そんな感じの入りだったので……でも、進学講習のときに、授業の形態とは違って生徒にかなりぐっと入り込んでいって。個人指導がもっと深く入っていった感じで。人数も少人数だったのでたくさんコミュニケーションを取ってね、絵だけじゃなくてトータルに。日常生活のことから趣味の話から、何でも話す「人と人との関係」っていうのかな? 「生徒と先生」という関係も大事なんだけど、まずは「人と人との関係」っていうのをすごく強く意識したかな。

広報:生徒と先生である前に「人」であると。

石川先生:“人と会話をすること”“人と繋がること”って、すごく素敵なことがいっぱいあって。でもさっき話したように、最初は自分が教師に向いていると思っていなかったので。自分勝手で、自分の製作活動をしたいっていう気持ちがあったんだけど、瀧野川の生徒と一緒の時間を過ごすなかで、自分の存在理由っていうのかな……? 私の話す言葉一つひとつが生徒たちの中にふぅ~って入っていって、また生徒たちのほうから、何かが返ってくる。言葉にするのは難しいんだけど、何か、役に立っているのかな、と。

広報:投げかけたものが生徒に響いて、それがまた跳ね返ってくる。

石川先生:うん。そういうことが、私の中で何とも言えない気持ちになって。もしかしたら私が思っていた教師像、先生っていうのは、頭の中だけで「教師とはこういうものである」って思っていたけど、実際に現場で、生の生徒たちと本気で向き合って過ごしていく中で、「教師像っていろいろあっていいんだ」と。“私がここにいること”が、生徒たちにとっても、保護者にとっても喜んでいただける部分があるんだ、っていうところを感じて。4年、5年と経っていって……その頃にはもう抜けられなくなっていましたね。

広報:先生自身の“教師像”を見つけられたんですね。

 

美術部の改革、「TAMENTAI」のこと

石川先生:その頃、学園のほうから「せっかく専門の先生がいるんだから、美術部のコーチになってもらおう」って話が出てきて、最初はコーチのはずだったんだけど、「いや、顧問として全部見てもらったらいいんじゃないか」という流れになって、それがきっかけで美術部の顧問になりました。ただ、“進学講習もやってます”、“美術部の顧問もやります”……でも身体は一つ……あれ? と(笑)なので、進学講習と美術部を融合させていったんです。

広報:進学講習と当時の美術部の融合から、いまの美術部が始まったんですね。

石川先生:当時はまだ、趣味の延長線上の、よくある美術教室みたいな雰囲気があって、それは私の思うものと違ったんですね。“こんなの美術じゃない”と思うような感じだったんです。先生が組み合わせたモチーフをみんなで囲んで描く……もちろん授業だったらそういうことはあるけど、同じモチーフを全員が同じようにキャンバスで、油絵で描いて……だから当然、全員同じものが出来上がるわけです。で、それをコンクールに出すと。だけど本当は、個人製作は、自分でテーマを決めてやらないとダメなんです。生徒たち個人個人の世界観って、広がっていかないんです。

広報:なるほど。

石川先生:そういうことがあって最初は敬遠していたんだけど、顧問にっていうお話があって、だけど美大進学のための進学講習を受けもっていたので、二つを融合させることでいまの“美術部の原型”となるものが始まりだした、と。その大きな転機というか、美術部の基盤となった、いまのスタイルで動き出したのは2003年だったかな? 卒業生が、卒業したあとも続けられる美術部「TAMENTAI」を結成したんです。(TAMENTAIのブログはこちら)

広報:すごいですね、卒業してからも一緒に製作を続けられるって。

石川先生:でもいま、この新型コロナのことがあって、言葉は悪いけども、御陀仏状態。やっぱり、交流って、切ると戻すのは大変なんです。だから、すごく危機です。“繋がっている線”って、切っちゃダメなんです。これだけ空白の期間ができちゃうと、辛いですね。だから、新型コロナが落ち着いても、以前のようになるには、また何年もかかると思います。10年以上続いてきたTAMENTAIの活動がストップしたことは、いまの美術部にとって大きいですね。

広報:そうですね……。

石川先生:美術団体で10年以上続くものって、そうそうないんです。なので、私もすごく誇りにしているし、たくさんの卒業生が繋がっていて……年に一度は必ず展覧会を開催してきて、学内だけじゃなくて、学外でも発表していくというスタイルでずっとやってきているんだけどね。「SHIODOMEジャンボリー」(2006)とか、卒業生と私でプレゼンして話をとってきたんです。他は有名なアーティストしか出てないんですよ、そこに得体の知れない学生とおじさんが“創作団体TAMENTAIだ!”って言ってるっていう(笑)

広報:殴り込み! じゃないですけど、そんな感じですね。

石川先生:そうそう。第一回目の「夏休み」(2004)っていう展覧会からずっと発表を続けてきたんだけど、今年の展覧会は中止になっちゃった。残念です。

 

“まっすぐ、思いやりのある人に育ってほしい”

広報:いままでたくさんの生徒を見てきたと思いますけど、瀧野川の生徒の印象はどうですか?

石川先生:美術の授業でみている生徒たち、部活でみている生徒たち、授業は担当していないけどお掃除の時間に会う生徒たち、顔は見たことがあって「何部にいる〇〇さんだな、教えたことはないけど、いつも挨拶してくれる生徒だな」っていう生徒たちがいて、一言に“生徒”って言ってもいろいろなんだよね。

広報:確かに…

石川先生:でも、“美術の授業と部活で会う生徒たち”の印象っていうと……それも美術の授業で会う生徒たち、部活で会う生徒たちでも違いはあるんだけど。授業で会う生徒たちはいろいろいますね、無口な生徒、天真爛漫でにぎやかな生徒もいるし。部活で会う生徒たちっていうのは、繊細な心をもっていて、細くて壊れちゃいそうなくらいデリケートな生徒が多いですね。

広報:感性が豊かなんですね。

石川先生:部活の中では、「人とのコミュニケーションは丁寧に、大事に、気持ちをもって相手と接するんだよ」って指導もしています。なので、非常に“思いやりのある生徒になっていく”っていうのもありますね。日々成長しています。私、人に対して思いやりのない言動や態度をとるのが、すごく嫌なんです。その点、美術部の生徒たちはすごく相手のことを思って、思いやりのある接し方とか、言葉一つにしても大事に選んでお話しするようになりますね。

広報:素晴らしいことです。

石川先生:あと、部活で生徒と私は一緒に笑ったり泣いたりして、よく「家族みたいだね」って言われるんですけど、そのくらい近い関係になりますね。家族ってそうじゃないですか。すごい怒ったり、泣いたり、言い合ったり……それに近いような接し方をしています。自分のこととか相手のことを本当に理解するには、上っ面だけの表面上の付き合いだと、本当の意味でちゃんと繋がることはできないんですよ。形式的な付き合いだと、人と人って繋がることができない。そういう意味で、生徒と教師とはいえ「人」と「人」なので、私にもまだまだ未熟なところはあって完璧な人間ではないけど、だからこそ自分自身をオープンにして、それを見た上で私と向き合ってほしいし、私もみんなのこと知りたいから、いまはまだ恥ずかしくて見せたくない部分もあるかもしれないけど、できるだけ出してもらいたい。せっかくここで、“美術”というものを通じて出会ったわけだから、いい関係になろうね、と言っています。

広報:「人」としての付き合い、とも言えると。

石川先生:そして、まっすぐに向き合おう、と。ねじれていると、いい関係じゃなくなっちゃうんです。だから、「カッコ悪いけど私も全部見せるから」「先生だって完璧じゃないから」って言って、お互いに本音で、まっすぐに向き合うようにしています。“まっすぐな姿勢”っていうのは、絵の世界観にも繋がってくるんですよ。いまって、生徒たちにとっては、“自分の世界観”を探している時期でもあるでしょ? 描く絵にも、そういうのって影響するんです。本人たちのそういった意識が、絵の世界をつくっていく、自分の世界観を見つけたり、つくったりしていくところで、まっすぐでないと。ねじれていると、やっぱりダメです。外見的なものを演出したりするような人は、やっぱり私は芸術には向いていないと思うし。最初は自分自身に“囲い”があったとしても、美術部で出会った生徒たちはだんだんと囲いが取れだします。取れてくると、いい繋がりができてきますね。

 

生徒と保護者の方々にした“約束”

広報:全部さらけ出して、ぶつかっていくと。

石川先生:紙一重な部分はあるよね。それをやっていると、入り込みすぎちゃうから。生徒たちの本当の笑顔とか、本当の悔し涙とか、嬉し涙とか、部活で私は長年見てきているので。家庭でないと見せないような顔を、私には見せますよ。

広報:本当に家族のようです。

石川先生:でも、そのくらい、何ていうのかな……瀧野川に入学してきて、せっかく出会ったのだから、生徒が笑って「最高に充実した学園生活だった!」って言って卒業できるようにしたいし、「ちゃんと面倒見ます」ってお約束したわけだから、入学時に、学校は生徒とその保護者の方に。それはちゃんと、教員として約束を果たさないと、話が違うってことになりますよね。だから全力でやらないと。

広報:熱い指導をなさっているんですね。

石川先生:って言ってもその“全力”が空回りしちゃったら、ご理解にお時間いただくようになってしまうんだけど、私が指導に入り込みすぎちゃったりしたらね(笑)でも、気持ちをもって接していれば誤解も解けるし、必ず理解していただけると思いますね。まっすぐにやっていれば、それは伝わると信じてます、生徒にも、保護者の方にも。長年やってきて、それは実感としてありますね。

後編では石川先生の学生時代のことについてお届けします。近日公開! お楽しみに!

これまでの先生インタビューもぜひご覧ください!

 

 

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