中等科3年、高等科2、3年生の有志生徒5名がディベートについて学びました。

生徒たちから「ディベートを学びたい」という要望を受けて、大学院時代にディベートを学ばれた数学科の先生が指導法を研究し、実現にこぎつけました。
今回のテーマとしては「代理出産」をとりあげました。
マイケル・サンデルの「これからの『正義』の話をしよう」でも取り上げられた、単純に是非を決めることのできない複雑な問題ですが、こういった正解のない問いに対して生徒達が様々な方向から検証することで、考えを深める機会とすることも学習の狙いとしました。
ディベートでは一つの答えを導くことがゴールではありません。
相反するそれぞれの立場にたって考え方を鍛えることが目的となります。
そのため、くじ引きで賛成派と反対派の2チームに分かれ、それぞれの立場で論理を組み立てました。
賛成派が
「子どもができないことで悩んでいる夫婦も子どもを授かることができる」
「少子化問題の解決に繋がる」
「医療が発達する」
という3つの主張を考えたのに対して、反対派は
「代理母へのプレッシャーがあるのでは」
「生まれてくる子どもが差別される危険性があるのでは」
という2つの主張から反論しました。
議論の中で反対派が
「子どもが欲しいなら海外などから養子を迎えることもできる。そうすれば少子化問題も解消される」と述べると、
賛成派は「その子どもが差別を受ける可能性は考えないのか?そちらの意見と矛盾しませんか?」
と反論しました。
生徒たちの限られた知識で対応できない場面では、教員がテーマを取り巻く背景や実態について講義をする場面もありました。
最初は論理の組立てに苦戦する場面もありましたが、
徐々に相手の主張をよく理解し、それに対して反論を唱える場面が増えてきました。
【生徒の感想】
「短い時間のなかで相手の主張を捉える必要があると分かった」
「今まで、相手の意見に対してあまり批判する経験がなかったので、反論するのが難しかった」
「限られた時間のなかで、何を発言するのか取捨選択することが必要だと分かった」
「今回は自分の考えをうまく伝えられなかったので、また次回リベンジしたい」
今回の体験を通して、自分の頭で考えることの重要性と、考えたことを発言する喜びを感じることができました。
また、今まで考えてきたことのない難しいテーマについて考えるきっかけにもなりました。