今年の夏は横浜花火大会を見に行った。花火が打ち上げられる2時間前にも関わらず、公園は多くの人で賑わっていた。
 公園内に打ち上げ開始を告げるアナウンスの声が響き渡ると、夜の空に、次々と花火が打ち上げられ、暗く、静かだった空に、美しい色とりどりの花を咲かせていった。そこにいた誰もが、その美しさに感嘆の息を漏らした。

 

 夏の風物詩である花火大会の起源は、江戸時代(1732年)に大飢餓や疫病で10万人もの人が亡くなり、その人々を供養するために行った両国の川開き(現在の隅田川花火大会)とされている。今から約300年も昔の人々もこうして花火大会を開き、花火の美しさに感嘆の息を漏らしていたかと思うと何だか感動すら覚えてきた。

 

その日、横浜の空には、日本最大級の花火が打ち上げられた。音楽に合わせて止めどなく打ち上げられる花火。空はあっという間に花火で埋め尽くされ、その迫力と、スケールの大きさに圧倒されて息をすることすら忘れてしまいそうだった。二尺玉が打ち上げられると、これでもかというくらい大きな金の花が咲き、周囲からは拍手まで沸き起こった。散り際までもが、キラキラと輝き、これ以上に美しいものがこの世に存在するのだろうかと思った。

 

こんな事を言うのは大袈裟かもしれないが、花火には生きる勇気を貰った。それはきっと打ち上げられる花火の一つ一つに花火師たちの思いと情熱が込められているからだと思う。花火師たちの思いと情熱があったからこそ、日本の花火という素晴らしい伝統文化が継承され続けることが出来たのだと思う。そして、これからも彼らの思いと情熱によって、花火が続いていくことを強く願った。

 

時代は変わっても、変わらない思いと情熱がある。今から300年先の人々が、夜空に咲く色とりどりの花火を見て、その美しさに感嘆の息を漏らす…。いつまでもそんな風景が日本の夏にありますように。

 

(中学部3年生 女子)

 

昨晩は随分雨が降ったようでキャンパスのあちらこちらに水たまり。でも今朝は朝からいい天気で、空気も澄んでいて絶好の写真撮影日和になりました。
2時間目が終わるとキャンパスに鐘の音が鳴り響き、日直の先生方が生徒達を中庭に集合させます。ニコニコしながら眩しい顔で教室棟から出てくる生徒たちは、お互いにネクタイを直したり髪を整えたりと何やらいつもと違う様子。
「ネクタイはしっかりしまっているかな? さぁ、それでは背の順に並んでグランドへ移動しますよ!」
日直の先生の指示で全校生徒の長い列が、眩しい日差しの中をゆっくりと体育館横のグランドへ進んで行きます。先生方や英国人スタッフ、キッチンやオフィスで働いている人達もこの列に加わり、まさに学校中の人達が集まってきました。

 

グランドに組まれた大きな足場は、ここ数年生徒が増え続けている為か毎年どんどん大きくなっているような気がします。一番上からの眺めはさぞかしいいのだろうなぁと思える程の高さがあるその足場に、撮影スタッフがテキパキと生徒達を順番に並ばせていきます。今年は大きなスピーカーとワイヤレスマイクを使って誘導していました。
「新しい機械さ。毎年新しい装備を増やしていっているんだ。」と撮影スタッフの英人。
「まぁ、でもここの生徒達は皆お行儀がいいから、こんなの使わなくても大丈夫なんだけどね。」
200名を超える人たちの顔が一人一人ちゃんと写るように並べるのはかなり骨の折れる仕事らしい。
「上から2段目の女の子、前の人たちの間に入ってね、そう。その隣の人ももうちょっとずれてくれるかな?」
細かい指示が何度も出されて全体の形が整っていきます。今年もまた皆が協力して30分足らずで準備は完了しました。

 

「はい、いいですね~、立教の生徒諸君!いい顔しているよ!そのままの姿勢で!ハイ、ワン、トゥー、スリー!」カシャッ。
中央の赤ネクタイの高校3年生にとってはこれが最後の全校写真撮影。「来年は自分たちがああして赤ネクタイで真ん中に立っているんだろうなぁ」と思っていた一年前が懐かしく思い出されるこの瞬間。これから何十年もの間、教室棟最上階の踊り場に飾られることになる思い出の写真がまた一枚撮られました。

 

私は2学期が始まった今、今年の夏休みは充実していたのではないかと思う。休みが始まった週にはホームステイをし、ロンドンの家に帰ってからは、久々に中学時の友達と会ってお互いの事をいろいろ話したり、生のオリンピック観戦や被災地の中学生との交流会、家族旅行に語学学校… 今回は、その中で特に印象深かった被災地の中学生達との交流会について書こうと思う。

 

1学期の終わりに、先生からこの交流会の事を聞いて、この夏はずっとロンドンにいるし、折角の貴重な体験なので行くことにした。
当日。近所に住む立教生と交流会が行われるジャパンハウスに行った。それまで何も感じていなかったが、突如初対面の中学生、しかも大地震の被害を受けている子たちと交流するんだと思うと緊張した。

 

正直、今までそういった、心に傷を受けた子と交流した事がなかったので、どういう顔をしていいか分からなかった。あの3・11が起こった時、私はすでにロンドンにいてあの揺れさえも体験していない。しかも、日本から離れた地で、何も変わらない生活をしている。そんな自分と会って、相手はどんな気分になるのだろうとまで考えてしまった。

 

しかし、そんな私の思いとは裏腹に、中学生たちはどこか緊張している表情を見せながらも少し笑って入ってきた。自己紹介を皆でした時も、好きなスポーツについて話し、トライアスロン観戦時も全力で日本の選手の応援を一緒にした。そんな彼らを見て、むしろ私が勇気や元気をもらった気がした。
今回の経験は、なかなかできない貴重なものだった。と同時に、3・11のことはきっと忘れる事はないとも思った。
(高等部1年生 女子)

 

電車に揺られ、45分。降りた駅のホームの地面は、緑地に白い線。それが何を指しているか分からず、5歩進み、また振り返り少し遠くを見て、ようやく分かった。テニスコートである。

 

私は、ウィンブルドン男子シングルス決勝を観るため、最寄りの駅で降りた。駅のホームから、ウィンブルドンをイメージさせるため、テニスコートや、普段目にしない壁一面のテニスプレイヤーが載っている広告などがあり、独特の感じに驚いた。
でも、あまり時間に余裕が無かったため、さっさと駅から出た。ウィンブルドンへ向かう道中から、私はわくわくしてきた。テニスをしている者として、決勝を観戦するというのは夢のような事だった。また、どのようなドラマが生まれるのか、そのドラマが生まれる瞬間、その場にいられると考えると嬉しくなってきた。このような事を考えているうちに、あっという間にウィンブルドンに着いた。

 

やはり、ウィンブルドンといえば、芝のサーフェスのコート。その中でも、選手、観客、共に憧れるセンターコートに、今から私は足を踏み入れるのである。
入口から、もうセンターコートの姿が見え始め、徐々に近づいて行くにつれて、センターコートの独特の雰囲気、大きさが体に伝わってくる。近くの売店で、水や食べ物などをそろえ、ついに、センターコートへと入っていった。

 

今回の決勝の顔合わせは、世界ランキング3位と4位だ。
大迫力のセンターコートに、目が点になり、席は満員で、今まで人生では感じなかった変わったムードだった。
変わったムードにのまれ、15分、試合が始まった。決勝の一人の選手がイギリス人だったため、その選手のファンが会場の7割を占めており、もう一方の選手が可哀相だった。

 

しかし、可哀相な選手が何処、この聖地のアウェイなムードを断ち切り、ベストパフォーマンスを観客に見せつけられるのか。さらに、イギリス人の選手もファンが大勢いる中、なぜプレッシャーに打ち勝てるのか。選手の奥に秘めているものは何か、不思議に思った。
それは、努力を苦に思わないことだと感じる。たまたまテレビ番組で、テニス選手の練習風景を目にしたが、苦しい表情を見せない。「努力」と口で何回言うのは楽だが、行動に移すのは、ものすごく難しいのだろう。

 

さらに、ファンを魅了し、引きつけられるのは、選手が練習や、いろんな経験で身に付けた自信や、ファンの大切さを一番理解しているからだと思う。
私は、何事にも挑戦し、大人になるまでさまざまな経験をし、少しずつ心身共にきたえ追い込んで行き、選手と同じくつらい試練をいつか乗り越えていきたい。
選手は、日々限界を越えて頑張っているだろう。来年、聖地でのドラマ作りに向けて。
(中学部1年生 男子)

 

今年の夏休みは、去年までの夏休みと、私にとってはいつもと違うものでした。それは、立教英国学院で春から寮生活が始まり、夏休みまでずっと家にいなかったからです。
帰国の7月9日の朝、空港には父と母の両方とも、私と姉をむかえに来てくれました。
両親が大きな声で私の名前を呼ぶので、ちょっとはずかしかったのですが、がまんしても私も勝手に顔が笑ってしまうので、困りました。車の中では質問がいっぱいで家までずっと話していました。
家に着いて、久しぶりの日本生活が始まり、日本の夏はすごく暑いことが分かりました。朝起きると、私は毎日そうじ機をかけることと、ぞうきんがけを手伝いました。姉は、犬の世話です。ちょっと動くとあせがふき出します。首にはタオルを巻きつけても汗がたれ、あつさで、顔が赤くなるくらいです。
また、食事は私のリクエストで、まずお寿司を食べに連れていってもらいました。まぐろなど生の魚を食べられる点では、日本はいいなと思いました。
しかし、数日たつと母が、
「宿題をやりなさい。」
など毎日口うるさく、そして、私の大きらいなセミが庭の木にいっぱい。先生にいただいたメールによると、イギリスにはセミや蚊もいない事を知り、やっぱりイギリスの方がいいなと思いました。
今年の夏は、いろいろな出来事を日本とイギリスと比べて、日本の夏のいい点、イギリスの夏のいい点が分かりました。そして、両方に自分の好きな点といやな点があるのだなあと思いました。まだまだこれから長くイギリスに行くので、もっといろいろな新しい発見があると思うので、楽しみです。
(小学部5年生 女子)

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