自由の森学園の授業を体験していただく夏の「学びの森」のイベント、今年は例年よりも1日多い3日間の期間で開催いたしました。主催した自由の森学園はもちろん、共催・協力をいただいた企業・団体がさまざまな人をつないでくださったことで、ボリュームの厚いイベントとなりました。

午前中に行われる「体験授業」に加え、午後には 山本謙治さん、赤池学さん、辰野勇さん、C.W.ニコルさんが、それぞれの視点をベースに「学びの森」に絡めて講演もしてくださいました。
講演された方々からは、たくさんのことを語っていただきましたが、それを私は自分のいる学校像に引き寄せながら(勝手な解釈も含めて)受け取っていました。
学校の外にいる人たちの話の中にこの場をつくる確かめのようなものを見つけたりすると、学校という場をどうつくっていくのか、どうあるべきか、そうしたイメージが膨らんでいったりします。

参加していただいた方々からも、たくさんの感想をいただきました。
3日間の開催で、延べ500人以上の方々が自由の森学園に訪れてくださいました。初めて訪れた方、毎年楽しみにしていてくださる方、さまざまな方との出会いがありました。
本当にありがとうございます。

 「楽しかった~」
 「また来てね」
 「うん」

そんな会話を思い返しながら、みんなの中にはいったいどんな出会いが生まれたのかなぁと想像してみたり。

夏休みももう終わりです。まだまだ暑そうですが来週からは学校の時間が再開。今回出会えた人たちと、今度はちょっと長い期間、一緒に時間をつくれるといいなぁと思いながら、新しい時間のはじまりをイメージしているところです。

なかの

自由の森を卒業した後、数学の大学に行くようになって、数学者 遠山 啓 さんの書いた本などを読みあさったりしていました。遠山さんのある本の「あとがき」を 森 毅 さんが書いていて、とても印象に残っている文章があります。

数学の本を書くことについて、遠山から学んだことに、なにを書くかより、なにを書かないですますかのほうが、ずっと重要だということがある。自分が学んだこと、自分が考えたことなら、書く気になればいくらでも書ける。むしろ、本の全体のために、それを書かないでおくことのほうが、著者の判断の真価が問われる。そうした思い切りの良さが、遠山の本の価値の大きな要素だろう。

—遠山啓著 関数論初歩 日本評論社

  なにを書くかというよりも、なにを書かずにおくか。

なにもかもを網羅的に書き尽くすのではなく、その次の世界の広がりを読者にゆだねているのだというふうに感じました。私にとっては、本に書かれた「関数論」の内容に加えて、ちょっと衝撃的に飛び込んできた、森さんの「あとがき」でした。

もうだいぶ以前のことになりますが自由の森学園にも来校されたことがあり、当時高校生だった私も、森さんのお話を聞く機会がありました。

数日前の「天声人語」に、森さんと学生のやりとりが載っていました。大学の授業で出席をとらなかったとき、出席をとってほしいと学生が言ってきたそうです。その学生への森さんの言葉は

「よっしゃ、出席してないヤツは少々答案の出来が悪くても同情するけど、出席したくせに出来の悪いのは容赦なく落とすぞ」

来校されたときもそうでしたが、ご自身の持つ「こうであらねばならぬ」というのはあまり表に出さず、外からの「こうであるべき」というものに対して、それを揺さぶるようなものの言い方をいつもされていたように思います。

なかの

7月5日から9日までの4泊5日の修学旅行の報告会がありました。
生徒たちの、映像や写真を使っての説明や語られた感想などを通して感じたことは、修学旅行でのさまざまなことをひとりひとりがしっかり受け取って帰ってきているのだなということ。
後半の日程では、65年前の沖縄戦のさまざまな爪痕や、移設をめぐってより大きく扱われるようになった基地問題を考えさせられる場所を訪れました。すべてのものを破壊し尽くしてしまう「戦争」の存在に直面し、自分たちがそこから何を受け取ってきたのかを、生徒たちはとてもていねいに語っていました。

音楽ホールには、報告する側の中3の人たちに加え、これから修学旅行をつくりはじめる中2の生徒たちや、中3の保護者の方たちでいっぱいになりました。

なかの

今年の修学旅行は、前半は伊江島・座間味島・久米島の3つのコースに分かれてそれぞれの時間をすごし、後半は那覇で合流して全体で動きました。

私がついていったのは、久米島のコース。海に出かけての「イノー観察」では、ナマコを手に取ったりたくさんの種類の貝や貝の卵塊、カニの抜け殻を見つけたり。案内をしてくれた「島の学校」の方からいろいろと教わりながら、海や浜で過ごしました。
2日目は、朝からハテの浜という白い砂だけでできた島に渡り、海に潜ったりして珊瑚やそこに群がる熱帯の魚たちを観察。午後は、久米島で暮らす家庭におじゃまして、お菓子をつくったりお手伝いをしたり。
私もそれぞれのご家庭を訪問しましたが、手作りのサーターアンダギーをたくさんごちそうになりました。久米島には4年前にも修学旅行で訪れたそうで、そのときにお兄ちゃんが訪問していた家庭に今回は妹がホームビジットをしたことが判明。すごいびっくり。
3日目は、午前中は島を自転車でまわったり、近くを散歩してみたり、生徒たちそれぞれが久米島をいとおしみながら那覇へ向かいます。
那覇のホテルでは、久しぶりに学年の生徒たちが合流したので、それぞれのコースのことを話したりしながら賑やかでした。

4・5日目は、朝からバスに乗り、シムクガマ・チビチリガマ、佐喜眞美術館、ひめゆり資料館、平和祈念公園などをめぐりました。
余談ですが、よその中学校の修学旅行にも出会いました。そこの添乗の仕事をしていたのが自由の森学園の卒業生。しかもその中学校の教師をしている人も自由の森学園の卒業生だというので、会ってみたら私と同期の人でした。とてもびっくり。

学校に帰ってきてからは、修学旅行の報告会に向けた話し合いなどが行われます。

なかの


2年ほど前から、飯能市内の中学校に同じ飯能市内の高校の教師が出向いて中3生に対する「出前授業」が行われています。飯能高校の先生たちを中心に、「地元の子どもたちを地元で育てよう」という主旨で、地元の高校(飯高、聖望、大川、自由の森)の授業の面白さを各中学校に出向いてアピールする企画です。
秋には、2年生を対象に飯能高校に各中学校の2年生を集め、授業をしたりクラブ紹介を行います。

8日は、修学旅行や学年ワークなどで教員が出払っていたこともあって、西中で「出前授業」をしたのは数学の増島さんと社会科の私。久々に社会科の授業を中学3年生とすることができました。5時間目の生徒たちは、かなり緊張気味でかたい雰囲気からスタートしました。一方で、6時間目の生徒たちは、うちとけて和気あいあいとした雰囲気で参加していました。ちょっと眠そうな隣の生徒をつついて起こしてあげる生徒もいて感心です。同じ授業でも始めと後とではだいぶ違うと他校の先生たちも語っていました。

多分西中の保護者の方々だと思いますが、ドアの外から授業の様子を見ている方も何人もいらっしゃいます。
教師にとっても、他校の授業はどんな感じなのかわかってとても参考になります。控室では飯能高校の社会科の先生と教材プリントの交換をしました。ナルホド、ナルホド。

今日9日は今度は飯能1中。西田さんと町田さん(数学)が「出前」です。

鬼沢真之

学校の周辺には、いろいろな生きものがいます。たとえばキジの夫婦の鳴き声はいろいろなところで聞こえてきたり、その姿を見ることもしばしば。彼らの居住しているスペースは人が立ち入れるところからはだいぶ離れていますので、遠くから眺めることはこれまでもたくさんありました。

所用で学校の門を出ての一時停止。動く小動物がいて、よく見ると、キジの親子が道路を横断中。車に警戒したのか、お母さんキジが、子どもたちの横断を急かすように子どもたちを煽ります。無事渡りきるのを確認して、お母さんキジも渡り終える。渡り終えた原っぱでは、子どもたちが10羽ぐらい、草むらの中を駆けめぐっていました。

お母さんは土をほじり、餌になるみみずをくわえると、子どもたちがお母さんに集まってきます。
所用も忘れて、彼らの様子を、じーっと見つめてしまいました。

なかの

学校の近くの耕作放棄地をお借りして、今日は田植えの日。天候が悪かったり百日咳で学校閉鎖になったりと、ずっとのびのびになっていた田植えを今日しました。

ここが田んぼだったのは、40年前のことだとか。この場所は原っぱのような感じになっていたのですが、今年の4月からあらためて開墾し直し、田を掘り、水路をつくり、近くの川の上流から水を引き、、、と、さまざまな取り組みの末の今日の田植えです。いつもよりちょっと遅めなので、これからの稲の生育がちょっと心配ですが、すくすく育ちますように!

なかの

今日は、中学3年生は学年集会。全体で動く日程の中で見聞きするところの事前学習報告会がありました。
首里城の歴史、佐喜眞美術館の作品について、基地移設などの普天間基地を取り巻く問題、読谷村のこと、ひめゆりの塔のことなど、チーム毎に別れて調べたことを、報告し合いました。
今年の修学旅行は、前半日程は「久米島」「伊江島」「座間味島」の3つコースに分かれてそれぞれの島の時間をつくります。
後半は、学年全体で上に挙げたところをまわりながら、沖縄のさまざまに出会います。
出発は7月5日。もうすぐです。

なかの

自由の森学園2期生の山本謙治君の編著、「日本で一番まっとうな学食」が完成しました。
今日、見本本が学校に届きました。28日には販売する分が届く予定です。

以前から、自由の森の食堂をブログ(http://www.yamaken.org)で取り上げてくれていたやまけんが、これを広く世に伝えたいとかなりのスピードで、その思いや歴史、そして実際の食材やメニューをまとめてくれました。普段食べている食堂の食事が、こんなにもたくさんの人の願いや努力に支えられていたのだと実感することができます。

前半の1,2,3章を執筆したのは6期生の増谷茂樹君。多忙なやまけんができない取材をじっくりしてくれてわかりやすくまとめてくれました。

食生活部の記録であると同時に、卒業生企画ともいえる作品です。ぜひ読んでみてください。

自由の森特別価格1400円で購買部で買えます。購買部で買っていただけると、一部が学園の収益になります。
(定価は税込1575円です)

山本 謙治 【やまもと・けんじ】
自由の森学園2期生。
1971年、愛媛県に生まれ、埼玉県で育つ。1992年、慶応義塾大学環境情報学部在学中に、畑サークル「八百藤」設立。キャンパス内外で野菜を栽培する。同大学院修士課程修了後、(株)野村総合研究所、製菓流通の(株)シフラを経て、2005年、(株)グッドテーブルズ設立。農産物流コンサルタントとして活躍中。本業の傍ら、ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」(http://www.yamaken.org)を書き続ける。著書に『日本の食力 国産農産物が美味しい理由』(家の光協会)、『日本の「食」は安すぎる」(講談社)、『実践 農産物トレーサビリティ』「実践 農産物トレーサビリティー2』(以上誠文堂新光社)など。

増谷 茂樹【ますたに・しげき】
自由の森学園6期生。
本書では、第1、2、3章を主に執筆。
1975年生まれ。明治学院大学国際学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て2001年よりフリーに。環境問題などの専門的なテーマを、一般的な視点でわかりやすく紹介することを得意とする。著書『電球1個のエコロジー』(中央法規出版、共同出筆)のほか、雑誌やWeb、フリーペーパー等各種媒体での記事執筆多数。

「日本で一番まっとうな学食」より

鬼沢真之

新しいパンフができました。

自由の森学園の総合パンフレットと、中学校のパンフレットが完成しました。
自由の森学園の教育に対する考え方や学校で行われている授業のこと、日常の様子、自由の森学園を卒業したあとのことなど、読んでいただきたいものを多岐にわたり盛り込みました(総合パンフは60ページほどのボリュームです)。

今年度は、新しい試みとして中学校のパンフレットもつくりました。総合パンフよりもひとまわり小さいサイズですが、「競争原理」に依らずに学ぶ動機をつくり出すこと、つまり自由の森学園中学校の基本的な考え方を書いたり、田んぼや八ヶ岳登山のこと、また修学旅行などのさまざまな教室外で出会う本当の体験を通して学ぶこと、そして芸術や表現による内面の成長のこと、教えあう、学びあう授業を大切にしていることなど、びっしり書いてしまいました。
たくさんの方に読んでいただきたいと願っています。

2010年度に高校の入試の形をあらためました。そして2011年度には中学校の入試も新しい形になります。
新入試については、募集要項が完成したときに、あらためてご案内します。

なかの
27 / 28« 先頭...1020...2425262728

ページ
TOP