当日の天気はあいにくの雨。みんなの期待を裏切るかのようにしとしと降っていた。そんな中、開始から目に入るお客さんの姿。それは時間が経つと次第に増えていき、いつもとはまた違った活気と笑顔をこの学院にもたらした。

いつものことだが、ここまで来るにはあまりに短い準備期間だった。決して時間が十分にあったわけではなかった。よく考えてみればその「時間」に見合うクウォリティの作品を仕上げようとする一種の妥協案もあっていいはず。だが誰も口にはしなかったし、きっと思いもつかなかったのであろう。それは、頑張れば、出来ること以上のことをしたいと思えば、その思いに答えてくれる仲間がいる、先生方がいる、そして長い月日と心の交流で結びついた地域の方々がいて支えてくれている、何よりも楽しみにしていてくれることを分かっているからなのだろう。

私は本部という立場でみんなをサポートする役目だったので、みんながどれほどの思いで、何を目指してやっているのかをよく感じ取ることができた。時間はない。人手はない。十分な材料もない。しかしやる気と、ある物で最大限に魅せようというアイデアはある。決して恵まれた「何かを作る」環境ではないことは皆知っている。でも大切なことはそうじゃない。気持ちと工夫。文句を言ったって始まらない。みんな黙々と作業に打ち込んでいた。

オープンデイ当日。日本の学園祭などに比べたら華やかさはないのかもしれない。しかしみんなの心には人一倍の達成感があったはずだ。一から手で、熱い思いで作り上げてきただけのものが。他国からたくさんの保護者の方がやって来て手伝って下さった。そこら中で家族との再会を喜ぶ笑顔、ホストファミリーとの再会を喜ぶ笑顔、交換留学生との再会を喜ぶ笑顔が広がり、そして何より雨の中わざわざ訪れてきて下さった地域の方々の愛に包まれていた。普段お世話になっている事務の方々、英会話の先生方、日本人の先生方が、家族を連れたくさん来て下さっていた。みんなこの学院を、ここで頑張っている私達を誇りに思って来て下さっているんだなぁ、そんな風に思い、心が温かくなった。

閉会式で成績発表が行われた。もちろん一番になりたいとみんな思っているけれど、全員、ここまで来る大変さ、辛さを味わっているからこそ、誰もが心からの拍手をみんなに送っていた。
みんな笑っていた。やりきったぞ!あふれんばかりの笑顔。ステキな笑顔が優しい愛に包まれて今年も無事オープンデイを終えることができたのだなぁ。ありがとう。

たくさんの方に感謝の気持ちをこめて。

(高等部2年生 女子)

「高3といえば?」
「立教の大黒柱!!」
全員で叫んだその声は、どの学年にも負けていなかったと思う。受験生である私たちは後輩がオープンデイ準備で胸を弾ませている横で補習に取り組んだ。かつて一年前は自分たちも同じことをしていたはずなのに、一緒に参加できない悔しさに、心が折れそうになった人もいた。それを乗り越えて、オープンデイ二日前から高3は準備に合流し、それぞれの係ごとに活動を始めた。

私たちは、後輩に負けないくらい、準備に力を注いだ。廊下は自分の担当のポスターを貼る場所で取り合いになり、教室の内装はどこが一番豪華にできるかで燃え上がった。焼き鳥と唐揚げの係は雨の中ブースを設置したり、ソーラン節の練習をしたり。キッチン係はチーズケーキ作りとエプロン作り、そして会場設営と忙しかった。

私たち高3がしていたことは、クラス企画やフリープロジェクトなどのメインに比べれば、地味な脇役だったかもしれない。その通りだと思う。私たちはあくまで裏方であり、主役は後輩。

でも、私たちはそれだけでは終わらない。裏方は裏方なりに、全力を尽くす。なぜなら、全員が誰よりも負けず嫌いで、誰よりも立教が大好きだから。この思いはきっと、あと一ヶ月の立教での生活の終わりを迎えても、ずっと、永遠に、持ち続けていくのだろう。

(高等部3年生 女子)

ロンドンのランドマーク、ビッグベン。何度見ても飽きない美しい建物だ。中三のときにも国会議事堂を見学する機会があった。当時の私は世界史を習っておらず、英語の説明もわからず、退屈だと思いながらツアーに参加した。もったいないことである。高校生になり、世界史を習い始めるとヨーロッパ史に興味が出てきた。ロンドンには大英博物館やナショナルギャラリーといった博物館や美術館が多数あり、授業で習った人物の肖像画や美術作品、遺跡などを実際に見ることができる。国会議事堂もその一つだ。あの時もっと真剣に話を聞けばよかったと後悔していたため、今回また見学する機会ができてとても嬉しかった。

一言も漏らさず説明を聞こうと思い、ガイドさんの横にはりついて見学した。ガイドさんの説明はとても詳しく、わかりやすかった。中三のときは素通りした肖像画や絵画も一つ一つじっくり見た。知っている人名をいくつも見つけた。国会議事堂はこんなに面白い所だったのかと思うぐらい楽しかった。また、建物の内装にも感動した。外見も美しいが、中も豪華な装飾やたくさんの絵や彫像があり、まるで美術館のような部屋もあった。

ビッグベンもそうだが、イギリスには長い歴史を持つ建築が本当に多いと感じる。もちろん日本にも歴史的名所はたくさんあるが、都会の外観は今と昔とではずいぶんと違うだろう。しかし大都市といわれるロンドンには、ビッグベンやウエストミンスター寺院など、昔から変わらず存在する建築物が多く存在する。私が大人になってからイギリスを訪れる機会があっても、今と変わらぬロンドンの街を見ることができるのだろうと思う。

(高等部3年生 女子)

11月2日はOpen Day。学校外からお客様をお招きし、Rikkyo Schoolを知っていただく、立教の一年間で最も大きなイベントです。天候はあいにく雨でのスタートでしたが、今年も近隣に住む英人の方々を中心に多くの方にご来場いただき、校内は大賑わいでした。バザーや古本市をはじめ、和菓子、焼き鳥、手作りパンなど、キッチンや店舗を支えていたのは父母の会の方々と高校3年生です。高校3年生は、短い期間で店舗の設営をしてくれました。忙しい中本当にお疲れ様でした。

Open Dayはたった一日で終わってしまうのはもったいないと思えるほど、生徒たちの思いと情熱が詰まっているイベントです。この1日の為に、1学期や夏休みから構想を練り、何度も話し合いを重ね、そして当日1週間前からは朝から晩まで一日中を準備に費やします。完成した展示を目の前に、達成感で言葉にならない生徒も多かった様子。ここで、各クラスの企画を紹介いたします。

小学生「みんな大好きドラえもん」
日本を代表するアニメ「ドラえもん」を紹介する企画です。少人数にもかかわらず、私たち日本人も知らなかったドラえもんの魅力がたっぷり詰まった展示でした。紙粘土で作った「ひみつ道具」にはイギリス人のお客様も興味津々の様子でした。

中学部1年「猿蟹合戦」
日本の民話「猿蟹合戦」のストーリーを、モザイクと模型で紹介。名前を聞いたことはあっても、どんなストーリーだったのかを知らない生徒もいた様子。壁いっぱいに書かれた背景と、紙粘土で作られた模型で、教室に入るとまるで絵本の中にいるような気持ちになりました。難しかったであろう英訳もきちんと書かれており、イギリス人のお客様も楽しめるように工夫されていました。

中学部2年「ゲゲゲの鬼太郎」
中学2年生はゲゲゲの鬼太郎を紹介しました。教室の中では照明をうまく調節し、鬼太郎独特の不気味な雰囲気を上手に表現していました。展示の最後では実際に日本で売られている鬼太郎のキャラクターグッズを展示し、日本で長い間親しまれてきたアニメを上手に紹介していました。全校投票では看板部門に入賞しました。

中学部3年「自然からのメッセージ~The message from the nature~」
2011年の東日本大震災を扱った展示です。事実をただ記述するだけではなく、「震災を忘れてはいけない」というメッセージがこめられた力作でした。新聞紙を背景に使ったり、背景の中を覗くと被災地の様子が映し出される工夫は高校生も顔負けです。当時の映像など、視覚的な効果を上手に使っていました。投票では模造紙部門で高校生を抑えて1位入賞。難しいテーマに果敢に挑戦していく姿に感動しました。

高等部1年1組「The mystery hidden in the deep sea~残された手紙~」
クラスで考えたオリジナルのストーリーに沿って、深海の中を旅する展示です。祖父が残した「手紙」を入り口で受け取り、進んでいくにつれて、まるで主人公になったような気持ちにさせられます。1年1組の魅力は、なんといってもその模型です。海底に沈む遺跡や、深海に住む生物はまるで本物のようでした。大きなストーリーと細部にこだわった模型によって、非常に完成度の高い展示となっていました。準備期間中は学級委員を中心に学校の備品や道具を効率よく使用し、4部門で入賞しました。

高等部1年2組「WE LOVE YU」
タイトルからも想像できるように、1年2組は日本の「銭湯」を紹介するという一風変わった企画で先生特別賞をはじめとする多くの部門で入賞。立体的に作られた「ゆ」の文字をあしらった看板は1位を獲得しました。模型は湯船をはじめ、富士山の絵や洗面器、そして牛乳瓶の冷蔵庫まで! スペースをうまく使い、日本のお風呂がもつ「癒し」を上手に表現した、わくわくする展示でした。

高等部2年1組「LIFE」
クラス企画最高学年としてふさわしい「命の大切さ」を様々な視点から考える展示です。生まれてくる赤ちゃんを思い通りにデザインできる「デザイナーベイビー」の是非、世界各国で発表されている「幸福指数」を立教で測ってみたら何%になるか、臓器提供の技術に伴う倫理的問題、そして、「なぜ人を殺してはいけないのか」についてとことん考えてみる、など。展示の方向性で何度も悩み、たくさんの話し合いを重ねた結果、「17歳の、今の、私たちはこう思う」ということを表現することにしました。それは説得力のあるメッセージとしてお客様に伝わった様子。来場者アンケートでお客様賞を受賞しました。

高等部2年2組「Villains~The journey through villains~」
多くの部門で入賞し、総合優勝を果たしたのは2年2組。いつもは疎まれる「悪役」を主人公に置いた異色のテーマで人々の心を奪いました。準備期間中から、いったい何がテーマなのか、全く想像がつかず、たくさんの生徒の注目を集めていました。展示は、背景と模型の完成度が非常に高く、独特の世界観を表現し、Impact部門も受賞しました。

クラス企画とは別に、多くの生徒は、剣道、ドミノ&エレクトロニクス、チャリティー、ダンス、エンターテイメント、ダブルダッチ、茶道、フラワーアレンジメント、劇の9つの企画からなるフリープロジェクトを一つ選んで参加します。各企画はステージや教室で発表をしたり、作った作品を展示、販売します。Open Dayは日曜日の夕方に終了しますが、係の仕事で忙しかった生徒たちの為に、後夜祭でもう一度フリープロジェクトの発表が行われます。今年は生徒の投票によりダンス企画が優勝を果たしました。

立教生のOpen Dayは翌日一日を使って校内をきれいにし、次の日から通常通りの授業が行えるようになるまで続きます。各係の生徒を中心に、効率よく解体・設営作業を進める姿には感動しました。

Open Dayを通じて見えた、立教の生徒の素晴らしいところ。それは、人を受け入れ、人に受け入れられる自分になる努力を生徒みんなが自然にできるところです。Open Dayの準備は、そんなに簡単なものではありません。話し合えば意見の対立や衝突が起こります。思い通りにならない時に、泣いてしまったり、自分が言ってしまったことを後悔したり、反省したり、そんな毎日だったかもしれません。しかし、立教の生徒は「話し合うこと」が上手です。自分の意見を言いつつ、他人の意見もしっかりと聞き、誰かを退けるのではなくて、最もいい方法を探そうと努力をする。それは決して効率がいい方法ではないかもしれない。でもそれは、海外で暮らし、海外で活躍していくために最も大切な「技術」でもあります。Open Dayは1年に1度の特別なイベントであると同時に、毎日の生活で少しずつ培われている「立教生らしさ」の集大成でもあるのだと感じました。生徒の皆さん、本当にお疲れ様でした。
遠くから来校し、お手伝いをしてくださった皆様、本当にありがとうございました。

卒業後、25年ぶりに訪問させて頂きました。
今も変わらない風景を見て懐かしい気持ちで一杯になりました。
そして改めて素晴らしい環境で学生時代を送っていたのだと感慨にふけっています。
このまま、いつまでも変わらない英国立教であり続けて欲しいです。
ありがとうございました。

卒業以来、実に6年振りに立教に帰ってきました。Open Dayに乗じての訪問でしたが、細かいところはともかく、変わらない「空気」に安心した1日でした。後から思えば、自分の根幹を形成した7年でした。入り口の看板を見た時から色々な思い出・記憶が押し寄せて来て、懐かしさで一杯になり、自分でも驚いています。
ただそこにあってくれるだけでホッとする場所です。
また来たいと思います。

高校3年生、学院生活最後のアウティングはロンドン。今年は予約の都合で2回に分けていくことになりました。その分楽しみも2倍です。

1回目は10月10日(金)、グループ行動が中心で、ロンドンで昼食を食べるところから始まりました。急ぎ足で観光名所をめぐるグループ、のんびりショッピングを楽しむグループ、ひたすら食べまくるグループと様々です。最後のロンドンを楽しんでやろうと、それぞれのグループは前日からああでもないこうでもないと計画を立てていました。アウティングやホームステイで何度も訪れたロンドン、計画なら任せてといった調子です。自由時間を無駄にすまいとロンドンを文字通り「駆け巡った」班もあったとか。「あんなに走ったのは生まれて初めて!」と、疲れたけれど満足そうな顔を見せていました。

昼食後、最初の集合は大観覧車、ロンドンアイ。この日は10月のロンドンにしては珍しくいい天気で、予約はしてあったものの順番待ちは長蛇の列。他愛のない話で盛り上がりながら順番を待っていると、いよいよロンドンの街並みを一望できる空中へ。一つのカプセルは30人乗りなので、贅沢に1クラスで1つ貸切です。360度大迫力のパノラマに、生徒の間から自然と歓声がこぼれます。
「ヒースロー空港はどこかな?」「あの建物、去年の夏に行ったな」これまでの思い出を振り返りながらロンドンの街並みを一望。18歳になっても素直に感動してくれるのは嬉しいもの。満面の笑みで記念写真を撮りました。

夜は皆でミュージカル、『オペラ座の怪人』を鑑賞。演目はもちろん全て英語ですが、ストーリーを理解できるあたりはさすが高3生。内容には賛否両論、昨年見た「レ・ミゼラブル」と比較しながら、「あそこのセットは……」「いや、あの演出が……」などと、帰りのバス内は白熱の論議が繰り広げられていました。みんながすばらしいミュージカルの世界に浸り、ロンドンを巡った疲れなんてなんのその、帰りの2時間にわたって話はやみませんでした。

2回目は10月29日(水)の国会議事堂見学。あの有名なロンドンの目玉、ビッグ・ベンを擁する国会議事堂内部に入れる貴重な機会です。イギリスで育った身として、イギリスの政治を理解していなければ大学で笑われてしまいます。ガイドはもちろん英語。聞き慣れない政治用語に真剣に耳を傾けていました。

世界史を学習している生徒にとっては、勉強した歴史が目の前に現れる機会。ガイドさんの話は、1066年のノルマンディー公ウィリアムによるノルマン・コンクエストから始まり、1834年の大火によって焼け落ちてからの国会議事堂の再建、第二次世界大戦、その後から今に至るまでの話…。建物の話から政治の歴史まで、ちょっとした小話も交えながら話してくれました。
今回は下院は閉まっていたので、上院のみの見学でした。上院は赤と金、下院は緑と木の色を基調とした部屋になっています。豪華な金色の装飾に赤色のソファはさすが貴族院といった豪華さでした。見学の道すがら、テーブルを囲んで話し込む上院議員の姿も目にすることができ、イギリスの政治を身近に感じたひと時となりました。

その日の昼食はクラスメイトと行く最後のロンドン。指示は無かったのですが、クラス全員で食べることを事前に決めていたそうです。幹事は大変でしたが、予約から注文まで自分たちでこなしていました。いつの間にか、こんなにも頼もしくなっていたのですね。

学院生活最後のロンドンを満喫し、それぞれの進路に向けて猛チャージです。

紅葉が深まる立教キャンパス。どの教室を覗いても、皆せわしなく活動している。
オープンデイ(文化祭)のクラス企画は、自分たちでテーマを決めた展示発表である。
当日のサプライズ性を高める粋な計らいなのだろう、慣例的に互いの展示内容を教えないことにしているようだ。
先生も全員が全クラスの内容を把握している訳ではない。
背景、模型、文章構成など、生徒の役割は様々だ。時には作品の出来不出来をめぐって衝突が起こる。
それは決してマイナスなことではなく、皆が真剣によりよいものを目指しているからこそだ。
立教英国学院のオープンデイ準備期間は1週間。この間、授業は一切無い。
イギリスの学校では学期に一週間、ハーフタームという中休み期間があるが、立教ではこれをオープンデイの準備期間に当てている。
だから日本の一般の高校より遙かに長く、密度の濃い準備期間になる。
夕方になると、今度はフリープロジェクトの練習が始まる。
こちらは学年関係なく有志が集まって発表をするもので、演劇やダンスなどがある。
その他に剣道部や茶道部の部活動発表もあるから、授業がないとはいえ、とても忙しい。
クラス企画で服をペンキまみれにした生徒が、体操着に着替えて小走りでフリープロジェクトに向かっていた。
その表情は焦ってはいたが、とても充実しているように見えた。
真剣に取り組めることは、立教の生徒たちの大きな長所であると思う。
そしてその経験は財産として残っていく。
生徒の成長を感じつつ、当日を楽しみに待つ準備期間である。

卒業後初めて訪問させて頂きました。
20年以上前からは大きく変わり、新しい建物も増えていましたが、ドミトリーの中など変わっていないところも多く、とても懐かしかったです。食堂に当時のコンサートの写真があって驚きました!
学生だった頃は毎日当たり前に見えていた景色がとても美しく見え素晴らしい環境で勉強できたことに改めて感謝しました。
ありがとうございました。

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