★★★東京都の広報誌から教育を斬る★★★
新年明けましておめでとうございます。国際交流センター長の久保 敦です。
元旦に発行された「東京都の広報誌」に教育改革についての円卓会議の内容が1面に掲載されていました。また、その会議の動画がYou Tubeにも掲載されています。その内容を抜粋してみました。
教育再生・東京円卓会議より(広報 東京都1月より)
★社会的な原体験で感性を育む
・集団生活を通じた社会体験
・大学入学前に社会体験
・校外活動を単位化するシステム
★理数系学生の質の向上
・日本の強み「科学技術の分野」で質の地盤沈下が進行
・世界に通用するための徹底した英語教育
・テーラーメイドの教育システム
★英語教育のあり方を変える
・高校から英語で授業や留学システムを導入
・高校までに国語力を完璧に
◆◆詳細な情報は、こちらから→
この内容をご覧いただいた方は、どのようにお感じになったでしょうか。総論は、とても賛成です。このような考え方は、ここ20年間私学が実際に取り組み実績を残してきた取り組みです。公立の学校でも私学と同様の教育的な質の向上をめざすことには、教育の平等を受けられる子供たちにとっては、とてもすばらしいことです。しかし、東京都の現在の財源で、これらの内容をすべての公立学校で実施することが本当にできるのでしょうか。これらの教育内容を実行するためには、やはり日本の経済再生も同時に行い、教育にかける予算の捻出が必要です。
関東圏の学校改革は、関西圏の学校と比較してややスピードが遅く、飛び抜けた特色ある教育に挑戦する学校も少ないように感じます。それは、なぜなのでしょうか。
私からの提案としては、東京都にある学校の教育の仕組みを実行可能なものから変えていくことが現実的であると思います。いわゆる、教育の仕組みを「世界標準型のカリキュラム」に近づけることです。これにより各教科間の学習連携を強化させ、生徒には「学びのスタイルの変革」を促し、教師には「指導方法の転換」を通して常に生徒に考えさせる授業展開を意識することが重要です。
例えば、学校の年間スケジュールを9月~6月に変更する。センター試験に記述式問題を導入する。学校の成績と課外活動を重視した評価方法と進学方法の再構築。国語力と英語力ではなく、日本語力と英語力に変更する。特に、国語教育では、学習すべき内容が多すぎるため英語教育に時間を避けない。定期試験では、論述試験を中心とする。口頭試問でも可とする。などすぐに改革できることばかりであると思います。
このような改革が進んでいくと公立と私学の違いが無くなって行くような気がします。そのことが良いことなのかどうかは、わかりませんが、日本の教育の視点から見れば教育界の中にも競争原理が働き、子供たちの生きる力を育むためになるのであれば良いでしょう。しかし、度が過ぎると学校がサービス業界のようになるのは危険です。
世界がグローバル化している中で、日本がこの波に呑み込まれ、沈下していかないためには、教育の力が重要です。それには、家庭での躾教育の徹底、教育の仕組み改変、教師の授業力の向上から進めるべきです。
英語科主任・国際交流センター長 久保 敦