人は何故キレルのか(3)

この頃「キレル生徒 「かっとなって親兄弟を
殺害する親族」のニュースが跡を絶たない。

女房にさえ用心しなければならぬ時代である。

最近面白い講演を聞いた。

 

人間の脳には時に空洞があったり 病変が
あったりする。そのような病理現象が「キレル」
事件、家族に対する殺害事件等の背後に
隠されている。

最近、脳科学の分野で、それらの研究が
飛躍的に前進した 。このような脳科学の
成果に立って考え合っていけば、我々は
イデオロギーの壁を乗り越えられるのでは
ないかとその講師は語ったのである。

「はて、イデオロギーの壁などというものは、
乗りこえるべきものなのであろうか、葛藤を
避けるのではなく、真正面からのイデオロギー
闘争を展開することによってこそ、より正しい
方向へ到達できるのではないか」と私は思ったが、
そのことは今は問うまい。

 

その4につづく…

人は何故キレルのか(2)

見れば聡明そうな「若き父」である。

しかし私は気になった。

ポケットから手を出させるときに
「転ぶと危ないから」などと理由を
説明しなければならないもので
あろうか。

いや、無論説明はして良い。その方が
説得力を増すであろう。

しかし、そのような理由を 説明しなければ、
ポケットから手を出せと指導できないもので
あろうか。

息子は父を無視 し、ポケットに手を入れた
まま押し通した 「こら、お父さんがポケットから
手を出せと言っているんだ。さっさと出さんか」
そう言って、一発ひっぱたいてやろうかとも
思ったが、他人の子にそういうわけにも行かぬ。

「そうか、ああいうふうに育った子どもが、やがて
高等学校に入ってくるのだな」

そう思いつつ私はケーブルカーの山頂駅に
向かった。 ポケットから手を出させるのに説明
などいらぬ。

お父さんが出せと言ったら、さっさと 手を出せば
よいのである。

しかるに現代の親は、そこでくどくどと理由を述べ、
説得を試みる。

そこには相手を理解させ、納得させるのでなければ
「教育」を行ってはならない。 規範意識は、子どもの
内面から、子ども自身の力によって芽生えさせるので
なくてはなら ないとの理念が潜んでいる。

だが幼児期から、小学校三年生くらいまでの発達段階
では、 判断力そのものがまだ定着していないのだから、
教育には問答無用の要素もなくてはなら ない。

人間としての基礎を身につけさせる、それが躾けと言う
ものである。

 

その3につづく…

人は何故キレルのか(1)

(狭山ヶ丘通信第43号より)

今年は東大にも複数現役合格が
期待できそうである。狭山ヶ丘は、
師弟うち揃って、大きな夢を抱き
新年を迎えた。

私自身も健康に留意して、その夢
の実現に貢献できるよう頑張り続け
たい。

「今年は身体を鍛える歳」そう思って、
六日の日曜に御岳山への小登山を
試みた。今年はスキー、登山に明け
暮れする一年にしたいと考えている。

 

御岳から下りてくる途中である。急な
坂道を下っていく親子三人のグループ
を追い越し た。若い父と母、それに五歳
くらいの男の子である。

男の子は父を追い越し、私の後ろから
ついてきた。父親が「ポケットから手を
出しなさい」と注意する。

何度も注意している から、どうも息子は
言うことを聞かず、ポケットに手を入れた
ままであるらしい。

私は歩調をゆるめた。

息子はポケットに手を入れたまま
猫背になり私を追い越していく 。

急坂の事だ。何とも危なげである。父は
重ねて注意した 。

「転ぶと危ないからポケットか ら手を
出しなさい 」

しかし息子は無視したままである。

重ねて同じ言葉を発し、父は注意を
繰り返すが、効き目は少しもない。

 

その2につづく…

あなたの本校受験への感謝と激励
 狭山ヶ丘高等学校付属中学校長 小川義男

本校への受験申込書、確かに受け取りました。
受験を決意して下さって有り難う。

試験までの期間、全力を尽くして、一層実力を
蓄積して下さい。

私は、大学院の頃、少し怠けて、ドイツ語の
試験に不合格になりそうになりました。

怠け怠けて、四日前になりました。その時
初めて私は、死にものぐるいで、その四日間を
頑張り抜くことにしたのです。

一日20時間は勉強したでしょうか。食事など
のほかは、ドイツ語びたりの生活です。勿論、
眠る暇などありません。極限状態になると、
人間あんな事ができるものなのですね。

三日目に「神懸かり状態」になりました。
あの複雑なドイツ語を読み取る不思議な力が
身についてきたのです。

こんな真似をしてはいけませんよ。でも、
いよいよになれば、人間、相当のことが
できるということを、知ってほしかったのです。

力を尽くして、本校入試を突破して下さい。

現在の一年生、入学なさるこれからの一年生、
(つまり、あなた方のことです。) からは、中高
一貫部という形で、教育活動を進めます。皆さんの
明日は、極めて輝かしいものとなるでしょう。

その、希望溢れる明日のために、当面は、
迫り来る入学試験に、全力を尽くして下さいね。

狭山ヶ丘にかかわるすべての生徒、すべての
教師が、四月に皆さんをお迎えできることを
楽しみにしています。

———————————————
この連休が最後の砦になるかと思いますが、
体調に気をつけてがんばってください。
受験生の健闘を心よりお祈りいたします。

 

第3/4回入試への出願はこちらです。

中学校入試第1回(1/10)第2回(1/12)

ネット出願締め切り間近!

 

平成30年度生第1回(1月10日(水))・第2回(1月12日(金))
入学試験のインターネットでの申込期限は本日、1月5日(金)
23時59分までです。

なお、事務室窓口での申込みは各試験日当日の朝も可能です。

とはいえ、ネット出願はやはり便利ですので、是非ご利用ください!

気概ある受験生の、勇気ある挑戦をお待ちいたしております。

 

ネット出願はこちらです。

出願を恐れるな!

中等部

 

ただ今、まさに出願期間中です。

 

昨年度から入試の得点率60%

を超える「気骨ある」生徒を

求めているためか、入試という

関門の突破を恐れて、途中で

諦めてしまう生徒が意外にも

多いことに驚きます。

 

しかしながら、試練を突破した

俊才たちが集う、本年度の一年生

は例年以上に知的な耀きに満ちて

います。

この誰もが羨む素晴らしい環境で

学ぶために、国公立大学、とりわけ

東京大学への現役合格を目指すこの

学習環境を手に入れるために、

一つの妥協策を用意しています。

 

○全受験生の平均点に達していること

○算数の得点率が60%を超えていること

このふたつの条件をクリアする受験生は

合格として扱います。

 

6年間という一貫教育の中で、高き志を

持ち、現役で夢を叶えるためにも果敢に

入試に臨んでくださることを期待いたして

おります。

 

ネット出願についてはこちらです。

 

ブリティッシュヒルズ(福島県)

平成29年3月13日から3月18日まで
5泊6日の日程で、福島県にある
「ブリティッシュヒルズ」へ語学研修
に行きました。

参加者は中学生18名、高校生9名です。
中学生と高校生のグループに別れ、主に
午前2時間午後2時間(1時間は90分
授業)、英語で授業を受けました。

「ブリティッシュヒルズ」内は英語が
公用語。日本にいながら留学体験が
できました。

詳しくはこちらへ

雄鳥のごとく(5)

 

相手のおじさんは、よほど怖かったのか、
押入の中に隠れた。

隠れる瞬間を私は確かに見た。

奥さんが、「主人は今おりません」としきりに
謝るのだが、まさかりを下げている にしては
冷静な父は、奥さんと争いに来たのでは
ないから、ご主人を出しなさいと「説得」する。

「いきなり殺したりはしないから」と言うので
ある。

恐怖に震えているのか、押入の戸がかたかた2018
鳴った。

それに気づいて父は、私を見て微笑んだ。

それはもう、かっこいいものであった。

結末は平凡な相手方の陳謝で終わった
らしいのだが、私は菅野さんを誘ったり
しない父の瞬間的決断力に男を見たと
思った。

雄鳥ばかりではない、人間の世界にも、
家族と権益を守るためには命も惜しま
ない男が、 少し前には存在したのである。

<完>

雄鳥のごとく(4)

 

意外や意外、おじさんの口から出たのは、

「俺ひとりではどうすることもできない。
小川さんが帰って、相談してからにしよう。」

という言葉であった。

女ふたりの失望の色は、 今も私の記憶に
鮮明である。

私は「頼りにならない男だ」と情けなくなった。

間もなく、自転車を押しながら父が現場から
帰ってきた。

大工だから、後ろには道具箱が積んである。

われ鐘のような声で、「誰だ、こんな所に縄を
張った奴は」と父は叫んだ。 叫ぶなり彼は、
地下足袋の足でポンポンと縄を蹴とばした。

縄はぷつんぷつんと切れてい った。

女二人からあらましを聞いた父は、菅野さんを
誘いもせず、道具箱から、ピカピカに研ぎ澄ま
されたまさかりを取り出した。

それを右手に提げて、「義男ついてこい」と
言うな り彼は、お向かいの「犯人の家」に
向かった。

父を絶対に信頼していた私は、大股にその後に
続いた。

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