被災地のことを思うと気持ちが重くなりますが、今年の春、翠陵にはちょっと嬉しいことがありました。
この集会場からも見渡すことができますが、今、ハナミズキが美しいピンクや白い花をたくさん咲かせています。
なぜ嬉しいのかと言うと、翠陵では昨年もそして一昨年もハナミズキがほとんど咲きませんでした。
多分、病気にかかっていたのだと思います。このまま咲かなくなってしまうのではと心配していましたが、今年の春はほとんどの木が美しい花を咲かせてくれました。
4月から5月にかけて美しい花をたくさん咲かせ、秋に赤い実をつけ紅葉するハナミズキは、人気があり庭木や街路樹としてたくさん植えられています。
しかし、このハナミズキは日本の植物ではありません。アメリカから日本にもたらされた植物です。1912(明治45)年、当時東京市長だった尾崎行雄が、桜の苗木3000本をアメリカに贈りました。この苗木はワシントンDCのポトマック河畔に植えられ、今では毎年桜祭りが開かれ大勢の人たちを楽しませています。
この桜の苗木のお礼として、1915(大正4)年、今度はハナミズキがアメリカから日本に贈られました。ですから、ハナミズキが日本に伝わってからまだ100年も経っていません。日本の風土にしっかりと溶け込んでいるハナミズキを眺める時、日米友好の証の木だということを思い出してください。
翠陵の四季美しく移り変わる景色を毎日眺めながら、皆さんは学校生活を送っています。皆さんの中には、優しい心、寛大な心が自然に養われています。
他人に優しくしなければいけないことはよく分かっていると思いますが、他の人たちだけではなく物や動植物にも同じように接しなければいけません。
物に優しくするということは、物を大切にすることと言い換えられます。新しくなった机や椅子、ロッカーを大事に扱うことは言うまでもありません。
残念に思うことは、忘れ物や落し物を見ると名前が書かれていないことです。自分の物にきちんと名前を書いておくこと、これは自分の物を大切にすることの基本です。しっかり守ってください。