日出学園小学校のある市川市は、市の木でもあるクロマツとの、調和のとれた美しい街並みとして知られています。
永井荷風、幸田露伴、北原白秋など数多くの文人が好んで住むほどの魅力ある場所だったそうです。
とくにここ菅野地区は、かつて東京下町の富豪の別荘地だった広い敷地内や道路などに多くのクロマツが残されています。
しかしながら、近年、日出学園小学校周辺は、平成27年度完成予定の東京外郭環状道路の建設に伴い、クロマツの伐採が行われ、昔からの景観が失われつつあります。
そんな折、当時の景観を後世に残したいという関係諸団体からの話があり、日出学園小学校側も移転後の新しい校舎からクロマツの見える風景を再現したいという思いから、平成16年4月、クロマツ再生プロジェクトが始動されました。
当時の3年生が種をまき、大切に大切に育てました。
↑ 種まきの様子とクロマツの芽(平成16年)
その後、苗が大きくなるたびに鉢の交換を行いました。
クロマツと一緒に、育ててきた子ども達も成長し、5年生になると2つ下の3年生に引継いできました。
長期休みも水遣りを欠かさず、猛暑や病気から守り、130本ほどの苗木が育ちました。
←引継ぎ式の様子(平成18年)
3代目の3年生に引き継がれた1年後の平成21年。もう、鉢には収まらなくなり、建設現場内にある仮の土地に植樹されることになりました。
クロマツの管理はNEXCO東日本へ引き継がれ、7年におよぶ日出学園小学校の役目を無事終えることができました。
←クロマツの植樹の様子(平成21年)
さて、そのクロマツは今、どうなっているのでしょうか?
今月5日、当時3年生で種まきをした現高校3年生に呼びかけ、クロマツ鑑賞会を開きました。
当時クロマツの育成に関わった教員をはじめ、市の職員の方、NEXCO東日本の方、植え替えや植樹に関わった方々にもお忙しい中お集まりいただきました。
久しぶりのクロマツとの再開に、生徒達は驚いていました。
自分達の手を離れたときは、まだ2~30cmほどだったのに、今では自分達の身長をはるかに超えていたのですから…。
当時の思い出をつい昨日のことのように、教職員と話していました。
このクロマツが数年後に、外環道沿いに植えられたときは、さらに感慨深いものとなるでしょう。
昔のようにクロマツのある風景がもどり、人々の心を和ませてくれることを願っています。
卒業式カウントダウン
~あと6日~